NZXT C1200 Goldの「爆発」報告を検証|LTT Labsは2台ともOCP試験で故障、別検証では保護が正常だった【2026年9月】

NZXT C1200 Goldの「爆発」報告を検証|LTT Labsは2台ともOCP試験で故障、別検証では保護が正常だった【2026年9月】

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NEWS / 2026-09
NZXT C1200 Goldの「爆発」報告を検証
第三者検証では2台とも同じ試験で故障、しかし別の検証では保護が正常に動いた
SNSで語られている「上位モデルのリコール」は爆発とは無関係のケーブル配線ミスです。一次情報で切り分けます。
検証2台とも故障別検証では正常公式リコールなし

2026年9月5日、国内ユーザーが「PCの電源ボタンを押したら電源ユニットが壊れた」と投稿し、NZXTの1200W電源「C1200 Gold」をめぐる話題が再び広がっています。同種の報告は2026年5月末にも国内で上がっており、今回が初めてではありません。

先に結論を書きます。C1200 Goldに対する公式のリコールは確認できず、「使っている人は全員いますぐ使用を中止すべき」とまでは言えません。一方で、第三者検証機関が2台をテストして2台とも同じ保護試験で故障させている以上、これから新規に買う電源としてあえて選ぶ理由も見つけにくい、というのが実情です。

SNSでは断片的な情報が混ざっています。特に「NZXTは上位モデルでリコールを出した」という指摘は事実ですが、内容は爆発とはまったく別の話です。この記事では検証機関の試験結果とメーカーの公式発表を突き合わせ、何が確認できていて何が確認できていないのかを整理します。

目次

結論先に結論|いま確認すべきことと、断定できないこと

確認できている事実
  • 第三者検証で2台をテストし、2台とも12V系の過電流保護試験で故障した
  • 1台は故障時に火花が出たと記録されている
  • メーカーは過負荷によるMOSFETの故障と説明している
  • 別の検証機関の試験では保護回路が正常に動作している
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断定できないこと
  • 通常のゲーム用途で必ず故障する、とは確認されていない
  • C1200 Goldに対する公式リコールは確認できない
  • ATX 3.0版だけの問題、あるいは3.1版で解決済み、とは言えない
  • 個々のユーザー報告の原因が電源側にあったかは第三者検証されていない

この記事では、SNS上の投稿を「ユーザー報告」、検証機関の試験結果を「検証済みの事実」として明確に分けて扱います。両者を混ぜると実態より深刻にも軽微にも見えてしまうためです。

経緯国内で何が起きているのか

2026年9月5日の朝、国内ユーザーがC1200 Goldの故障を画像付きで投稿し、拡散しました。投稿者は後から調べたところ同様の報告が複数見つかったとしています。

さかのぼると、2026年5月末にも国内ユーザーが同じ製品について「爆発した」と投稿し、他のパーツの多くが巻き添えで破損したと報告していました。この時点で「ここ半年ほどで報告が増えている」という認識が共有されています。

ユーザー報告からは原因を特定できません

電源ユニットが破損した場合でも、原因が電源そのものにあるのか、接続していた機器や設置環境にあるのかは、分解調査をしないと切り分けられません。投稿されている事例は第三者による原因検証を経ていないため、この記事では「報告」として扱い、後述する検証機関の試験結果とは分けて記載します。

検証1LTT Labsは2台をテストして2台とも故障させた

検証機関のLTT Labsは、C1200 Goldについて明確に「推奨できない」と結論づけています。評価項目には「Catastrophic Protections Failures」と「Component Failure」が並びます。

テストしたのは黒と白の2台で、いずれもATX 3.1版です。12V系の過電流保護(OCP)試験で定格の134%、電流にして約134Aまで負荷をかけたところ、2台ともシャットダウン後に復帰できなくなりました。さらに1台目については、故障時に火花が出たと記録されています。

