GMKtec EVO-X1 Proは買いか|HX 470でもゲーム性能はHX 370機並み、25万円の価値は64GBとCPU性能
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HX 470でもゲームはHX 370機並み。25万円の価値は64GBとCPU性能
GMKtecのミニPC「EVO-X1 Pro」は、AMDのノートPC向けCPU「Ryzen AI 9 HX 470」と64GBのメモリを、手のひらに載る107×111×63mmの筐体に収めた機種です。GMKtec JP公式ストアでは64GB+1TB構成が25万1,999円(10月2日時点の表示価格。通常は29万6,469円)で、Amazon.co.jpのGMKtec-JP出品にも10月11日までのクーポンが付いています。
ゲームを主な目的にするなら、この25万円は割高です。内蔵GPUは2024年のRyzen AI 9 HX 370と同じRadeon 890M(16CU)で、変わったのはクロックの200MHzだけでした。実機の計測では、HX 370を積むミニPCと並ぶか下回るタイトルが並びました。Arc B390を内蔵するCore Ultra X7 358Hはゲームで1.3〜3倍速く、このCPUを積むミニPCが同じ25万円前後で買えます。GPUが同じでよければ、旧モデルのEVO-X1が8万円安く買えます。
それでもX1 Proを選ぶ理由になるのは、64GBのメモリ容量、旧世代より伸びたマルチスレッド性能、Wi-Fi 7とOCuLinkによる拡張性の3つです。以下では、旧EVO-X1から変わった点、7タイトルの実測fps、同じ価格帯で買える機種との価格差を順に確認します。
目次
スペックEVO-X1 Proのスペックと旧EVO-X1との違い

旧モデルのEVO-X1と並べると、CPUの世代、メモリ、無線LANの3点が変わっています。GPUはどちらもRadeon 890Mで、演算ユニットの数は同じ16CUです。
| 項目 | EVO-X1 Pro | EVO-X1(旧モデル) |
|---|---|---|
| CPU | Ryzen AI 9 HX 470(12コア24スレッド・最大5.2GHz) | Ryzen AI 9 HX 370(12コア24スレッド・最大5.1GHz) |
| 内蔵GPU | Radeon 890M(16CU・3,100MHz) | Radeon 890M(16CU・2,900MHz) |
| NPU | 55TOPS | 50TOPS |
| メモリ | LPDDR5-6400・64GB(増設不可) | LPDDR5X-7500・32GB(増設不可) |
| メモリ帯域 | 102.4GB/s | 120GB/s |
| SSDスロット | M.2 2280(PCIe 4.0)×2 | M.2 2280(PCIe 4.0)×2、M.2 2242(SATA)×1 |
| 無線 | Wi-Fi 7・Bluetooth 5.4 | Wi-Fi 6・Bluetooth 5.2 |
| 拡張端子 | OCuLink(PCIe 4.0 x4)、USB4×1 | OCuLink(PCIe 4.0 x4)、USB4×1 |
| 有線LAN | 2.5GbE×2 | 2.5GbE×2 |
| 公式ストア価格 | 25万1,999円(64GB+1TB) | 17万1,999円(32GB+1TB) |
※メモリ帯域は128bit幅として計算した理論値です。価格はGMKtec JP公式ストアの表示価格(2026年10月2日時点)。
X1 Proの電力設定は、BIOSで静音モード35W、バランスモード54W、パフォーマンスモード最大65Wの3段階から選べます。電源は120WのACアダプターで、USB4端子からの最大100Wの給電にも対応します。
X1 Proのメモリは、容量が倍になった代わりに、規格がLPDDR5X-7500からLPDDR5-6400に下がっています。HX 470自体はLPDDR5X-8533まで対応するので、CPUの上限より遅いメモリが載っている形です。内蔵GPUはこのメモリを画面描画にも使うため、帯域が約15%狭くなったことは、ゲームには不利に働きます。
ゲーム性能ゲーム性能はHX 370機と横並び、重い新作は20fpsに届かない
海外の検証メディアがX1 Proの実機で計測した、1080pの平均フレームレートを並べます。比較対象は、HX 370を積むBeelinkのミニPC「SER9」と、Arc B390を内蔵するCore Ultra X7 358H搭載のGMKtec「EVO-T2S」です。EVO-T2Sは、MINISFORUM M2 PRO-358Hと同じCPUを積んでいます。
| ゲーム(1080p) | EVO-X1 Pro | SER9(HX 370) | EVO-T2S(Arc B390) |
|---|---|---|---|
| Forza Horizon 5 中・アップスケーリング(品質) | 85 | 95 | 116 |
| F1 24 高・アップスケーリング(バランス) | 72 | 74 | 115 |
| Horizon Zero Dawn 画質優先・FSR 2 | 55 | 70 | 71 |
