ソニーが“ドリフトしにくい”新型アナログスティックを特許化|PS6コントローラーへの採用にも期待
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PS6コントローラーへの採用にも期待
ソニー・インタラクティブエンタテインメント(PlayStationを展開するソニーのゲーム部門)が、アナログスティックの動きを非接触で検出する新たな技術を特許出願していたことが明らかになりました。
公開された特許では、長期間使用した場合でもスティックの動きを高精度に検出できる構造が説明されています。従来型コントローラーで問題になりやすい「スティックドリフト」(スティックから手を離しているのに入力が発生してしまう不具合)を減らせる可能性があり、将来のPlayStation用コントローラーへの採用が期待されます。
ただし、現時点でPS6用コントローラーへの搭載が決まったわけではありません。
目次
特許ソニーが非接触式アナログスティックの特許を出願
今回注目されているのは、ソニーの特許「OPERATING STICK ASSEMBLY AND INPUT DEVICE」です。
発明の名称:OPERATING STICK ASSEMBLY AND INPUT DEVICE|国際公開番号:WO2026143037|出願日:2025年12月22日|公開日:2026年7月2日|出願人:ソニー・インタラクティブエンタテインメント/ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ
特許が想定しているのは、ゲームコントローラーなどに搭載するアナログスティック機構です。スティックを傾けると、その動きに連動して内部の検出対象部分が移動します。センサーは、この移動を物理的な接触なしで検出し、スティックの傾きに応じた信号を出力します。
特許では、非接触方式を利用することで、長期間使用した場合でもスティックの動きを高精度に検出できると説明されています。
出典:WIPO Patentscope 特許公開ページ / IPqwery 特許情報データベース
仕組み従来のポテンショメーター式とは異なる仕組み
一般的なゲームコントローラーのアナログスティックでは、スティックの位置を検出するためにポテンショメーター(可変抵抗器の一種)が広く使われています。
ポテンショメーター式は、内部の接点が抵抗体の上を動くことでスティックの角度を検出する仕組みです。比較的安価で実績もありますが、長期間使用すると接点や抵抗体が摩耗したり、内部に汚れが入り込んだりする可能性があります。
こうした摩耗や汚れ、部品の個体差などによって、スティックから手を離しているにもかかわらず入力が発生する現象が「スティックドリフト」です。
今回の特許では、スティックの傾きをセンサーが非接触で読み取ります。従来方式のように、位置検出のための接点を擦り合わせる必要がありません。
そのため、接点摩耗に起因する精度低下を抑え、従来方式よりも長期的に安定した入力を維持できる可能性があります。
回転抑制スティックの不要な回転を抑える構造も採用
今回の特許で注目したいのは、単に検出方式を非接触化しただけではない点です。
特許では、スティックの支持部分に突起と溝のようなかみ合わせ構造を設け、スティック自体が軸を中心に不要な回転をすることを制限しています。
プレイヤーがスティックを倒す際、加えた力の一部がスティックの回転に使われると、操作感や検出精度に影響する可能性があります。回転を制限することで、入力した力をスティックを傾ける動作へ効率的に伝え、操作性を高める狙いです。
また、スティックを中央へ戻すスプリング機構や、内部のがたつきを抑える構造も特許群の中で説明されています。
ソニーが同時期に公開した関連特許には、スプリングの力を横方向にも作用させることで、スティックのがたつきを抑える構造も含まれています。
アナログスティックの耐久性は、センサーだけで決まるものではありません。スプリングの劣化や軸の摩耗、部品間の遊びなども、センター位置のずれや操作感の変化につながります。
今回の設計は、センサーと機械構造の両面から、長期間の使用に耐えられるスティックを目指していると考えられます。
押し込みL3・R3に相当する押し込み操作にも対応
特許では、スティックを傾ける操作だけでなく、下方向へ押し込む操作も想定されています。
現在のPlayStationコントローラーでいうL3・R3に相当する機能です。
スティックを押し込むと、スティックを支える可動部分が下へ移動し、別のセンサーやスイッチが入力を検出します。
関連特許では、スティックが上下に動いても、傾きを検出するセンサーとの位置関係が大きく変わらない構造が説明されています。これにより、押し込み操作と傾き検出を両立しながら、長期使用時の検出精度を維持する狙いがあるとみられます。
TMRTMRセンサーを採用するとは限らない
今回の特許を巡っては、「TMRセンサーを採用したスティック」と紹介する声も見られます。
TMRは「トンネル磁気抵抗効果」を利用して磁界を検出するセンサーです。近年は高性能なゲームコントローラーにも採用例が増えており、高感度かつ省電力な磁気検出方式として注目されています。
実際に今回確認できた特許の要約や主要部分を見ると、傾きを検出するセンサーについては「非接触式」と説明されている一方、TMR方式に限定する記載は見当たりませんでした。特許文書では磁石を利用した構成が示されているため、ホールエフェクトセンサーや磁気抵抗センサーなどを使う可能性は考えられます。ただし、製品版でTMRセンサーを採用すると現時点で断定するのは早計です。
正確には、「磁気を利用した非接触式センサーを想定した技術」と表現するのが適切でしょう。
限界スティックドリフトを完全に解消できるわけではない
非接触式センサーが採用されれば、接点の摩耗によって発生するドリフトは大幅に減らせる可能性があります。
ただし、非接触式だからといって、あらゆるスティックドリフトを完全に防げるわけではありません。
アナログスティックには、センサー以外にもスプリング、軸受け、樹脂パーツ、磁石など、複数の部品が使われています。長期間使用すれば、スプリングの張力低下や軸の摩耗、部品間のがたつきなどが発生する可能性があります。
また、センサーの個体差やキャリブレーションのずれ、ファームウェア側の補正も入力精度に影響します。
今回の特許は、ドリフトが起きる主要な原因の一つを抑える技術として期待できますが、「絶対にドリフトしないスティック」を保証するものではありません。
比較DualSense Edgeは故障後の交換を容易にした設計
現行のPS5向け上位コントローラー「DualSense Edge」では、左右のスティックモジュールをユーザー自身で交換できます。
スティックが正常に動作しなくなった場合でも、コントローラー本体を買い替えずに、問題のあるモジュールだけを交換できる設計です。ソニーも公式サポートで交換方法を案内し、スティックモジュールを単体販売しています。
ただし、これはスティックドリフトの発生自体を防ぐ仕組みではありません。
DualSense Edgeが「故障したスティックを交換しやすくする」方向の対策であるのに対し、今回の特許は「摩耗による精度低下を起こりにくくする」方向の技術といえます。
両方を組み合わせれば、耐久性の高い非接触式スティックを採用しつつ、故障時にはモジュールだけを交換できるコントローラーも実現可能です。
出典:PlayStation公式サポート DualSense Edge スティック交換ページ
PS6PS6コントローラーに採用される可能性は?
