MediaTek新SoC「Dimensity CX C10 Max」発表|Googlebook現行5機種は非搭載
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現行Googlebook 5機種は非搭載、仕様はChromebook向けチップとほぼ同一
出典(確認日2026年9月23日):MediaTek公式 Dimensity CX C10 Max製品ページ、MediaTek公式 Kompanio Ultra 910製品ページ、MediaTek公式 Dimensity 9400+製品ページ、Tom’s Hardware、Googlebook公式FAQ、Notebookcheck Lenovo Chromebook Plus 14レビュー、9to5Googleにもとづきます。
MediaTekが新しいノートPC向けチップを発表したと聞くと、まず気になるのは「Googlebookの性能が上がるのか」という点です。ただし現在予約受付中のGooglebook 5機種を確認しても、搭載されているのはIntel Core Ultra 5とSnapdragon X Eliteだけで、今回発表されたチップの名前はどこにも出てきません。
MediaTekは2026年9月21日、新シリーズ「Dimensity CX」の第1弾として「Dimensity CX C10 Max」を発表しました。TSMCの第2世代3nmプロセスで作られたオクタコアCPU・11コアGPU・第8世代NPUを積むノートPC向けチップで、Googlebook向けの専用設計だとうたわれています。ただし公式仕様を1つずつ照合すると、既にLenovo Chromebook Plus 14などに搭載されているChromebook向けチップ「Kompanio Ultra 910」とほぼ同一の中身で、GPUコア数では自社のスマートフォン向け「Dimensity 9400+」を下回るという、額面通りには受け取りにくい実態が見えてきます。
このチップがどの製品に載るかもまだ確定しておらず、報じられているのは「Lenovoの未発表タブレット」という話にとどまります。ここではMediaTek公式の3チップの仕様を横並びで照合したうえで、ゲーミングPCサイトの読者にとって本当に重要な論点、つまりこのチップが載ってもPCゲームの遊び方(GeForce NOW経由のクラウドストリーミング)自体は変わらないという事実と、日本の読者が今の時点で何をすべきかを整理します。

目次
要点まず何が起きたか
発表「Dimensity CX C10 Max」の中身
Dimensity CX C10 Maxは、MediaTekが新設したノートPC向けブランド「Dimensity CX(Compute Experiences)」の第1弾チップです。MediaTek公式の製品ページによると、TSMCの第2世代3nmプロセスで製造され、CPUは「Arm Cortex-X925×1(最大3.73GHz)+Cortex-X4×3+Cortex-A720×4」の8コア構成、GPUは「Arm Immortalis-G925 MC11」(11コア)、NPUは第8世代の「MediaTek NPU 890」で最大55TOPS(dense)としています。メモリはLPDDR5X(最大9600Mbps)、ストレージはUFS 4.0に対応し、通信はWi-Fi 7とBluetoothのデュアルエンジン構成です。
MediaTekのプレスリリースは、このチップを「次の知的コンピューティング時代に向けた、旗艦級の性能と電力効率を両立する設計」だと位置づけています。ファンレスの薄型ノートを主戦場に想定した内容で、カメラ用のImagiq 1090 ISP(最大32MP対応)も統合されています。
比較Kompanio Ultra 910・Dimensity 9400+と仕様を照合する
MediaTekはこのチップを「compute portfolioを引き上げる」新設計として発表していますが、公式仕様を1項目ずつ照合すると、既存の2チップとの共通点が目立ちます。比較対象は、同じくノートPC(Chromebook Plus)向けの「Kompanio Ultra 910」と、スマートフォン向け旗艦チップ「Dimensity 9400+」です。
- CPUX925×1(最大3.73GHz)+X4×3+A720×4
- GPUImmortalis-G925 MC11(11コア)
- NPUNPU 890・最大55TOPS
- メモリLPDDR5X 最大9600Mbps
- プロセスTSMC第2世代3nm