| サイバーパンク2077 中・アップスケーリング(バランス) | 50.3 | 59.7 | 87.9 |
| The Callisto Protocol 中・FSR 2 | 41.2 | 56.0 | 78.7 |
| メトロ エクソダス 高・レイトレーシング「Normal」 | 27.5 | 33.3 | 52.6 |
| ボーダーランズ4 高・アップスケーリング(品質) | 16.2 | 16.1 | 48.1 |
※単位はfps(平均フレームレート)。計測時の電力設定は、EVO-X1 Proが54W(バランスモード)、SER9が70W、EVO-T2Sが60Wです。バーの長さは120fpsを上限とした比率です。
X1 ProがSER9を上回ったのは『ボーダーランズ4』の0.04fps差だけで、残りの6本は下回りました。『Horizon Zero Dawn』では21%、『The Callisto Protocol』では26%の差がついています。新しいHX 470を積んだ機種のほうが遅いという、型番の印象とは逆の結果です。
この差には、電力設定の違いが入っています。X1 Proはバランスモードの54Wで計測されていて、70WのSER9より16W低い条件でした。ただ、X1 Proをパフォーマンスモードにしても上限は65Wで、メモリも6400MT/sのままです。GPUの素の性能を見る3DMark Time Spyのグラフィックスコアでも、X1 Proは3,328とSER9の3,202を4%上回っただけでした。ゲーム性能はHX 370機と同じクラスと見るのが妥当です。
同じ表のEVO-T2S(Arc B390)は、X1 Proより『Horizon Zero Dawn』で29%、『サイバーパンク2077』で75%、『ボーダーランズ4』では約3倍速く出ています。Time Spyのグラフィックスコアも6,966と、X1 Proの2.1倍です。『Apex Legends』や『原神』など、ここにない人気タイトルでのRadeon 890Mの目安は、内蔵GPUの性能比較でほかの内蔵GPUと並べてまとめています。
実際に遊べる範囲は、『Forza Horizon 5』や『F1 24』のように、アップスケーリングを使えば1080pで70〜85fpsが出るタイトルまでです。『サイバーパンク2077』は中設定で50fps前後、2025年発売の『ボーダーランズ4』はフレーム生成を足しても30.2fpsで、快適とはいえません。
メモリ64GBが活きるのはゲームよりローカルAIと仮想マシン
64GBの容量は、ゲームではほとんど差になりません。内蔵GPUが使う分を差し引いても、32GBで足りないゲームはまれだからです。容量が効いてくるのは、複数の仮想マシンを同時に動かす作業や、長尺の動画編集、ローカルで動かす大規模言語モデル(LLM)です。
ローカルLLMでは、64GBあれば27B〜35B級のモデルを量子化して載せられます。ただし文章を書き出す速さの上限は、おおよそ「メモリ帯域÷モデルのサイズ」で決まります。X1 Proの帯域102.4GB/sは、Ryzen AI Max+ 395を積むEVO-X2の256GB/sの4割です。同じモデルを動かすと、生成速度の上限も4割ほどにとどまる計算です。メモリ容量ごとに動くモデルと速度の目安は、LM Studio Bionicの必要スペックで詳しく試算しています。
内蔵GPUに割り当てるメモリの量は、BIOSの「UMA Frame buffer Size」で変えられます。64GBあれば、GPU側に多めに回してもWindows側が窮屈になりにくい点は、32GBの旧EVO-X1にない利点です。
CPU性能CPUのマルチスレッドは伸びたが、旧EVO-X1との差は5%程度
CPUの伸びは、比べる相手で見え方が変わります。ゲーム性能と同じ検証では、Cinebench 2024のマルチコアがX1 Pro(65W)で1,195、SER9(70W)で1,010と、X1 Proが18%上回りました。Core Ultra X7 358HのEVO-T2Sの1,096よりも高い値です。
一方、旧EVO-X1を別の検証メディアが計測した値は1,139でした。計測した環境が違うので単純には比べられませんが、旧モデルとの差は5%ほどにとどまります。シングルコアはX1 Proが114で、SER9の121を下回っていて、1コアあたりの速さは伸びていません。HX 370の詳しい性能はRyzen AI 9 HX 370の解説にまとめています。
動画の書き出しやソースコードのビルドのように、全コアを使う作業では速くなります。ゲームのフレームレートはGPUで頭打ちになるので、このCPUの伸びはゲーム性能には表れません。
価格比較同じ予算なら、ゲームはArc B390機かRTX 5060機のほうが速い
X1 Proの25万1,999円を挟んで、17万〜35万円の価格帯で国内の公式ストアから買えるミニPCを並べます。
| モデル | GPU・メモリ | 公式ストア価格 |
|---|---|---|
| GMKtec EVO-X1 Pro | Radeon 890M(内蔵)、64GB LPDDR5-6400 | 25万1,999円 |
| GMKtec EVO-X1 | Radeon 890M(内蔵)、32GB LPDDR5X-7500 | 17万1,999円 |