今回の特許が、将来のPlayStationコントローラーを想定して開発された可能性はあります。
公開時期や技術内容を踏まえると、PS6用コントローラーへの採用を見込む見方も出ています。ただし特許文書を確認する限り、PS6や次世代DualSenseといった製品名の記載はなく、ソニーも実際の製品への採用を発表していません。
企業は将来利用する可能性のある技術を幅広く特許出願しており、公開された技術がそのまま製品化されるとは限りません。構造が変更されたり、別の製品に採用されたり、最終的に使用されなかったりすることもあります。
そのため、現時点では「PS6コントローラーへの採用が決定した」とは言えず、「将来のPlayStationコントローラーに搭載される可能性がある技術」と見るべきでしょう。
整理何が確定していて、何がまだ分からないのか
ここまでの内容を、確定している事実と、推測にとどまる部分に分けて整理します。
- ソニーが2025年12月22日に「非接触式」のアナログスティック検出技術を国際特許出願し、2026年7月2日に公開されたこと(国際公開番号 WO2026143037)
- スティックの不要な回転を抑える構造、中央へ戻すスプリング機構、がたつきを抑える構造もあわせて特許に含まれていること
- 下方向への押し込み操作(L3・R3相当)にも対応する構造が想定されていること
- センサーにTMR(トンネル磁気抵抗効果)方式を採用するかどうか。特許本文は「非接触式」としか記載していない
- この技術がPS6用コントローラーに採用されるかどうか。特許にPS6や次世代DualSenseといった製品名の記載はない
- スティックドリフトを完全に解消できるかどうか。センサー以外の部品劣化によるドリフトは別問題として残る
総括ソニーがコントローラーの耐久性改善を検討していることは確か
PS6への採用は未定ですが、ソニーがアナログスティックの長期的な精度と操作性を改善する技術を研究していることは、今回の特許から読み取れます。
非接触式センサーによる傾き検出に加え、スティックの不要な回転を抑える構造、中央へ戻すスプリング機構、がたつきを減らす安定化構造など、複数の改良が盛り込まれています。
現在のゲームコントローラーでは、スティックドリフトが製品寿命を左右する大きな問題の一つです。
今回の技術が実際に製品化されれば、現行DualSenseよりも高い耐久性と安定した操作精度を備えたPlayStationコントローラーが登場する可能性があります。
PS6への採用を含め、ソニーの今後の正式発表が注目されます。
おすすめ純正のドリフト対策・非接触検出方式のスティックを今試すなら
今回の特許はまだ製品化されていませんが、ドリフト対策の考え方を先取りできる選択肢はすでに存在します。PS5環境でスティック交換に対応した純正モデルと、非接触方式のTMR磁気スティックを搭載したPC向けコントローラーを紹介します。
FAQよくある質問
まとめまとめ|非接触式スティックの特許は確認できるが、PS6採用はまだ未確定
ソニーが非接触方式でアナログスティックの動きを検出する新技術を国際特許出願していたことは、公開された特許文書から確認できる事実です。
今回の特許では、非接触センサーによるスティック検出に加え、不要な回転を抑える構造、スプリング機構、がたつきを抑える安定化構造まで含めた総合的な設計が説明されており、スティックドリフトの主な原因である接点摩耗を避けられる可能性があります。一方で、センサーにTMR方式を採用するかどうか、PS6用コントローラーに採用されるかどうかは特許文書からは確認できず、現時点ではいずれも推測の域を出ません。
非接触式だからといってドリフトを完全に防げるわけでもなく、スプリングや軸受けの劣化が原因のドリフトは別問題として残ります。ソニーがコントローラーの耐久性改善に取り組んでいること自体は今回の特許から読み取れるため、PS6への採用を含め、今後の正式発表に注目です。



