Retroid Pocket Duoは2画面120Hz OLED|SoCはDragonwing Q-7790、RG DS Plusとの違い
本記事にはアフィリエイト広告(Amazon・楽天市場等)のリンクが含まれています。
SoCはゲーム向けではなく産業向けのDragonwing Q-7790
2画面を折りたたむ携帯ゲーム機が、この数日で立て続けに2つ発表されました。ひとつは中国のRetroid(レトロイド)が公開した「Retroid Pocket Duo」、もうひとつは同じく携帯ゲーム機メーカーのANBERNIC(アンバーニック)による「RG DS Plus」です。どちらもニンテンドーDSのような上下2画面のクラムシェル型ですが、中身の設計思想はほとんど正反対でした。
Retroid Pocket Duoで確定しているのは、上下2枚のOLEDがいずれも120Hz駆動であること、上が16:9で下が4:3という左右非対称ならぬ上下非対称の構成であること、そして搭載チップがQualcommのDragonwing Q-7790であることの3点です。価格も発売日も本体サイズもまだ出ていません。注目すべきは、このチップがゲーム機向けではなく産業機器向けのラインから選ばれており、その結果として同社の既存上位機より描画性能が下がる見込みだという点です。
なぜ格下のチップを積むのか、DSエミュレーションに特化したRG DS Plusとどちらを待つべきか、そして今すぐ2画面環境が欲しい場合に何を買えばいいのかを、Qualcomm公式の製品資料とRetroid公式ストアの仕様表を突き合わせて整理します。
目次
要点公開されたのはどこまでか
Retroidは2026年9月7日にレンダリング画像を、翌8日に搭載チップを公開しました。上下2枚のOLEDが120Hz、十字キーを上に置くD-pad top配置、透けるパープルの筐体色までは分かっています。一方で価格、発売日、本体サイズ、画面解像度、メモリ容量、バッテリー容量はいずれも未発表のままです。
| 項目 | 現時点の状況 | 内容 |
|---|---|---|
| 画面構成上下2枚 | 確定 | 上が16:9、下が4:3のOLED。どちらも120Hz |
| SoC中核チップ | 確定 | Qualcomm Dragonwing Q-7790 |
| 操作系ボタン配置 | 確定 | 十字キーを上段に置くD-pad top配置 |
| 筐体色公開済み | 一部確定 | 透けるパープル。他色の追加は示唆のみ |
| 画面解像度上下それぞれ | 未発表 | インチ数を含めて公表されていません |
| メモリ・ストレージ構成 | 未発表 | チップ側は最大16GBまで対応 |
| バッテリー容量 | 未発表 | 画面が2枚ぶんなので消費は増えます |
| 価格・発売日最重要 | 未発表 | 出荷時期の告知もありません |
中身Dragonwing Q-7790は産業機器向けのチップです
Dragonwing(ドラゴンウィング)は、Qualcommがスマートフォン向けのSnapdragonとは別に用意している、産業機器やIoT機器向けのブランドです。Q-7790はその中位に当たる製品で、2026年1月6日にCES 2026で発表されました。Qualcommが想定用途として挙げているのはドローン、監視カメラ、テレビ、メディアハブといった機器で、携帯ゲーム機は名指しされていません。
調べたところ、Q-7790の中身はスマートフォン向けのSnapdragon 7 Gen 4に相当します。つまりQualcommの序列でいうミドルレンジで、フラッグシップの8シリーズより一段下の位置づけです。公式資料に記載されている主な仕様は次のとおりでした。
| 項目 | Dragonwing Q-7790の仕様 | 補足 |
|---|---|---|
| CPUオクタコアKryo | 1×2.8GHz + 4×2.4GHz + 3×1.8GHz | 最上位コアは1基のみです |
| GPU描画担当 | Adreno 722(最大1.15GHz) | 性能を左右する中心部分です |
| NPUAI処理 | 24 TOPS(INT8) | ゲームでの体感には直結しません |
| メモリ対応規格 | 最大16GB。LPDDR5X-4200まで | LPDDR4x・LPDDR5にも対応 |
| ストレージ対応規格 | UFS 4.0(2レーン)・UFS 3.1・eMMC 5.1 | SD 3.0のカードスロットも可能 |
| 動画再生デコード | 4K120のH.264・H.265・AV1 | 動画視聴機としては強力です |
| 無線通信 | Wi-Fi 7、Bluetooth 6.0 | 世代としては最新です |
| OS対応 | AndroidとLinuxの両方 | Duoがどちらを積むかは未発表 |
Wi-Fi 7とBluetooth 6.0、そしてAV1の4K120デコードに対応している点は、2026年のチップとして素直に新しい部分です。動画を見る端末としての完成度は高くなります。ただしゲーム機として見たときの中心はAdreno 722で、ここが同社の他機種と比べてどうなるかが本題になります。
性能上位機Pocket Novaより描画性能は下がります