| MINISFORUM M2 PRO-358H | Arc B390(内蔵)、32GB LPDDR5X-7467 | 25万1,999円(10月15日出荷予定) |
| MINISFORUM AtomMan G1 Pro | GeForce RTX 5060 8GB(単体)、32GB DDR5 | 29万1,999円 |
| GMKtec EVO-T2S | Arc B390(内蔵)、64GB LPDDR5X | 33万999円 |
| GMKtec EVO-X2 | Radeon 8060S(内蔵)、64GB LPDDR5X-8000 | 34万7,999円 |
※GMKtec JP公式ストアとMINISFORUM JP公式ストアの表示価格(2026年10月2日時点)。メモリ・SSD容量は各機種の最小構成です。
この表から、目的ごとの選び先は次の3つに分かれます。
X1 Proを選ぶ意味があるのは、64GBのメモリ、Wi-Fi 7、2.5GbE×2、M.2スロット2基を、590gの小さな筐体にまとめて欲しい場合です。ゲームを優先する理由はこの表のどこにもありません。
使いこなしX1 Proでゲームを遊ぶならパフォーマンスモードとOCuLink
X1 Proを買ってゲームも遊ぶなら、まずBIOSの「Power Limit Select」をパフォーマンスモード(最大65W)に切り替えます。前の節の計測は54Wのバランスモードだったので、ここから上積みが見込めます。65W運用時の温度は、ゲーム中で70℃、最大で88℃でした。
本格的にゲーム性能を足すなら、前面のOCuLink(PCIe 4.0 x4)に外付けのグラフィックボードをつなぐ方法があります。USB4(40Gbps)より帯域が広く、グラフィックボードの性能を引き出しやすい接続です。OCuLinkは抜き差しの前に本体の電源を切る必要があり、電源が入ったまま挿すとマザーボードが壊れるおそれがあります。
ただし、費用は別にかかります。RTX 5060単体の国内通販の最安は6万4,645円(10月2日時点)で、ここにOCuLinkドックとグラフィックボード用の電源が加わります。X1 Proの価格と合わせると、最初から単体のRTX 5060を積むAtomMan G1 Proの29万1,999円を超えます。OCuLinkは、今あるグラフィックボードを使い回す人や、あとから強いGPUへ載せ替えたい人向けの拡張手段と考えてください。接続方式の違いはeGPUの解説で比べています。
結論EVO-X1 Proが向いている人・向いていない人
- 仮想マシンや動画編集、ローカルLLMで64GBを使い切る作業が中心で、ゲームはついでの人
- 590gの小型機で、12コアのマルチスレッド性能が欲しい人
- Wi-Fi 7・2.5GbE×2・M.2スロット2基を1台にまとめたい人
- 手持ちのグラフィックボードをOCuLinkでつなぐ予定がある人
- ゲームが主目的の人(同じ価格のM2 PRO-358Hのほうが速い)
- 1080pで重い新作を遊びたい人(『ボーダーランズ4』は16fps台)
- メモリ32GBで足りる人(旧EVO-X1が8万円安い)
- ローカルAIの生成速度を重視する人(帯域が2.5倍のEVO-X2が向く)
おすすめ用途に合わせて選ぶミニPC
X1 Proは64GBとCPU性能に払う機種です。ゲーム性能を基準にするなら、同じ予算の別の3機種のほうが満足度は高くなります。


※価格・在庫は変動します。最新の価格はAmazonの商品ページでご確認ください。
FAQよくある質問
まとめまとめ|ゲーム目的ならEVO-X1 Proを選ぶ理由はない
GMKtec EVO-X1 Proは、Ryzen AI 9 HX 470と64GBメモリを手のひらサイズに収めたミニPCです。内蔵GPUは旧モデルと同じRadeon 890Mで、メモリはLPDDR5-6400に下がったため、ゲーム性能はHX 370を積む機種と同じクラスにとどまります。1080pで遊べるのはアップスケーリングを使った軽め〜中くらいの重さのタイトルまでです。
25万1,999円を払う理由になるのは、64GBの容量、旧世代より伸びたマルチスレッド性能、Wi-Fi 7や2.5GbE×2といった装備です。ゲームが目的なら同じ価格のM2 PRO-358H、同じGPUで安く済ませるなら旧EVO-X1、ローカルAIの速さを求めるならEVO-X2を選んでください。
EVO-X1 Proは「64GBのメモリが要る人のための小型PC」です。ゲーム性能は2024年のHX 370機から伸びておらず、同じ予算ならArc B390機のほうがはっきり速く動きます。64GBを使い切る作業が先にあって、ゲームはついでという人だけが選ぶ機種です。
出典:GMKtec JP公式ストア EVO-X1 Pro、GMKtec JP公式ストア EVO-X1、AMD Ryzen AI 9 HX 470 製品仕様、AMD Ryzen AI 9 HX 370 製品仕様、Wccftech GMKtec NucBox EVO X1 PRO レビュー、Notebookcheck GMKtec EVO-X1 レビュー、MINISFORUM JP公式ストア M2 PRO-358H、MINISFORUM JP公式ストア AtomMan G1 Pro







