『CODEX MORTIS』正式版配信|Claude Codeで「100%AI開発」したゲームは早期アクセス半年で何を作り直したか
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Claude Codeで作ったゲームは、早期アクセスの半年で視点ごと作り直された
『CODEX MORTIS(コーデックス・モーティス)』は、個人開発者のGROLAF氏が手がけ、CRUNCHFESTが販売するネクロマンサー題材のローグライトです。2025年12月のデモ公開時には「100% AI-driven development」を掲げ、海外で賛否を集めました。
約6か月の早期アクセスを経た正式版では、ゲーム全体をトップダウン視点からクォータービュー(アイソメトリック)視点に切り替え、全キャラクターのスプライトを作り直したうえで、魔法200種・キャラクター31人・最大4人のオンラインCo-opまで積み上げました。
注目したいのは「AIだけで作れた」という宣伝文句より、AI主体のコードベースが販売後の不具合修正と大改修に耐えたことです。開発者本人がSteamフォーラムとRedditで語った技術構成・つまずき・発見を拾い、遊ぶ側とAIでゲームを作りたい側の両方が判断できる材料にまとめます。
出典:Steamストア『CODEX MORTIS』、公式ニュース「Codex Mortis 1.0 is OUT NOW!」、Steamコミュニティの告知一覧(「Road to Full Release」ほか)、開発者によるSteamフォーラム投稿「I would like to know the life cycle of the development」への回答、開発者のReddit投稿「My first Vibe-Coded Game – Codex Mortis Demo is Live On Steam」、PC Gamer(2025年12月の初報)。価格・レビュー・動作環境は2026年9月27日時点の情報です。
目次
要点まず何が起きたか
2026年3月26日に早期アクセスを始めた『CODEX MORTIS』が、9月24日に正式版へ移行しました。日本の通常価格は470円で、10月8日までは30%オフの329円です。Steamのユーザーレビューは「やや好評」、日本語を含む28言語に対応しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開発/販売 | GROLAF(個人開発)/CRUNCHFEST |
| ジャンル | ホードサバイバー型の弾幕ローグライト+呪文のデッキ構築 |
| 早期アクセス開始 | 2026年3月26日(当初の3月19日から1週間延期) |
| 正式版(Ver.1.0) | 2026年9月24日 10:00(米国太平洋時間)/日本時間9月25日未明 |
| 価格(日本) | 470円。10月8日まで30%オフの329円 |
| 対応OS | Windows、Linux(ネイティブ版)。Steam Deck認証済み。Macは非対応 |
| 日本語 | 対応(全28言語) |
| マルチプレイ | 最大4人のオンラインCo-op、ローカルCo-op(画面共有) |
| AI生成コンテンツの開示 | コード全体、テキスト、アート、サウンド、音楽にAIを使用 |
内容正式版で何が増えたのか
ゲームの骨格は『Vampire Survivors』系の「押し寄せる敵の群れを自動攻撃でなぎ倒す」形です。そこに、出撃前に手持ちの呪文からデッキを組み、ラン中に稼いだポイントでブースターパックを開けてコレクションを増やすカードゲーム的な育成が重なります。


スクリーンショット出典:Steamストア『CODEX MORTIS』
Ver.1.0で加わった中身は、公式の告知によると次のとおりです。
- オンラインCo-op(最大4人)。Steam経由でホストし、パスワードかセッションコードで参加者を絞れます。途中で落ちたプレイヤーは、残りのメンバーがプレイを続けたまま再参加できます
- 魔法の学派が5つ増えて10学派に。Harvest(大鎌)、Death Knight(近接剣技)、Spiritism(霊の砲台や壺)、Desolation(砂の亡霊と領域)、Apothecary(錬金術と疫病)が加わり、呪文は100種増の計200種です
- ヒーローが20人増えて31人に。多くは2〜3学派をまたぐ構成です
- ストーリー第2章「Apocrypha」に4ステージ追加。最後は体力60万・3段階のボス戦で、ステージは全14になりました
早期アクセス初日に約束していた機能はオンラインCo-opだけで、それを正式版で回収した形です。あわせて、開発の経緯を開発者本人が語る約15分のドキュメンタリー映像も公開されています。
技術ゲームエンジンを使わずTypeScriptとClaude Codeで組んだ構成
