AMD Radeonドライバーに未公開のFSR Multi Frame Generation設定が見つかる|最大8倍表示はRDNA 4向けの準備中か
本記事にはアフィリエイト広告(Amazon・楽天市場等)のリンクが含まれています。
最大8倍の倍率表示はRDNA 4向けの準備中か
出典:RadeonTuner(GitHub) / AMD GPUOpen ADLX SDKドキュメント / RadeonTuner リリースノート
Radeon RX 9000シリーズを使っていて、「NVIDIAのDLSS 4.5にあるような複数倍のフレーム生成が、なぜAMDにはまだ来ないのか」と感じている人は多いはずです。AMDのフレーム生成は現状2倍(オンかオフか)の一択で、NVIDIAが持つ多段階の生成コマ数には対応していません。
そんな中、AMD公式のドライバー調整ツールとは別に開発されているオープンソースの非公式ツール「RadeonTuner」を通じて、Radeonドライバー内部に「FSR Multi Frame Generation」関連の未公開設定が存在することが分かりました。倍率の選択肢は1X〜8Xまで用意されていますが、開発者本人によれば動作させるためのコード自体がまだ存在せず、現状は何も起こらないプレースホルダーという段階です。
本記事では、見つかった設定項目の中身、実機(Radeon RX 9060 XT)での検証結果、2026年4月に判明していたAMD公式SDK「ADLX」側の伏線との関係、そしてNVIDIAのDLSS 4・DLSS 4.5との違いまで、断定を避けながら現時点で分かっていることを整理します。
| 項目 | 現時点での見方 |
|---|---|
| 話題の中心 | Radeonドライバー内に「FSR Multi Frame Generation」関連の未公開設定が存在すると判明 |
| 発見の経緯 | 非公式ツール「RadeonTuner」の実験的設定オプションを有効化すると表示される |
| 対応ドライバー | AMD Software: Adrenalin Edition 26.6.2で確認 |
| 対象GPU | RDNA 4(Radeon RX 9000シリーズ)限定とみられる |
| 現在の動作 | 非機能。RX 9060 XTでの実機検証でも5タイトルすべてで動作せず |
| AMDの公式発表 | 2026年7月時点でなし。正式なリリース時期も未定 |
目次
要点まず何が見つかったのか
AMD Software: Adrenalin Edition 26.6.2のドライバー内にある「Show Experimental Settings(実験的な設定を表示)」をRadeonTuner経由で有効にすると、これまで一般公開されていなかったプロファイル値が表示されます。4つの新しい設定項目が確認されており、いずれもFSR(AMDのアップスケーリング・フレーム生成技術群)に関連する名称です。
見つかった設定項目は以下の4つです。名称から判断する限り、フレーム生成のほか、レイトレーシングのノイズ除去やAIによる間接照明キャッシュに関わる機能も含まれています。
| 設定項目名 | 内容 |
|---|---|
| FSR Multi Frame Generation Ratio | フレーム生成の倍率を選ぶ項目。選択肢は1X/2X/3X/4X/5X/6X/7X/8Xの8段階 |
| FSR Multi Frame Generation Override | アプリ側の設定に関わらず、ドライバー側から強制的に有効化・上書きするための項目とみられる |
| FSR Ray Regeneration Denoiser Override | レイトレーシングの映像を整えるAIノイズ除去機能「Ray Regeneration」のドライバー側上書き項目 |
| FSR Neural Radiance Caching Override | AIで間接照明を先読みキャッシュする「Neural Radiance Caching」のドライバー側上書き項目 |
Ray RegenerationとNeural Radiance Cachingは、AMDが2025年12月に発表した機能セット「FSR Redstone」にすでに含まれている技術です。今回見つかった項目は、それらをアプリ側の対応を待たずドライバー側から一括制御するための仕組みとみられ、フレーム生成の倍率だけが新しい話題というわけではありません。
経緯RadeonTunerとは何か、なぜ見つかったのか
RadeonTunerは、AMD公式のRadeon Software(Adrenalin Edition)よりも軽量な操作を求めるユーザー向けに、開発者「dumbie」氏が公開しているオープンソースのツールです。GPU・ファンのチューニングや画面設定など、ドライバーのみをインストールした環境でも基本的な調整ができるように作られています。
