360Hzで十分?CS2プロが語る600Hzモニターの実用性|500Hz研究とプロ940人の使用率から検証【2026年9月】
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500Hz研究とプロ940人の使用率から「その先」を検証
出典(確認日2026年9月23日):PC Gamer、Worcester Polytechnic Institute・NVIDIA研究チーム論文(ACM刊)、ProSettings.net、LG公式にもとづきます。
ゲーミングモニターのリフレッシュレート競争が、かなり極端な領域まで進んできました。240Hzや360Hzはすでに珍しくなくなり、400Hz・500Hz・600Hzを経て、2026年にはLGがフルHD・ネイティブ1000Hz対応の「UltraGear 25G590B」まで投入しています。
「144Hzから何Hzへ買い替えるべきか」という基礎的な比較は、当サイトの別記事ですでに整理しています。以降で扱うのは一段先、すでに360Hz前後を使っている人が、600Hzや1000Hzへさらに進む価値があるかどうかです。
PC GamerのCS2プロ選手への取材、Worcester Polytechnic InstituteとNVIDIAによる500fpsまでの研究、そしてCS2プロ940人の実際のモニター使用率という3つの一次情報から、360Hz以降の「その先」を検証します。
目次
要点プロは600Hzを否定していない、ただし条件付き
PC GamerがCS2プロのAzuwu選手・yxngstxr選手に取材したところ、360Hz・400Hz・600Hzの間の体感差は240Hzから360Hzへ上げたときほど大きくないという話が出ました。ただし2人とも「600Hzは無意味」とは言っていません。Azuwu選手は600Hzを「extra nice」と評価する一方、yxngstxr選手は多くのPCが600fpsを安定して出せない点を指摘しています。数字で見ても、360Hzと600Hzの更新間隔差は約1.11msで、240Hzから360Hzへ上げたときの約1.39ms短縮より小さくなっています。
発言CS2プロは360Hz・400Hz・600Hzをどう感じているか
PC Gamerが話を聞いたのは、LuminosityでプレイするAzuwu選手とyxngstxr選手です。Azuwu選手は「When I had 240 at home, I didn’t even really notice 360. But now I’m 360 I can’t go back down, you know, I feel it a lot.」と述べ、240Hz使用時には360Hzとの差をそれほど感じなかったものの、360Hzに慣れてからは240Hzへ戻る際の違いを強く感じるようになったと説明しています。そのうえで「I think 360, 400, 600 are all pretty similar… I’d say 400 is a nice spot and 600 is extra nice.」と続け、360Hz・400Hz・600Hzはかなり近い感覚だとしながら、400Hz付近を好意的に評価し、600Hzもさらに良いという趣旨の発言をしています。
yxngstxr選手は「I think it’s kind of a placebo, personal thing, you know? Because on most PCs you rarely get 600 fps, right?… 600 Hz with like 300 fps, it doesn’t even matter.」と述べ、600Hzモニターを使っていてもゲームが300fps程度しか出ていないのであれば、600Hzという数字のメリットは小さくなるという考えを示しています。つまり2人とも、高リフレッシュレート自体のメリットは認めつつ、360Hzを超えてからは差が小さくなり、さらにPC側が600fps近辺まで描画できるかという別の問題が出てくる、という立場です。
読み方「プロが360Hzを最適と認定」は少し違う
ここは元記事を読むうえで注意したいポイントです。「360Hzがスイートスポット」というのは、あくまでPC Gamer筆者自身の結論です。Azuwu選手自身は400Hz付近を良いポイントとして挙げていますし、600Hzについても否定していません。そのため、「CS2プロが360Hzで十分と断言」「600Hzはプロでも意味がない」といった解釈は原文より強すぎます。今回の発言から読み取れるのは、「240Hzから360Hzへ上げる差と比較すると、360Hzから600Hzへ上げる差はかなり小さい」ということです。
計算360Hzから600Hz・1000Hzで縮まる時間はどんどん小さくなる
リフレッシュレートは1秒間にディスプレイを何回更新できるかを表し、1秒をリフレッシュレートで割れば1回の更新間隔を計算できます。360Hz以降に絞って並べると、次のようになります。
| リフレッシュレート | 更新間隔 |