注意したいのは、保護以外の項目では悪い評価が出ていない点です。12V系のリップルは定格負荷で29mVと許容範囲に収まり、電圧レギュレーションも仕様内、効率は80 PLUS Gold相当で低負荷時の効率はむしろ良好、ファンは50%負荷以下で無音動作と評価されています。停電への耐性も26msと記録されています。

つまり「普段使いの性能が悪い電源」という話ではなく、限界まで追い込んだときの守りが効かなかった、という指摘です。

この検証は動画でも紹介され、海外のNZXTコミュニティでは公開直後にスレッドが立ちました。購入した翌日に検証結果を知ったというユーザーの投稿です。

Do not buy the NZXT C1200 W PSU, it failed all protection tests by Psucircuit in today’s review, I discovered it 1 day after buying mine, only 1200W model affected
by u/DazzlingpAd134 in NZXT
このスレッドが指している「レビュー」も同じ検証結果です

投稿で触れられているPSU Circuitは、この検証結果を動画で紹介したチャンネルです(動画名は「NZXT C1200 Gold 1200W Power Supply – LABS Test Report」)。独立した別の測定ではないため、2件の検証が同じ結論に達したわけではありません。また投稿タイトルは「すべての保護試験に落ちた」という表現ですが、検証で故障が起きたのは12V系の過電流保護試験です。

見解メーカーの説明は「過負荷によるMOSFETの故障」

この検証結果に対するNZXT側の説明も、同じ検証ページに掲載されています。定格を超える負荷を継続的にかけたことで熱が蓄積し、MOSFETが故障したという内容です。あわせて、この保護試験は「かなり厳しい(quite demanding)」ものであり、通常の使用条件では正常に動作しうるとしています。

実際、134Aという負荷は1200W電源の定格を3割以上超える水準で、一般的なゲーミングPCの使い方で到達する領域ではありません。RTX 5090のような大電力GPUを積んでも、システム全体の消費電力が定格の134%に張り付き続ける構成は現実的ではないためです。

ただし、保護回路は「そこまでの事態が起きたときに安全に止めるため」に存在します。その試験で2台とも復帰不能になり、うち1台からは火花が出たという結果は、1台の初期不良として片付けにくいというのが率直なところです。

検証2別の検証では保護回路が正常に動作していた

一方で、同じC1200のATX 3.1版を別の検証機関がテストした際には、保護機能は正常に働いています。

項目LTT LabsHardware Busters
掲載時期2025年12月5日2024年7月8日
テスト個体ATX 3.1版を2台(黒・白)ATX 3.1版
12V系OCPの結果134%(約134A)で2台とも故障・復帰不能122A(122%)/高温時123A(123%)で正常に作動
OPP(過電力保護)記載は保護全体の失敗評価に含まれる1,503W(125.25%)で正常に作動
総合評価推奨できないファン故障保護を含め保護機能は揃っている

※両検証は掲載時期が約17か月離れており、同一時点で同じ個体を比較したものではありません。生産ロットや設計の変更が間にあった可能性は否定できません。

ここが判断を難しくしている点です。「第三者検証で全部ダメだった」わけでも、「1台の当たり外れ」でもありません。片方では保護が122〜123%できちんと作動し、もう片方では134%まで引っ張った時点で2台とも壊れています。保護が正しく効いた個体は120%前後で止まっており、134%という破壊的な電流にそもそも到達していません。つまり問題は「保護が弱い」というより、保護の作動点そのものが個体やロットでずれていた可能性を示唆します。ただし公表されている情報だけでは原因は特定できません。

切り分け「上位モデルのリコール」は爆発とは別件

SNSでは「NZXTは上位モデルのC1500 Platinumでリコールを出している」という指摘が、今回の爆発報告と地続きに語られています。安全通知が出ていること自体は事実ですが、内容はまったく別の問題です。