- CPUX925×1(最大3.62GHz)+X4×3+A720×4
- GPUImmortalis-G925 MC11(11コア)
- NPUNPU 890・最大50TOPS
- メモリLPDDR5X 最大8533Mbps
- プロセスTSMC第2世代3nm
- CPUX925×1(最大3.73GHz)+X4×3+A720×4
- GPUImmortalis-G925 MC12(12コア)
- NPUNPU 890(同世代)
- メモリLPDDR5X 最大10667Mbps
- プロセスTSMC第2世代3nm
CPUのコア構成は3チップとも共通で、C10 MaxとDimensity 9400+はCortex-X925の最大クロックまで3.73GHzで一致しています。GPUもNPUも同じ型番を共有しており、C10 MaxがKompanio Ultra 910に対して優位なのはメモリ帯域(9600Mbps対8533Mbps)とNPUのTOPS値(55対50)程度です。Tom’s Hardwareはこの状況を「Kompanio Ultraとよく似た仕様」と評しており、公式仕様書を照合するかぎりその指摘は妥当だといえます。
核心Chromebookには展開しない方針をMediaTekが明言
Dimensity CX C10 MaxについてMediaTekのVP of Computing Platforms、PD Rajput氏は「われわれが見ているデバイスのカテゴリー、参入するセグメントでいえば、競合するのはX1E(Snapdragon X Elite)だ」と述べています。
Chromebook・Chromebook Plusへの展開についても、Rajput氏は「Chromebook・Chromebook Plus向けには下ろさない」と明言し、C10 Maxの位置づけを「compute portfolioを引き上げる」ものだと説明しました。
つまりC10 Maxは、Kompanio Ultra 910が担うChromebook向けラインとは別枠として設計されており、既存のChromebook Plusユーザーが今後のアップデートでこのチップの恩恵を受けることはない、とMediaTek自身が線引きしています。競合として名指ししたのもQualcommの最新モデル「Snapdragon X2 Elite」ではなく、1世代前の「Snapdragon X Elite(X1E)」である点も見逃せません。MediaTek自社発表のベンチマークでは、Geekbench 6.5を用いた12W同一電力条件の比較で、Snapdragon X Elite X1E-84-100搭載のSamsung Galaxy Book4 Edge(Windows 11)に対し、マルチスレッド性能で最大15%高速、シングルスレッドでは消費電力を最大50%抑えられるとしています。ただしこれはMediaTek自身が公表した数値で、OSもデバイスも異なる条件での比較であり、第三者による独立検証はまだありません。
GPUノートPC向けなのにGPUコア数はスマホ向けを下回る
今回の発表でもう1つ引っかかるのが、GPUのコア数です。C10 MaxのGPUは「Arm Immortalis-G925 MC11」で11コアですが、同じ第5世代Immortalis-G925アーキテクチャを積む自社のスマートフォン向け旗艦「Dimensity 9400+」はMC12、つまり12コア構成です。ノートPCという電力・排熱に余裕がある製品カテゴリー向けのチップが、バッテリー制約の厳しいスマートフォン向けチップよりGPUコア数で下回るという逆転現象が起きています。
Immortalis-G925自体はハードウェアレイトレーシングに対応した第5世代アーキテクチャで、Notebookcheckのベンチマークデータベースでは11コア構成の3DMark Steel Nomad Lightスコアが平均2,099ポイントと記録されています。ただしKompanio Ultra 910の公式仕様には「レイトレーシングはChromeOS非対応」という注記があり、ハードウェア自体はレイトレーシングに対応していても、OS側の実装次第で機能が無効化される場合があることが分かっています。Googlebook OSでこの機能が有効になるかどうかは、2026年9月23日時点でMediaTek・Google双方から具体的な案内はありません。
接点ゲーミングPC視点で見るべきはGPUの数字ではない