|---|---|
| 360Hz | 約2.78ms |
| 400Hz | 約2.50ms |
| 500Hz | 約2.00ms |
| 600Hz | 約1.67ms |
| 1000Hz | 1.00ms |
240Hzから360Hzでは更新間隔が約1.39ms短縮されますが、360Hzから600Hzでは約1.11ms、600Hzから1000Hzになると約0.67msしか縮まりません(144Hzから240Hz・240Hzから360Hzまでの詳しい逓減の様子は別記事の実データを参照してください)。Hzの数字は大きく増えているのに、短縮できる時間はどんどん小さくなる、いわゆる収穫逓減です。
遅延360Hzから600Hzで「1.11ms速くなる」わけではない
さらに注意したいのが、この1.11msという数字をそのまま「入力遅延が1.11ms改善する」と考えてはいけないことです。2.78msと1.67msはあくまで画面を更新する間隔で、マウスをクリックしてから画面へ結果が表示されるまでには、マウス入力・ゲームエンジン・CPU処理・GPUレンダリング・レンダーキュー・ディスプレイへの転送・パネルの走査・画素応答など複数の処理が挟まります。理想化して、新しいフレームがリフレッシュ周期のどこかへランダムに到着すると考えた場合、次の更新を待つ平均時間は更新間隔のおよそ半分です。360Hzなら約1.39ms、600Hzなら約0.83msとなるため、この部分だけで考えれば平均差は約0.56msにとどまります。
もちろん実際の表示はV-SYNC・VRR・テアリング・スキャンアウト方式などによって変わるため、この0.56msをそのまま実測入力遅延として扱うことはできません。当サイトで実測データを検証したAcer Nitro XV273U F5の記事でも、海外の実機レビューでは540Hzから1000Hzへ上げた際の入力遅延差は14.4msから11.1msへの短縮、つまり約3.3msにとどまっており、理論値だけで語れない部分があることが分かります。少なくとも「360Hzから600Hzにすると11msや5ms単位で反応が速くなる」という世界ではないことは、理論値・実測値のどちらからも見えてきます。
fps要件600Hzなら600fpsが必要なのか
600Hzモニターだからといって、必ず600fps以上出なければ画面が表示できないわけではありません。300fpsでも600Hzモニターは利用できます。ただし300fpsでは、ゲーム側から生成される新しいフレームは約3.33msに1枚です。一方600Hzモニターは約1.67msに1回更新できるため、単純化すればゲーム側の1枚のフレームをディスプレイ側が2回のリフレッシュにわたって表示することになります。600Hzにしたからといって、ゲームが存在しない中間フレームを勝手に作り、毎秒600種類の異なる映像を表示してくれるわけではありません。この意味では、yxngstxr選手の「600Hzなのに300fps程度ではメリットが小さい」という指摘は合理的です。
元記事の取材にあたった筆者自身もRyzen 7 7800X3DとRadeon RX 9070 XTを使い、CS2を1280×960や1080pで動かしても通常は500fps付近にとどまり、600fpsへ安定して到達するわけではないと述べています。600Hzモニターを購入したからといって、一般的なハイエンドゲーミングPCで自動的に600Hzを使い切れるわけではない点は押さえておく必要があります。
フレームタイム平均fpsより「安定して出せるか」が重要になる
600Hzモニターを競技目的で使うなら、平均600fpsという数字だけを見るのも危険です。ベンチマークで平均650fps出ていたとしても、スモーク・複数プレイヤーとの交戦・エフェクトが重なる場面で400fpsまで落ちるのであれば、その瞬間には600Hzへ毎回新しいフレームを渡せません。600Hzの1周期は約1.67msなので、フレーム生成時間が2msになった瞬間には500fps相当、3msなら約333fps相当まで実質的な更新頻度が落ちます。そのため600Hzクラスでは、平均fpsよりもフレームタイムや1% Lowの重要性がさらに高くなります。600Hzモニターを購入したからといって、重い場面での落ち込みまで解決されるわけではありません。
研究500Hz研究では「体感」は500fpsまで改善が続いた
一方、「360Hzを超えたら人間には分からない」という話にも注意が必要です。Worcester Polytechnic InstituteとNVIDIAの研究者らは、FPSゲームにおけるフレームレートの影響を調査した研究を公開しています。研究では、7fpsから最大500fpsまで安定して動作するよう作られた実験用FPS「Lead Rush」を使い、44人の参加者(平均年齢21.6歳、FPSゲームの自己評価スキルは5段階中平均2.9)を対象に、スコアや命中精度などの客観的なゲーム性能と、滑らかさの主観評価を測定しています。