このツールには「Show experimental settings(実験的な設定を表示)」という項目があり、これを有効にすると、AMDがまだ一般公開していないドライバー内部のプロファイル項目が表示される仕組みになっています。今回のFSR Multi Frame Generation関連設定も、この実験的設定を有効化したことで見えるようになりました。
RadeonTuner自体はRDNA以降の幅広い世代のRadeon GPUで動作しますが、今回の実験的設定はRDNA 4(Radeon RX 9000シリーズ)に絞って表示される作りになっている点も分かっています。動作要件としては、AMD Radeon Driver 25.5.1以降を前提としています。
倍率1X〜8Xの表示は何を意味するのか
今回もっとも注目度が高いのは、「FSR Multi Frame Generation Ratio」の選択肢が1Xから8Xまで8段階用意されている点です。AMDの現行フレーム生成は基本的に2倍(オンかオフか)の一択で、NVIDIAのように生成コマ数を細かく選べる仕組みは持っていません。8段階の選択肢が用意されているという事実そのものが、将来的に多段階の生成に対応する構想がある可能性を示しています。
倍率ごとの具体的な内訳(レンダリング枚数と生成枚数の配分)は、AMDから公式に説明されていません。NVIDIAのDLSSが採用する「レンダリング1枚+生成n枚=合計(n+1)X」という命名の慣習に沿うなら、8Xはレンダリング1枚に対して生成7枚という計算になりますが、これはあくまで命名慣習からの類推であり、AMD自身が明言した数値ではない点に注意してください。
| 倍率 | DLSSの命名慣習に沿った場合の内訳 |
|---|---|
| 1X | 生成なし(フレーム生成オフに相当するとみられる) |
| 2X | レンダリング1枚+生成1枚(現行のFSR Frame Generationと同等) |
| 3X〜7X | レンダリング1枚+生成2〜6枚(中間の段階) |
| 8X | レンダリング1枚+生成7枚に相当するとみられる、最大の選択肢 |
この記事で紹介した「1Xから8Xまで8段階」という表示は、2026年7月13日前後に確認された内容です。その後、RadeonTuner自体が2026年7月15日にバージョン0.21.0.0へ更新され、公開されている変更履歴には「MFG ratio placeholders with 2x, 3x and 4x」(MFG倍率のプレースホルダーを2X・3X・4Xに置き換えた)と記載されていることを確認しました。
これがAMDドライバー内部のデータそのものの変化なのか、RadeonTuner側が独自の判断で表示を整理しただけなのかは、公開情報だけでは判別できません。8Xという数字を含め、倍率の内訳は依然としてAMDから公式に説明されておらず、ツール側の表示は今後も変わる可能性がある点に注意してください。
検証実機ではどうなったか|RX 9060 XTで5タイトルを試した結果
今回の情報を検証したユーザーは、Radeon RX 9060 XTを使い、5本のタイトル(Forza Horizon 6、PRAGMATA、バイオハザード レクイエム、紅の砂漠、DEATH STRANDING 2)でFSR Multi Frame Generationの倍率設定を試しています。結果として、いずれのタイトルでも倍率を変更しても効果は確認できず、動作しませんでした。
この結果は、今回の設定項目が現時点では見た目だけの表示であることを裏付けています。RadeonTunerの開発者dumbie氏も、この件について「AMDが正式にMFG(Multi Frame Generation)をリリースした際にすぐテストできるよう、8倍までの選択肢をプレースホルダーとしてあらかじめ追加した」「動作させるためのコード自体が、まだ存在していない」と説明しています。AMDが意図的に、サードパーティのツール開発者が事前に準備できるよう、機能の“器”だけを先行して用意することがあるという指摘です。
伏線2026年4月のSDK発見との関係
今回の発見は、実は今回が初めての兆候ではありません。2026年4月の時点で、AMD公式の開発者向けSDK「ADLX」に、IADLX3DFidelityFXFrameGenUpgradeRatioOptionというインターフェースが追加されていたことが、GPUOpen(AMDの開発者向け技術情報サイト)の公式マニュアルで確認されています。
このインターフェースは、フレーム生成の倍率選択肢をリスト化して取得・設定するための仕組みで、AMDの現行フレーム生成が「オンかオフか」の二択であることを踏まえると、複数の倍率に対応する設計への布石と見られていました。今回RadeonTuner経由で見つかったドライバー側の設定は、この4月のSDK側の動きと符合しており、単発の噂ではなく、開発が一定の期間をかけて進められていることをうかがわせます。