Retroidは現行の主力機として「Pocket Nova」を229ドルで販売しています。こちらのチップはQCS8550で、スマートフォン向けでいうSnapdragon 8 Gen 2に相当するフラッグシップ級です。Q-7790と並べると、世代の新しさではなく素の性能でPocket Novaが上回る構図がはっきりします。
| 項目 | Pocket Duo(Q-7790) | Pocket Nova(QCS8550) |
|---|---|---|
| 相当する市販チップ序列 | Snapdragon 7 Gen 4相当 | Snapdragon 8 Gen 2相当 |
| GPU描画担当 | Adreno 722(最大1.15GHz) | Adreno 740(680MHz) |
| CPU最高クロック最上位コア | 2.8GHz | 3.2GHz |
| 画面枚数と仕様 | OLED2枚(16:9と4:3)、120Hz | 4.5型AMOLED 1枚、960p、120Hz |
| メモリ実装 | 未発表 | 8GB LPDDR5X |
| 価格メーカー希望 | 未発表 | 229ドル |
ここで見落としやすいのがGPUのクロックです。Pocket DuoのAdreno 722は最大1.15GHz、Pocket NovaのAdreno 740は680MHzと、数字だけならDuoが7割ほど高く見えます。しかし世代とアーキテクチャの段が違うため、クロックの差は埋め合わせになりません。Adreno 740はフラッグシップ用に演算器そのものを厚く積んだ設計で、動作クロックを下げても総合的な描画能力では上回ります。GPUのクロックを機種間の性能比較に使うと判断を誤りやすい典型的な例です。
その結果、Pocket Duoは同じメーカーの中で見ても最上位ではない位置に落ち着きます。性能の目安としては、Snapdragon 865より上、Snapdragon 8 Gen 2より下という帯です。ニンテンドーDSやPSP、ドリームキャストあたりまでのエミュレーションなら余裕がありますが、PS2やゲームキューブの重いタイトル、あるいはAndroidの3Dゲームを最高設定で回すことを主眼に置くなら、素直にPocket Novaのほうが向いています。
裏を返せば、この機種の主役は性能ではなく2画面そのものだということです。産業機器向けのチップは長期供給を前提に設計されるため、少量生産の派生モデルには扱いやすい選択肢になります。Retroidがそこまで意図したかは公表されていませんが、性能を捨ててでも構成を成立させたかった、という読み方は成り立ちます。
比較ANBERNIC RG DS Plusとは狙いが正反対です
Pocket Duoの発表とほぼ同時期に、ANBERNICが「RG DS Plus」を公開しました。こちらは既存機RG DSの改良版で、4.3インチ1024×768の画面を2枚積み、DSソフトを4倍のドット等倍で表示できる設計です。静電容量式のスタイラスを本体右側面に収納し、ヒンジ部分にマイクを内蔵しています。価格は100ドルを切る水準とされており、前モデルRG DSの99.99ドルを置き換える形になります。発売日はまだ告知されていません。
両者の画面の持ち方そのものが違うので、まず形で見比べてみます。
形の違いはそのまま用途の違いになります。ニンテンドーDSの実機は上下とも同じ解像度で、画面の縦横比も揃っていました。RG DS Plusが同じ大きさの画面を2枚並べているのはそのためで、1024×768という解像度もDSの256×192をちょうど4倍に引き伸ばせる数字になっています。ドットが半端に潰れない表示を最優先した設計です。
対してPocket Duoは、上を16:9の横長にしています。DSソフトを上下等倍で映すことより、上画面で通常のAndroidゲームや動画を全画面表示し、下画面を地図やインベントリ、あるいはタッチ操作に使うという運用を見据えた形です。仕様の全体像を並べると差がはっきりします。
| 項目 | Retroid Pocket Duo | ANBERNIC RG DS Plus |
|---|---|---|
| SoC中核チップ | Dragonwing Q-7790 | Rockchip RK3568 |
| 画面構成 | 16:9と4:3のOLED、120Hz | 4.3型1024×768が2枚 |
| OS基盤 | 未発表(チップは両対応) | Linux |
| スタイラスタッチ操作 | 未発表 | 静電容量式を本体に内蔵 |
| マイクDSソフト用 | 未発表 | ヒンジ部に内蔵 |
| ヒンジ開閉 | 未発表 | 15〜180度の無段階 |
| 価格メーカー案内 | 未発表 | 100ドル未満(発売日は未定) |
| 向いている用途結論 | 2画面を活かすAndroid機として使う | DSソフトをきれいに映す |
RG DS PlusのRockchip RK3568は前モデルから据え置きで、性能面では控えめなチップです。DSまでのエミュレーションに絞るなら足りますが、Androidゲームや重いエミュレーションには向きません。100ドルを切る価格はそこと引き換えに成立しています。2画面という共通点だけで並べると混同しがちですが、実際には競合というより住み分けに近い関係です。なお2画面携帯機はこの1年で構想だけ先に出て実物が出てこない例もあり、この点はYoniq Duoの情報を検証した記事で詳しく扱っています。