結果は興味深いものでした。スコアなどプレイヤーの客観的な性能は低フレームレートから急激に改善するものの、約90fpsを超えると改善幅が小さくなりました。ところが、映像の滑らかさに対する主観評価については、測定した最大の500fpsまで改善が続いています。つまり「高fpsにしても成績はほとんど変わらない」ことと「高fpsになっても違いを感じない」ことは同じではありません。360Hzから500Hzへ上げてもキル数や命中率が明確に伸びるとは限りませんが、映像がより滑らかになったと感じる可能性は残っています。これはAzuwu選手の「360Hzに慣れてから240Hzへ戻したときの方が違いを強く感じた」という発言とも相性の良い結果です。
限界500Hz研究を「プロには500Hzが必要」と読むのも違う
この研究にも重要な限界があります。参加者は44人で、世界トップクラスのCS2プロを集めて検証した研究ではありません。自己評価によるFPSスキルは5段階中平均2.9で、一般的なゲーマー層に近い集団です。また使用されたのもCS2そのものではなく、研究用に作られた「Lead Rush」です。そのため、「一般参加者では90fpsを超えてスコアが伸びにくかったのでCS2プロにも360Hzは不要」とも、「500fpsまで滑らかさが上がったので全員500Hzを買うべき」とも言えません。この研究から分かるのは、高フレームレートによる客観的なゲーム成績の改善と、ユーザーが感じる滑らかさの改善は別々に考えたほうがよい、ということです。
DyAc600HzよりDyAcの方が分かりやすい可能性もある
今回の取材でもう1つ注目したいのが、ZOWIEのDyAcです。yxngstxr選手はDyAcによって動いている敵の輪郭が見やすくなるという趣旨の評価をしており、Azuwu選手もDyAcを有効にしてはいるものの違いは判断しづらいと答えています。600Hz対応のZOWIE XL2586X+ではFast TNパネルとDyAc 2を組み合わせており、600Hzのメリットは「1.67msごとに更新できる」ことだけではなく、バックライト制御によるモーションブラー低減も視認性に影響します。DyAc 2・ULMB 2といったストロービング技術の仕組みそのものは別記事で詳しく比較しているため、ここでは高Hz帯ではリフレッシュレート以外の性能も相対的に重要になる、という点だけ押さえておきます。
実態実際のCS2プロは何Hzを使っている?
「プロが何を使っているか」という意味では、Azuwu選手・yxngstxr選手の2人だけでなく、多数の選手をまとめたデータも参考になります。ProSettings.netでは2026年9月時点で940人のCS2プロ選手のモニターを集計しています。
| モニター | 最大Hz | 使用者数(割合) |
|---|---|---|
| ZOWIE XL2566K | 360Hz | 249人(26.49%) |
| ZOWIE XL2546K | 240Hz | 233人(24.79%) |
| ZOWIE XL2586X+ | 600Hz | 104人(11.06%) |
| ZOWIE XL2566X+ | 400Hz | 85人(9.04%) |
最も多いのは360HzのXL2566Kでした。600HzのXL2586X+もすでに100人以上が使用していますが、600HzがCS2プロの標準になっているわけではありません。ZOWIE全体では940人中約88.4%を占めています。ただし、このデータを「CS2プロがブラインドテストした結果360Hzが最強だった」と解釈してはいけません。プロの機材にはスポンサー・大会使用機材・チームからの提供・モデルの発売時期・練習環境との統一なども影響します。XL2566Kは長期間プロシーンで使われてきた製品なので、新しい600Hzモデルより普及台数が多いこと自体は不思議ではありません。それでも2026年9月時点で360Hzが依然として最大勢力という事実は、「600Hzがなければ競技にならない」という状況ではないことを示す材料にはなります。
結論360Hzは知覚限界ではなく費用対効果の境界線
ここまでを整理すると、競技FPSにおいて360Hz以降で「差が急に小さくなる」という感覚には数字の裏付けがあります。360Hzから600Hzでは更新間隔の差が約1.11ms、理想化した平均待ち時間差では約0.56msまで縮まり、600Hzをフルに活用するには500〜600fps級を継続的に出す必要があります。さらに600Hzから1000Hzへ上げても更新間隔の差は約0.67msです。そのため、価格・必要PC性能・得られる改善幅まで含めれば、360〜400Hz付近がコストと性能のバランスを取りやすい領域という考え方は成立します。
ただし、「360Hzを超えると人間には見えない」という意味ではありません。500Hzまで主観的な滑らかさが改善した研究結果もありますし、600Hz対応製品を使用するプロ選手も100人を超えています。360Hzは人間の知覚限界ではなく、現時点でのPC性能と費用対効果を考えた実用上の境界線に近いと考えたほうが正確です。
向く人360Hz・600Hz・1000Hzはどんな人に向く?