NZXTが2026年4月29日に公開した安全通知の対象は、C1500 Platinum(PA-5P1BB-US)に付属するモジュラーSATA電源ケーブルです。組み立て時に12Vと3.3Vの導体が逆になっていたという配線ミスで、電源ユニット本体の不具合ではありません。

項目C1500 Platinumの安全通知C1200 Goldの「爆発」報告
対象付属SATA電源ケーブル電源ユニット本体
内容12Vと3.3Vの導体が逆破損・火花のユーザー報告
規模約400台・米国市場のみ公式な集計は公表されていない
被害報告負傷・電源本体の損傷ともにゼロユーザーによる破損報告あり
公式対応該当ケーブルの無償交換リコールは確認できず

対象は約400台、シリアル番号52258Z0280 0001〜1500、デートコード08/2025に限られ、米国市場のみです。NZXTは負傷や電源本体の損傷の報告はないとしています。3.3Vを使う一部の古い機器に12Vが供給されると機器側が損傷しうる、という性質の問題です。

この2つを混同すると「NZXTの電源はリコールが出るほど危険」という誤った印象になります。C1200 Goldについては、現時点で公式のリコールも交換プログラムも確認できません。

型番C1200にはATX 3.0版とATX 3.1版がある

C1200 Goldには世代が2つあり、型番で見分けられます。

項目旧世代現行
ATX規格ATX 3.0ATX 3.1
型番の例PA-2G1BB系PA-2G2BB-JP(黒)/PA-2G2BW-JP(白)
補助電源12VHPWR12V-2×6

検証の内訳を世代別に見ると、さらに整理できます。Hardware BustersはATX 3.0版も2023年2月に検証しており、このときも12V系OCPは119.6A(119.6%)、OPPは1,435W(119.61%)で正常に作動し、「OCPとOPPはすべてのレールで正しく設定されている」と評価しています。つまり保護が正常だった個体はATX 3.0版・3.1版の両方にあり、故障した個体はATX 3.1版でした。

ここで重要なのは、LTT Labsが故障させた2台はどちらもATX 3.1版だったという点です。「旧型だけの問題で新型は対策済み」という整理はできません。逆に「新型だけの問題」とも言えず、海外のユーザー報告にはATX 3.0版の事例も混ざっています。

自分の個体がどちらかは、電源ユニット側面のラベルに書かれた型番で確認できます。ATX 3.0と3.1の違いそのものはATX 3.1電源の完全ガイドで解説しています。

対処いまC1200を使っている人が確認すべきこと

公式のリコールがない以上、正常に動作している個体をいますぐ外す必要はありません。ただし、次の症状が出た場合は様子を見ずに対応してください。

  • 使用中に突然電源が落ちる、あるいは落ちたあと起動しない
  • パチッ、パンといった破裂音がした
  • 焦げたにおいがする
  • 火花が見えた
  • 電源ユニットの排気が異常に熱い

これらに当てはまる場合、再通電を試さないでください。コンセントを抜き、電源ユニット側のスイッチをオフにしたうえで、購入した販売店またはNZXTのサポートに相談するのが安全です。故障した電源に再度通電すると、二次被害が広がる可能性があります。

なお、起動時の「カチッ」という一度きりの音は電源内部のリレー音で、正常な動作です。異音の切り分けについては電源の音が故障かどうかの見分け方にまとめています。

C1200 Goldには10年保証が設定されています

NZXT公式ページで10年保証が案内されています。購入時期によっては保証期間内である可能性が高いため、故障した場合はまず保証を使えないか確認してください。購入証明とシリアル番号が必要になります。

買い替えこれから買う人・買い替える人はどう判断するか

新規購入については、判断がはっきりしています。1200W級の電源は選択肢が多く、2台をテストして2台とも同じ保護試験で復帰不能になった記録が残っている製品を、あえて選ぶ理由は見つけにくいのが実情です。

