AMD Zen 6モバイルAPU「Medusa Point」がGeekbenchに再登場|10コアでRyzen AI 9 HX 370超えのリーク【2026年7月】
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Ryzen AI 9 HX 370を最大28%上回るスコアを記録【2026年7月更新】
AMDの次世代ノートPC向けAPU(CPUとGPUを1チップにまとめた処理装置)とみられる「Medusa Point」が、ベンチマークソフト「Geekbench」の実行結果データベースに、これまでで最も高いスコアで再び登場しました。
開発中の試作チップである「Engineering Sample(量産前の評価用サンプル、通称ES)」の段階ですが、今回はシングルコア3,329・マルチコア16,555というスコアを記録。同じ識別番号を持つ7月上旬のサンプルから、シングルコアで約5%、マルチコアで約10%向上しています。
結論から言うと、現行のAMDノート向け上位CPU「Ryzen AI 9 HX 370」をシングルコアで約28%、マルチコアで約24%上回る計算です。ただし、これは発売前の試作品1個体によるベンチマーク1件の結果であり、実際の製品性能が確定したわけではありません。
本記事では、今回判明したスコアの詳細、7月上旬版・3月版との比較、Ryzen AI 9 HX 370/365やデスクトップ向けZen 5との位置関係、そして「まだ確定情報ではない」点も含めて整理します。
目次
要点まず何が起きたか
AMD次世代モバイルAPU「Medusa Point」とみられるEngineering Sampleが、Geekbench 6でシングルコア3,329・マルチコア16,555というスコアを記録しました。
10コア20スレッドという構成ながら、12コア24スレッドの現行上位モバイルCPU「Ryzen AI 9 HX 370」(シングル2,605・マルチ13,397)を、シングルで約28%、マルチで約24%上回っています。同じ10コア20スレッドの「Ryzen AI 9 365」(シングル2,469・マルチ12,409)と比較しても、シングルで約35%、マルチで約33%の伸びです。7月上旬に確認されていた同じ識別番号のサンプル(シングル3,174・マルチ15,092)からも、約10日でシングル約4.9%、マルチ約9.7%向上しました。
詳細スコアの中身と、7月上旬版・3月版との比較
今回検出されたサンプルは、Geekbench上でプラットフォーム名「AMD Plum-MDS1」、CPU名「AMD Eng Sample: 100-000001713-33_N」として登録されています。Geekbench 6.6.0(Windows・AVX2命令セット有効)での計測で、コア構成は10コア20スレッド、4コアと6コアの2クラスターに分かれています。L2キャッシュは1MB×10で合計10MB、共有L3キャッシュは32MB、メモリ容量は約32GB、OSはWindows 11 Pro、電源プランはバランスと表示されています。登録日は2026年7月17日です。
この系統のESの確認は今回で4回目です。初出は3月中旬で、このときのスコアはシングル1,210・マルチ7,323にとどまっていました。それが3月下旬の2回目で2,300・13,002へ、7月上旬の3回目で3,174・15,092へ、そして今回の4回目で3,329・16,555へと、検証が進むごとに大きく伸びています。7月上旬の結果から今回までの約10日間だけを見ても、シングルコアは155ポイント(約4.9%)、マルチコアは1,463ポイント(約9.7%)の上昇です。
7月上旬版もGeekbench 6.6.0のWindows AVX2版で測定されており、プラットフォーム名とCPU識別番号も一致しているため、少なくともバージョンが大きく異なるGeekbenchの結果を単純比較しているわけではありません。性能が上昇した理由は明らかにされていませんが、開発中のCPUでは、BIOSやファームウェア、電力管理、ブーストクロックなどの調整によってベンチマーク結果が変化することがあります。測定した個体や冷却環境、電力設定が同一かは確認できないため、約10%の上昇がそのまま設計上の改善を意味するとは限らない点には注意してください。
シングルコアスコア比較
マルチコアスコア比較