すでに360Hzや400Hzを使っている場合、600Hzへの変更は誰にでも勧められるほど大きな差ではありません。360Hzから600Hzで短縮される更新間隔は約1.11msです。それでも毎日CS2やVALORANTを長時間プレイし、PC側でも500〜600fps前後を安定して出せるのであれば、少しでも表示遅延と動体視認性を詰める目的で600Hzを選ぶ意味はあります。逆にCS2が400fps前後まで頻繁に落ちるPCなら、先にCPUやゲーム設定を見直したほうが600Hzへの投資を活かしやすくなります。
LGの25G590Bでは、フルHDでついにネイティブ1000Hzに到達しています。24.5型・IPS・1000Hz・1ms GTGという仕様で、1100Hzへのオーバークロックにも対応します。ただし600Hzとの更新間隔差は約0.67msで、1000Hzを1000種類のネイティブフレームで埋めようとすればゲーム側も1000fps級で動作する必要があります。2026年の1000Hzモニターは、360Hzを過去のものにする一般向けアップグレードというより、高リフレッシュレートの限界をさらに押し上げる競技・ハイエンド向け製品と見るほうが実態に近いでしょう。144Hzや240Hzから買い替えを検討している場合は、まず144Hz vs 240Hz vs 360Hzの比較記事から検討するのが近道です。
おすすめ360Hz以降で選ぶならZOWIEの400Hz・600Hz
Azuwu選手が「nice spot」と評価した400Hz、そして500〜600fps級を安定して出せる環境向けの600Hz。どちらもXL2566K(360Hz)の後継にあたる現行モデルです。
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FAQよくある質問
まとめまとめ|360Hzは限界ではないが2026年でもかなり合理的
PC GamerがCS2プロ2人へ高リフレッシュレートについて質問したところ、360Hz・400Hz・600Hzの差は240Hzから360Hzほど大きくなく、600fpsを安定して出せるPCが少ないという問題が挙げられました。数字で見ても、360Hzは約2.78ms、600Hzは約1.67msで、その差は約1.11ms。1000Hzでは1msになりますが、600Hzとの差は約0.67msまで縮まります。一方、最大500fpsを検証した研究では、スコアなどの客観的性能は約90fps以降で伸びが鈍ったものの、プレイヤーが感じる滑らかさについては500fpsまで改善が続きました。
したがって、「360Hzより上は人間には分からない」という結論にはできません。2026年9月時点のCS2プロ940人のデータでも360Hzモデルが最大勢力である一方、600Hzモデルを使用する選手も100人を超えています。
すでに360〜400Hzを使っているなら、600Hzへの買い替えは大幅な性能向上ではなく、500〜600fpsを安定して出せる競技環境で最後の1ms前後を詰めるためのアップグレードと考えるべきです。そして600Hzや1000Hzを選ぶときほど、Hzの数字だけでなく、実際のfps・1% Low・フレームタイム・DyAcなどの残像低減まで含めて判断することが重要です。