一方、すでに使っていて問題が出ていない個体を、不安だけを理由に急いで買い替える必要はありません。前述のとおり通常使用で必ず故障するとは確認されておらず、保護以外の性能評価はむしろ良好です。

買い替えを検討する場合、RTX 50シリーズを使うならATX 3.1と12V-2×6への対応が実質的な前提になります。容量の考え方や規格の違いはATX 3.1電源の完全ガイドで、実際の交換手順は電源ユニットの交換・換装のやり方で扱っています。ケーブルは電源ごとにピン配列が異なるため、旧電源のケーブルを流用しないことだけは徹底してください。

FAQよくある質問

C1200 Goldはリコールされていますか
2026年9月6日時点でリコールは確認できません。NZXT公式の製品ページにも安全に関する告知は掲載されていません。2026年4月に出た安全通知は上位モデルC1500 Platinumの付属SATAケーブルに関するもので、別件です。
普通に使っていても爆発しますか
そうとは確認されていません。検証で故障が起きたのは定格の134%まで負荷をかけた保護試験で、一般的なゲーミングPCの使い方で到達する領域ではありません。ただしユーザーからの破損報告は複数あり、それらは第三者による原因検証を経ていません。
ATX 3.1版なら安全ですか
そう言い切れる根拠はありません。LTT Labsが故障させた2台はいずれもATX 3.1版でした。一方で別の検証ではATX 3.1版の保護が正常に作動しており、世代で切り分けられる問題ではないとみられます。
2つの検証で結果が違うのはなぜですか
公表情報からは特定できません。掲載時期が約17か月離れており、同一時点で同じ個体を比較したものではありません。生産ロットや仕様変更の影響も考えられますが、いずれも推測の域を出ません。
いま使っていますが外したほうがいいですか
正常に動いているなら、ただちに外す必要はありません。ただし破裂音、焦げたにおい、火花、突然の電源断といった症状が出た場合は再通電せず、販売店またはNZXTのサポートへ相談してください。10年保証が設定されています。

まとめまとめ|報告と検証を分けて読む

今回の話題は、国内ユーザーの報告が起点になっていますが、その背景にある検証データ自体は新しいものではありません。LTT Labsの検証は2025年12月、対照になるHardware Bustersの検証は2024年7月の掲載です。

確認できているのは、片方の検証で2台とも12V系の過電流保護試験に耐えられず、うち1台から火花が出たこと。そしてメーカーがそれを過負荷によるMOSFETの故障と説明し、通常使用では正常に動作しうるとしていることです。もう片方の検証では、同じATX 3.1版で保護が正常に作動しています。

SNSで語られている「上位モデルのリコール」は、C1500 Platinumの付属SATAケーブルの配線ミスであり、爆発報告とは無関係です。ここを混同したまま判断すると、実態より深刻に見えてしまいます。

結論

公式リコールはなく、正常に動いている個体をいますぐ外す必要はありません。ただし破裂音・焦げたにおい・火花・突然の電源断があれば再通電せず、10年保証を使って販売店かNZXTへ相談してください。新規購入では、2台とも同じ保護試験で復帰不能になった記録が残る以上、あえて選ぶ理由は見つけにくいというのが現時点の判断です。

出典:r/NZXT「Do not buy the NZXT C1200 W PSU, it failed all protection tests」スレッドLTT Labs「NZXT C1200 Gold」(2025年12月5日掲載)Hardware Busters「NZXT C1200 ATX v3.1 PSU Review」保護機能ページ(2024年7月8日掲載)Hardware Busters「NZXT C1200 Gold PSU Review」保護機能ページ(ATX 3.0版・2023年2月26日掲載)NZXT公式「C1200 Gold ATX 3.1」製品ページNZXT公式「Important Safety Notice — C1500 Platinum Modular SATA Power Cable」(2026年4月29日公開)。国内ユーザーの投稿内容は原文を確認したうえで要約しており、個人が特定される情報は記載していません。

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