比較DLSS 4・DLSS 4.5・FSR Redstoneとの違い
ここで、現時点で実際に使えるNVIDIA側のフレーム生成と、今回リークしたAMD側の状況を整理しておきます。NVIDIAのフレーム生成は世代とバージョンで対応倍率が異なり、DLSS 4は最大4X(レンダリング1枚+生成3枚)、2026年3月31日に提供が始まったDLSS 4.5は最大6X(レンダリング1枚+生成5枚)まで対応します。ただしDLSS 4.5の6XモードはRTX 50シリーズ専用で、RTX 40シリーズ以前では利用できません。
| 項目 | NVIDIA(DLSS) | AMD(FSR・今回のリーク) |
|---|---|---|
| 最大フレーム生成 | DLSS 4.5で最大6X(RTX 50専用)。DLSS 4は最大4X(RTX 40以降) | 表示上の選択肢は最大8Xまで存在 |
| 対応GPU | RTX 40・RTX 50シリーズ(世代で上限が異なる) | RDNA 4(Radeon RX 9000シリーズ)限定とみられる |
| 現在の提供状況 | 主要タイトルで提供中 | 非機能のプレースホルダー。正式発表なし |
なお、AMDはすでにFSR Redstoneという機能セットを2025年12月に正式発表しており、Radeon Software 25.12.1以降では、FSR 3.1.4以降を統合したタイトルに対して、ML(機械学習)ベースのフレーム生成へドライバー単位でアップグレードできる機能もRDNA 4・Windows 11環境向けに提供されています。ただしこれは既存のフレーム生成(2倍)の品質を底上げするアップグレードであり、今回リークした複数倍率のMulti Frame Generationとは別の機能です。両者を混同しないよう注意してください。
評価分かっていること・まだ分かっていないこと
分かっていること
- Radeonドライバー内に「FSR Multi Frame Generation Ratio」など4つの未公開設定が実際に存在する
- 倍率の選択肢は1Xから8Xまで8段階用意されている
- 対象はRDNA 4(Radeon RX 9000シリーズ)限定とみられる
- 2026年4月のADLX SDK側の発見と符合しており、開発が一定期間進められている可能性がある
まだ分かっていないこと
- 現状は完全に非機能。RX 9060 XTでの5タイトル検証でも動作は確認できなかった
- 動作させるためのコード自体が存在しないと、ツールの開発者本人が説明している
- AMDからの正式発表・リリース時期・対応タイトルの情報は一切ない
- 倍率ごとの生成コマ数の内訳、画質面の仕様も未確定
- RadeonTunerが2026年7月15日のv0.21.0.0で表示を2X〜4Xに変更しており、これがAMD側データの変化かツール側の表示整理かは未確認
総合すると、今回の発見は「AMDが将来的に複数倍率のフレーム生成を用意している可能性を示す材料」ではあるものの、「近いうちに使える機能」と捉えるのは早計です。プレースホルダー段階の設定項目は、実際の製品化まで数カ月単位の時間差が生じることも珍しくありません。
FAQFSR Multi Frame Generationリークに関するよくある質問
おすすめ今RDNA 4のRadeonを検討するなら
今回の未公開設定の対象はRDNA 4、つまりRadeon RX 9000シリーズに絞られているとみられます。仮に将来Multi Frame Generationが正式に有効化された場合、その恩恵を受けられるのはRDNA 4世代のGPUを持つユーザーです。現状ラスタライズ性能とVRAM容量だけで見ても十分競争力のある2枚を、価格帯別に挙げます(価格は変動するため、最新はリンク先で確認してください)。
まとめまとめ|現状は「準備の痕跡」止まり、正式発表を待つ段階
今回の発見は、非公式ツール「RadeonTuner」がAMDドライバーの実験的設定を可視化したことで明らかになった、「FSR Multi Frame Generation」関連の未公開設定です。1Xから8Xまでの倍率選択肢が用意されている事実は、AMDが将来的に複数倍率のフレーム生成に対応する構想を持っている可能性を強くうかがわせます。
一方で、現状は完全に非機能のプレースホルダーです。Radeon RX 9060 XTで5タイトルを実際に試しても動作は確認できず、開発者自身も「動作させるコードがまだ存在しない」と明言しています。AMDからの正式発表もなく、リリース時期・対応タイトル・画質仕様は何一つ確定していません。
2026年4月にAMD公式SDK「ADLX」側でも関連インターフェースが見つかっていたことを踏まえると、今回のリークは単発の噂ではなく、開発が段階的に進んでいることを示す材料のひとつと捉えるのが妥当です。ただし、今の時点で「AMDが8倍のフレーム生成を実装する」と断定するのは早計であり、続報を待つ必要があります。