『CODEX MORTIS』はUnityやUnreal Engine、Godotといった既存のゲームエンジンを使っていません。デモ公開直後の2025年12月、開発者はRedditで構成を次のように説明しています。
| 役割 | 採用した技術 |
|---|---|
| 言語 | TypeScript(エンジンを使わずゼロから構築) |
| 描画 | PixiJS(Webブラウザ向けの2D描画ライブラリ) |
| ゲームロジックの土台 | bitECS(エンティティ・コンポーネント・システム方式のライブラリ) |
| デスクトップアプリ化 | Electron(Tauriを先に試したがSteamとの連携がうまくいかず断念) |
| コーディング | Claude Code(デモ時点では主にClaude Opus 4.1と4.5) |
| アート | ChatGPT(画像APIではなく通常のチャット画面で生成) |
| キャラクターの動き | コマ送りのアニメーションではなく、Claude Codeに書かせたシェーダーで揺らす方式 |
開発者は2026年1月のReddit投稿で、利用したのはClaude Maxプラン(月額200ドル)で、追加のトークン購入は必要なかったとも答えています。本業の後に空き時間で作っていた個人プロジェクトで、デモまでの期間は約3か月でした。
エンジンを使わなかった理由も明かされています。当初は既存プロジェクトにAIツールを組み込もうとしたものの、AIがエンジンの大部分に触れられず、MCP(AIに外部ツールを操作させる仕組み)のサーバーも常に外付けの存在になりました。開発者は「ほとんどのゲームエンジンは人間向けのインターフェースで、機械向けではない」と判断し、AIがコードベース全体をテキストとして扱える構成を一から組むことにしました。
転機「バイブコーディング」は数日で試作できたが、すぐ壁に当たった
開発者がSteamフォーラムで開発の経緯を尋ねられた際の回答は、AI主体の開発でどこが詰まるかを具体的に示しています。同じスレッドでは運営側のアカウント「CRUNCH」が「開発者が書き、AIで翻訳した」と補足しています。
- 最初の技術構成で、数日のうちに遊べる試作ができた。昼間に画像を生成して素早く作り直せたため、コンテンツが一気に増えました
- セッションをまたぐと絵柄がぶれた。この点はChatGPTがいちばん好みの画風を保てたといいます
- モデルのコンテキスト長が限界になった。AIが設計の一貫性を保てなくなり、効率の良いコードも書けず、オブジェクト指向(OOP)中心の作りでは最適化も保守も難しくなりました
- いったん数歩戻り、土台を設計し直した。ソフトウェア設計を専門とする開発者自身がECS方式で基盤を組み直し、厳しい設計上の制約をAIに課したうえで開発を再開しました
開発者はこの切り替えを、「あれを足して、これを足して」と頼むバイブコーディングから、バイブエンジニアリングに近いものへの移行と表現しています。その結論が「AIは良いプログラマーだが、アーキテクト(設計者)としては不十分」という一文です。
開発者によると、AIはOOPのほうがECSより明らかに得意で、状態遷移(ステートマシン)の実装は今も弱点です。スキルや敵、ゲームの仕組みをECSで実装するのは手間が増えましたが、仕上がりは格段に堅牢で拡張しやすくなったと説明しています。Redditでも、ある程度の規模のコードベースができてからようやくAIがECSの型を守るようになったと書いています。
テストについては、自動テストの計画はAIが手伝ったものの、検証の大半は人間のテスターが担いました。数か月で約100件のバグを見つけて直し、その多くは「同じ処理の経路が2つできていて、片方だけが修正され続けていた」といった、AI生成コードに典型的な重複だったといいます。
ゲームの仕組みや世界観、テーマといった核の部分は開発者自身が決め、AIには「スキル同士に論理的なシナジーがあること」のような明確な制約の中で組み合わせを探らせた、という役割分担も明かされています。「100%AI」の実態は、AIが自律的にゲームを作ったのではなく、制作作業の大部分をAIに任せ、方向性と設計と検証を人間が握る開発です。
経緯早期アクセスの半年で何を作り直したか
Steamコミュニティに残る告知を数えると、早期アクセス中(3月27日〜9月16日)に出た告知は32本ありました。月ごとの内訳を見ると、開発の進め方が途中で大きく変わったことが分かります。
| 時期(告知数) | 主な中身 |
|---|---|
| 3月末(3本) | 発売翌日と5日後に緊急修正(Hotfix #1、#2)、Community Update #1 |
| 4月(18本) | 「Community Update」を#2〜#15までほぼ毎日配信。新呪文、サバイバーモード、難易度「Mortis」、エンドゲームの育成、Steam Deck認証 |