特に注目したいのはシングルコアスコアの伸びです。ノート向けAPUは消費電力の上限(TDP)が厳しく設定されるため、複数コアを同時に酷使するマルチコア性能よりも、1コアあたりの処理効率を示すシングルコア性能の方が、ゲームやブラウジング、アプリの起動といった日常的な体感の良さに直結しやすい傾向があります。
もう一つ興味深いのは、Geekbench上でこのサンプルが「4コア+6コアの2クラスタ構成」として表示されている点です。Geekbenchの表示だけで正確なコアの役割分担までは断定できませんが、高性能寄りのコア群と高効率寄りのコア群を組み合わせる設計が、AMDの次世代モバイルAPUでも続く可能性を示唆しています。
Geekbenchの概要欄では、CPUのベースクロックが2.00GHz、最大周波数が2,152MHzと表示されていますが、この数値のままでシングルコア3,329を記録することは考えにくいです。詳細なベンチマークデータでは、実際には最大約5.37GHzに到達していたと報じられています。前回(7月上旬)の結果でも、Geekbench上の最大クロックは約2.06GHzと表示されていましたが、これも実際の動作周波数を反映していない可能性が高いとされています。開発中の未対応CPUであるため、GeekbenchやWindowsが動作周波数を正しく読み取れていないとみられますが、この約5.37GHzという数値は詳細情報に基づく報道であり、最終製品の仕様になるとは限らない点には注意してください。
比較デスクトップ向けRyzen 7 9700Xに迫るスコア
今回のMedusa Pointサンプルは、現行のモバイルCPUだけでなく、デスクトップ向けZen 5 CPUに近いスコアも記録しています。
| CPU | シングルコア | マルチコア |
|---|---|---|
| Ryzen 7 9700X(デスクトップ・8コア) | 3,345 | 16,882 |
| Medusa Point ES(モバイル・10コア) | 3,329 | 16,555 |
| Ryzen 5 9600X(デスクトップ・6コア) | 3,318 | 14,742 |
Medusa Pointとの差は、Ryzen 7 9700Xに対してシングルコアで約0.5%、マルチコアでも約2%にとどまります。6コア12スレッドのRyzen 5 9600Xが記録したシングルコア3,318・マルチコア14,742も上回りました。
ただし、これも厳密な直接比較ではありません。ノートPC向けAPUとデスクトップ向けCPUでは、消費電力、冷却性能、メモリ構成、OSの状態などが大きく異なります。Geekbenchは短時間で完了するテストでもあるため、長時間のレンダリングや動画エンコードでも同じ関係になるとは限りません。それでも、開発中の10コアモバイルAPUがGeekbench上でデスクトップ向けRyzen 7 9700Xに近い数値を示した点は注目に値します。
スペック比較対象「Ryzen AI 9 HX 370」の公式スペック
今回上回ったとされるRyzen AI 9 HX 370は、AMDの現行モバイル向けAPU「Strix Point」世代の上位モデルです。AMD公式仕様を確認します。
| 項目 | Ryzen AI 9 HX 370(公式仕様) |
|---|---|
| コア/スレッド | 12コア24スレッド |
| 最大ブーストクロック | 5.1GHz |
| キャッシュ | L2 12MB/L3 24MB |
| TDP | 標準28W(cTDP 15〜54Wで調整可能) |
| 世代 | Strix Point |
コア数だけを見ればHX 370(12コア24スレッド)の方がMedusa Point ES(10コア20スレッド)より多いにもかかわらず、Geekbench上ではMedusa Point側が上回っています。単純なコア数の比較ではなく、コアあたりの処理効率がZen 6世代で伸びている可能性がある、という点がこのリークのニュース性です。
命令セット32MBのL3キャッシュとAVX-512系命令を確認
Geekbenchの登録情報には、AVX2に加えて以下の命令セットも表示されています。
- AVX-512 F
- AVX-512 DQ
- AVX-512 BW
- AVX-512 VL
- AVX-512 VNNI
- AVX-512 FP16
- AVX-VNNI
- VAES
これらはGeekbenchがCPUから取得した識別情報であり、Zen 6世代でも幅広いAVX-512系命令が利用できる可能性を示しています。ただし、対応命令セットから実際のアプリ性能を直接予測することはできません。ソフトウェア側の対応状況や実装、動作クロック、電力制限などによって効果は変わります。