現状今すぐ2画面が欲しい場合の選択肢
Pocket Duoは価格も発売日も出ていないため、待つ期間の見当がつきません。今すぐ2画面環境が欲しい場合、Retroidはすでに答えを1つ用意しています。「Dual Screen Add-on」という69ドルの外付け画面で、5.5インチのAMOLEDをバッククリップで本体の上に増設する構造です。sRGBカバー率107%、コントラスト比100,000対1、ピーク輝度500ニトという仕様が公式に案内されており、120度・150度・180度で止まるクリックストップヒンジとパススルー充電、輝度調整の専用ボタンを備えています。
公式が対応機種として挙げているのはRP6、RP5、RP4 Pro、RP Mini、RP Mini V2の5機種です。最新の主力機であるPocket Novaは、この一覧に含まれていません。外付けで2画面化する前提でNovaを買うと目的を達成できないため、購入順序には注意が必要です。
つまり現時点の選び方は3通りに整理できます。DSソフトをきれいに映すことが目的ならRG DS Plusを待つか、すでに発売済みの前モデルRG DSを買う。Androidゲームも含めて2画面で使いたいなら、対応機種のRetroid Pocket 6などにDual Screen Add-onを足す。そのどちらでもなく、一体型でOLEDの2画面が欲しいならPocket Duoを待つ、という形です。Androidの携帯ゲーム機を機種ごとに比べる観点はAYANEO Pocket S MiniとANBERNIC RG557を比較した記事にまとめてあります。
日本での入手経路についても確認しました。Amazon.co.jpにはRetroid Pocketの公式ストアがあり、販売元はRetroidの親会社であるMoorechipです。Pocket 6、Pocket 5、Pocket Classicがここから購入できる状態でした。Pocket Duoが同じ経路で流通するかは発表されていませんが、これまでの主要機種が国内の正規ルートに乗ってきた実績はあります。
判断待つ価値があるかを整理します
- 上下ともOLEDで120Hzという構成に価値を感じる
- DS専用機ではなくAndroidの汎用機として2画面を使いたい
- 外付けではなく一体型のまとまりを重視する
- Retroidのクラムシェル機(Pocket Flip 2)に良い印象がある
- DSソフトのドット等倍表示を最優先したい
- PS2やゲームキューブまで快適に動かしたい
- 予算を1万5千円前後に抑えたい
- いつ買えるかが読めない状態で待ちたくない
判断を分ける最大の要素は価格です。同じAndroid系の2画面クラムシェル機としてはAYN Thorが先行しており、下位のThor Liteが259ドル、Snapdragon 8 Gen 2を積む上位構成が329ドルという値付けになっています。ここでPocket Duoに分がありそうなのが下画面の駆動です。Thorは上が6インチの120Hzである一方、下は3.92インチの60Hzにとどまりますが、Pocket Duoは上下とも120Hzを掲げています。ただし搭載チップで見ると、Thor LiteのSnapdragon 865はQ-7790より下、上位構成のSnapdragon 8 Gen 2は上という関係で、Pocket Duoはちょうど両者の中間に入ります。300ドルを大きく超える価格になると選びにくくなるため、ここが判明するまでは待機という判断そのものを保留にしておくのが無難です。
FAQよくある質問
まとめまとめ|性能ではなく2画面のための機種です
Retroid Pocket Duoは、上が16:9、下が4:3のOLEDを重ねたクラムシェル型の携帯ゲーム機です。上下とも120Hz駆動で、十字キーを上段に置くD-pad top配置、透けるパープルの筐体色までが公開されています。搭載チップはQualcommのDragonwing Q-7790で、産業機器向けのブランドから選ばれたSnapdragon 7 Gen 4相当のミドルレンジです。
同社の主力機Pocket Novaが積むQCS8550はSnapdragon 8 Gen 2相当なので、描画性能では既存の上位機に届きません。GPUのクロックだけを見るとPocket Duoが高く見えますが、世代の差はクロックでは埋まらないため、性能目当てで待つ機種ではないというのが結論です。狙いは2画面という構成そのものにあります。
同時期に発表されたANBERNIC RG DS Plusは、4.3インチ1024×768を2枚積みDSのドット等倍表示に振った100ドル未満の機種で、方向性が正反対です。DSを主目的にするならそちらが噛み合います。今すぐ2画面が必要なら、対応機種にDual Screen Add-onを足す方法もありますが、Pocket Novaが対応外である点だけは先に確認しておく必要があります。Pocket Duoは価格と発売日が出るまで、判断そのものを保留にしておくのが妥当なところです。