| 5〜6月(5本) | 呪文を変質させるMutation Systemと第2章Apocryphaを実装、新学派5つはDiscordのベータで先行テスト |
| 7月(0本) | 告知なし(8月の報告で「多くのものを分解して組み直していた」と説明) |
| 8月(2本) | 全体をクォータービュー化、全キャラクターのスプライトを新規作成、200スキルの最終アート、キャストタイムの導入 |
| 9月(4本) | デッキ構築方式の作り直し、ウルトラワイド対応、画面上の操作ボタン、描画の最適化 |
4月は新要素を毎日のように足していく段階で、5月以降はベータで大きな変更を試し、7月に表から消えて作り直すという流れです。8月7日の告知「Road to Full Release」では、トップダウン視点からクォータービューへの変更を「いちばん大きな変更で、ほかのすべてに時間がかかった理由」と説明し、ゲーム内のキャラクタースプライトはすべて新しくなったと明言しています。
視点の変更は見た目だけの話ではありません。キャラクター、背景、UI、エフェクトなど画面を構成するものすべてに影響しうるため、手作業の開発でも後半に手を付けるのは重い改修です。それを販売中のタイトルで実施し、正式版まで持っていったことが、『CODEX MORTIS』でいちばん評価すべき点だといえます。
調整200スキルを量産できても、遊べるかは人間が見ていた
8月の告知には、AIで大量に作れることの裏側を示す調整も書かれています。クールダウン短縮を積み上げたビルドでは待ち時間がゼロになり、スキルが毎フレーム発動して画面が読めなくなっていました。そこで全スキルにクールダウンとは別の「Cast Time(詠唱時間)」を設け、1回の発動が終わるまで次を撃てないようにしています。
開発者は「1つのスキルでステージ全体をスロップ(粗悪なAI生成物を指す俗語)まみれにするより、画面で何が起きているか見えるほうがいい」と書いています。200種の呪文を用意すること自体はAIが速くても、組み合わせでバランスが壊れる箇所を見つけて仕様を変える判断は、プレイヤーの声とテストを通じて人間が下していたわけです。
早期アクセスという売り方も、この回し方と噛み合っています。開発チームはデモ段階からDiscordでベータ参加者を募り続け、変更を先に試してから本線に入れる運用を正式版の直前まで続けました。AIで変更を速く作れる開発では、作った変更を素早く確かめる場が同じくらい重要になります。
動作環境PC版の必要スペックは軽いが、最低OSはWindows 11
ElectronはWeb技術でデスクトップアプリを作る仕組みで、重くなりがちという印象を持たれやすい技術です。ただ『CODEX MORTIS』の最低動作環境は十数年前のパーツまで含む軽さで、容量も140MBにとどまります。
| 項目 | Windows(最低) | Linux・SteamOS(最低) |
|---|---|---|
| OS | Windows 11(64bit) | Ubuntu 20.04以降/SteamOS 3.0以降 |
| CPU | Core i3-2100/FX-4300 | Core i3/Ryzen 3 |
| メモリ | 4GB | 4GB |
| GPU | GeForce GTX 650/Radeon HD 7750/Intel HD Graphics 4000(VRAM 1GB) | Vulkan 1.1対応GPU |
| ストレージ | 140MB | 140MB |
推奨環境の欄は空欄です。気を付けたいのは最低OSがWindows 11と書かれている点で、Windows 10での動作は公式にはうたわれていません。Windows 10のPCで遊ぶなら、無料のデモ版(CODEX MORTIS Demo)で起動を確かめてから購入するのが確実です。Steam Deckは2026年4月に認証(Verified)を取得しており、公式は「調整なしでそのまま遊べる」と案内しています。
検証「世界初の100%AIゲーム」は事実として扱えない
『CODEX MORTIS』はプレスリリースで「世界初の、100%AIで作られた完全にプレイ可能なゲーム」とうたっていました。しかし2025年12月の初報の段階で海外のゲームメディアが指摘したとおり、趣味のプログラマーDavid Friedman氏がChatGPTで生成したブラウザゲーム『Doomscroll』など、ほぼ全工程を生成AIで作った先行例はすでにありました。世界初かどうかは検証できず、宣伝文句として受け取るのが妥当です。
そもそも正式版のストア説明文には「100% AI-driven development」の文言がなく、AI生成コンテンツの開示欄に「コード全体、テキスト、アート、サウンド、音楽にAIを使用」と書かれているだけです。早期アクセス開始日の告知では自ら「みんなのお気に入りのAIスロップゲーム」と名乗るなど、批判を逆手に取った宣伝を続けてきたタイトルでもあります。