GPUコア数やNPUのTOPS値を細かく比較してきましたが、ゲーミングPCサイトの読者にとって本当に重要な論点は別のところにあります。Googlebook公式FAQには「PCゲームはNVIDIA GeForce NOW経由でプレイする」という記載があり、これはIntel・Snapdragon・MediaTekのどのチップを積んだGooglebookであっても変わりません。つまりC10 Max搭載機が登場したとしても、Counter-Strike 2やサイバーパンク2077のようなPCゲームは本体のGPUではなくNVIDIAのクラウドサーバー側で処理される設計のままで、オンチップGPUの11コアという数字がPCゲームの体験を直接左右することはない、というのが現状の仕組みです。
オンチップGPUの出番があるとすれば、Google Playからダウンロードして本体にインストールするAndroidゲームです。Googlebook公式FAQでもAndroidゲームは本体にダウンロードして遊ぶ方式だと案内されており、こちらはローカル実行なのでチップの実性能がそのまま体感に反映されます。MediaTekはChromebook・Chromebook Plusへの展開を否定していますが、Googlebook OSはChromeOSとは別物であるため、将来的にWindows向けゲーミングノートの領域までこのシリーズが広がるかどうかは、現時点で肯定も否定もできない未確定事項です。
判断日本の読者は今どうすべきか
- 現行のGooglebook 5機種にC10 Maxは1つも搭載されておらず、公式FAQが挙げる旗艦プロセッサもIntelとQualcommのみ
- 報じられているC10Max搭載製品は「Lenovoの未発表タブレット」で、型番・価格・発売時期とも公式発表なし
- Googlebook自体が2026年9月23日時点で日本を含む発売地域リストに入っていない
- Lenovoの未発表タブレットの型番・仕様・日本展開の有無
- Googlebook OS上でImmortalis-G925のレイトレーシングが有効化されるか
- MediaTek幹部が否定したChromebook以外(Windows機など)への展開余地
今すぐ買う・待つの判断が発生する段階ではなく、搭載製品も国内展開も確定していないというのが実情です。それでもこの世代のMediaTekシリコンの実力を今のうちに体感しておきたいなら、CPU・GPU・NPUの型番がC10 Maxとほぼ共通するKompanio Ultra 910搭載のChromebook Plus機、たとえばLenovo Chromebook Plus 14が既に販売されています。Notebookcheckの実機レビューでは、Geekbench 6のCPUマルチコアが7659、GPU Vulkanが18367、Wi-Fi環境でのバッテリー駆動時間が15時間14分という実測値が出ており、C10 Max搭載機の性能を占う参考値として使えます。
比較今買えるKompanio Ultra 910機とCore Ultra 5機
C10 Max搭載機そのものはまだ買えませんが、ここまで仕様を照合してきた2つのチップには、それぞれ対応する実機があります。Kompanio Ultra 910はLenovo Chromebook Plus 14に、現行Googlebookが採用するCore Ultra 5は同じLenovoのCopilot+ PC「Yoga Slim 7i」に搭載されており、どちらもAmazon.co.jpで購入できます。
FAQよくある質問
まとめまとめ|数字より「まだ何も決まっていない」ことが重要
MediaTekは2026年9月21日、ノートPC向け新シリーズ「Dimensity CX」の第1弾チップ「Dimensity CX C10 Max」を発表しました。公式仕様を照合すると、CPU構成・GPU・NPUの型番は既存のChromebook向けチップ「Kompanio Ultra 910」とほぼ同一で、GPUコア数(11コア)は自社のスマートフォン向け旗艦「Dimensity 9400+」(12コア)を下回ります。MediaTek幹部はChromebook・Chromebook Plusへの展開を否定し、競合として名指ししたのも最新のSnapdragon X2 EliteではなくX1E世代でした。
現行のGooglebook 5機種にこのチップは1つも搭載されておらず、搭載が報じられているのはLenovoの未発表タブレットのみです。Googlebook自体も日本の発売地域リストに含まれていないため、日本の読者が今すぐ判断や購入を迫られる段階ではありません。このチップの実力を先取りしたい場合は、仕様がほぼ共通するKompanio Ultra 910搭載のChromebook Plus機がすでに参考材料として存在します。