型番「Ryzen 500」はRyzen 5000シリーズとは別物
海外メディアは、Medusa Pointが将来のモバイル向け「Ryzen 500」シリーズとして登場すると報じています。ここで注意したいのが、Zen 3世代の「Ryzen 5000」シリーズとの違いです。
今回報じられているのは末尾に0が3つ付く「Ryzen 5000」ではなく、「Ryzen 500」という新しいモバイル向けの命名です。AMDが近年採用しているRyzen AI 300やRyzen AI 400などの流れに続く世代名とみられます。ただし、Medusa Pointの正式なシリーズ名や個別の製品名はAMDから発表されていません。Geekbenchの登録ページにも「Ryzen 500」や「Medusa Point」という名称は表示されておらず、確認できるのはAMD製エンジニアリングサンプルの識別番号だけです。そのため、「Medusa Point」や「Ryzen 500」という情報は、これまでに報じられたロードマップやリークを組み合わせた推定となります。
評価期待できる点・まだ分からない点
期待できる点
- シングルコアスコアが7月上旬版から約4.9%、HX 370比でも約28%向上
- コア数がHX 370より少ないにもかかわらず総合スコアで上回っている=IPC向上の手応え
- デスクトップ向けRyzen 7 9700Xに迫るスコアを、10コアのモバイルAPUで記録
- 薄型ノートで重視される「電力あたりの処理効率」が伸びる可能性がある
まだ分からない点
- Engineering Sample(試作品)1個体・Geekbench 1件の結果にすぎず、量産品の性能が確定したわけではない
- Geekbench上のクロック表示(ベース2.00GHz・最大2,152MHz)は実際の動作周波数を反映していない可能性が高い
- 内蔵GPUのアーキテクチャ・演算ユニット数・ゲーム性能・NPU性能・メモリ帯域は今回のCPUベンチマークからは分からない
- TDP・実際の消費電力・バッテリー駆動時間・発売時期・搭載製品の価格は現時点で未発表
結論としては、「Zen 6世代のモバイルAPUはCPU性能で大きく伸びる可能性がある」とは言えますが、「Medusa Point搭載ノートが快適に使えるか」を判断するには内蔵GPU性能・NPU性能・実際の消費電力・搭載ノートの価格が出そろうまで待つ必要があります。特にゲーミングノートPCや携帯型ゲーミングPCでは、内蔵GPUの性能とメモリ帯域が実際のゲーム体験を大きく左右するため、今回のGeekbench結果だけを見て「ゲーム性能がHX 370より28%高い」と判断することはできません。
現時点では、次世代を見据えた注目情報の一つとして捉えるのが妥当です。
参考今買うならRyzen AI 9 HX 370搭載ノートが選択肢
Medusa Point搭載ノートの登場はまだ先の話で、発売時期も未発表です。今すぐ高性能なAMDノートが欲しい場合は、現行上位のRyzen AI 9 HX 370搭載モデルが現実的な選択肢になります。
今回の比較対象になったCPUそのものを積んだ構成を2つ紹介します(価格は変動するため、最新は各リンク先で確認してください)。
今回リークしたAMD次世代モバイルAPU「Medusa Point」は、Engineering Sample段階ながらGeekbench上で現行上位のRyzen AI 9 HX 370をシングルコアで約28%上回るスコアを記録し、Zen 6世代でのモバイル向けCPU性能向上への期待をさらに高める内容でした。7月上旬版からもわずか10日ほどでシングル約5%・マルチ約10%向上しており、デスクトップ向けRyzen 7 9700Xに迫るスコアも記録しています。
ただし、これはあくまで試作チップ1個体によるベンチマーク1件の結果です。クロック表示(実際は約5.37GHzとされる)の誤認識が疑われる点、内蔵GPU・NPU・実ゲーム性能や発売時期・価格が一切分かっていない点を踏まえると、現時点で「Zen 6モバイルは確実に速い」と断定するのは早計です。
今すぐ高性能なAMDノートが必要な場合は、今回の比較対象になったRyzen AI 9 HX 370搭載モデルが現実的な選択肢になります。Medusa Pointの続報が出次第、本記事も更新します。