意味があるのは「初」かどうかより、有料の早期アクセス作品として販売し、半年間のアップデートと大改修を経てVer.1.0まで届いた点です。ここまでの記録が一次情報で追えるAI主体のゲーム開発は、まだ多くありません。
影響AI開発が広がると遊ぶ側に何が起きるか
AI主体の開発が広がることには、遊ぶ側にとって歓迎できる面と警戒すべき面の両方があります。『CODEX MORTIS』の半年間の記録は、その両方を具体的に示しています。
- 開発期間が短くなり、新作や大型アップデートを早く遊べる可能性があります。本作も数日で遊べる試作にたどり着き、4月はほぼ毎日アップデートを配信していました
- 少人数でも作れる範囲が広がり、これまで予算や人手の都合で世に出なかった企画のゲームが増える可能性があります
- 制作コストが下がる分、低価格で出せる作品が増える可能性があります。本作も329円(10月8日まで)で遊べます
- 試作の速さだけを頼りに、設計や検証を省いた品質の低いAI丸投げのゲームが大量に出回るリスクがあります
- 本数が増えるほど、手間をかけて作られた良作がストアで埋もれて見つけにくくなります
- AI生成コードに多い不具合が残ったまま販売されるおそれがあります。本作でも処理の重複が原因のバグを、人間のテスターが約100件見つけて直しています
本作が「AIスロップ」で終わらなかったのは、AIで速く作った分を、人間による設計の組み直しとテスト、プレイヤーの声を受けた仕様変更に回したからです。裏を返せば、この工程を省いた作品は同じ手法で作られていても品質が大きく劣ります。
買う側の見分け方としては、Steamストアの「AI生成コンテンツの開示」欄で何にAIを使ったかを確認し、早期アクセス作品なら更新告知の頻度と中身、デモ版の有無、直近のレビューを見るのが現実的です。AIを使ったかどうかより、発売後も直し続けているかどうかが、遊ぶ価値を判断する材料になります。
判断遊ぶなら、作るなら、どう受け止めるか
- 『Vampire Survivors』系にデッキ構築が加わった作品を329円で試したい人
- フレンドと最大4人のオンラインCo-opで遊べる安価なタイトルを探している人
- Steam DeckやLinuxで遊ぶ人(ネイティブLinux版とVerified取得済み)
- AI主体で作られたゲームが実際どこまで遊べるのか、自分で確かめたい人
- 生成AIのアートや音楽を使った作品にお金を払うこと自体に抵抗がある人
- Windows 10のPCで遊ぶ予定で、デモ版で起動を確かめる手間をかけたくない人
- 日本語のプレイ感想を読んでから決めたい人(日本語レビューは9月27日時点で3件)
AIでゲームを作ってみたい側にとっては、開発者が語った教訓がそのまま実践のチェックリストになります。
- 試作と製品を分けて考える。「1つの指示で作る」やり方は試作までで、実際の開発は別に始め直す必要がありました
- 設計は人間が持つ。コンテキスト長の限界で崩れた設計を立て直したのは、設計を専門とする開発者自身でした
- AIが苦手な型を把握しておく。ECSやステートマシンは、OOPより指示と確認の手間が増えます
- 重複した処理の経路を疑う。約100件のバグの多くが、片方だけ修正される重複コードでした
- 検証の場を先に用意する。Discordベータで変更を試してから本線に入れる運用が、大改修を支えていました
FAQよくある質問
まとめまとめ|AIゲーム開発の評価軸は「作れるか」から「直し続けられるか」へ
『CODEX MORTIS』は、TypeScript・PixiJS・bitECS・Electronという構成をClaude Codeで組み、コードからアートや音楽まで生成AIで作ったと開示するローグライトです。正式版では10学派200種の呪文、31人のヒーロー、最大4人のオンラインCo-opを備え、329円(10月8日まで)で遊べます。
ただ、この作品が示したのは「AIだけでゲームが作れる」ことではありません。数日で試作できた一方、コンテキスト長の壁で設計が崩れ、人間が設計を組み直してから、販売中に視点変更と全スプライトの作り直しまでやり切りました。AIに任せた作業量は非常に大きく、それでも設計と検証と仕様判断は人間の側に残っていた、というのが半年分の記録から読み取れる実像です。
遊ぶ側にとっては、開発の短期化や低価格化で遊べる作品が増える期待がある一方、検証を省いたAI丸投げの作品が増えるリスクも抱えています。AIを使ったかどうかではなく、発売後も直し続けているかを見ることが、これからのAIゲームを選ぶ基準になります。
遊ぶ側は、Windows 10ならデモ版で起動を確かめてから329円で試すのが手堅い選択です。作る側は「AIは良いプログラマーだが設計者ではない」という開発者の結論を前提に、設計・テスト・検証の場を人間が先に用意しておくことが、試作で終わらせないための条件になります。



