G.SkillのDDR4・DDR5「表記速度」訴訟が240万ドルで和解|支払いは8月18日開始、表記は「Up to」に変更
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支払いは2026年8月18日開始、製品表示は「Up to」表記へ変更済み
出典:classaction.org「$2.4M G.Skill Settlement Ends Class Action Lawsuit」、claimdepot.com「G.Skill DRAM Settlement」、G.Skill公式 Trident Z5 Neo製品ページ(F5-6000J3038F16GX2-TZ5N)、AMD公式 EXPO製品ページ、Intel公式 XMP解説ページにもとづきます(2026年8月時点)。
DDR5-6000のメモリを挿しているのにCPU-Zの表示が半分の3000MHz前後にしか見えず、「本当に表記どおりの速度で動いているのか」と戸惑った経験がある人は少なくないはずです。実はこの「表記速度どおりに動作しているように見えない」という点そのものが、米国では正式な集団訴訟の争点になっていました。
訴訟名はHurd et al. v. G.Skill International Enterprise Co., Ltd., et al.(米国カリフォルニア州中部地区連邦地方裁判所、事件番号2:22-cv-00685-SSS-MAR)。原告は、G.Skill製DDR4・DDR5メモリのパッケージや製品ページに記載された速度が、追加の設定なしでそのまま出る速度だと誤解させる表示だったと主張しました。G.Skillは不正行為を否認したまま、240万ドルの和解基金で解決に合意し、2026年8月18日から対象者への支払いが始まっています。あわせて、パッケージと公式製品ページの速度表記を「Up to」に変更することにも合意しており、この変更はすでに実施済みであることを、G.Skill公式サイトの製品ページで直接確認しました。
この記事では、訴訟の経緯・和解金の内訳・対象者の条件・支払いスケジュール・製品表示の変更内容という、自社でまだ扱っていないニュース部分を中心に整理します。MHzとMT/sの違いやXMP・EXPOの有効化手順といった技術的な仕組みは要点のみにとどめ、詳しくは既存の解説記事に譲ります。そのうえで、この和解を機に自分の手元のメモリが実際にXMP・EXPOで動作しているかを確認する方法まで案内します。
目次
経緯「表記速度どおりに動かない」という主張が集団訴訟に発展
訴訟の当事者は、原告Tristan Hurd氏・Ken DiMicco氏、被告G.Skill International Enterprise Co., Ltd.・G.Skill USA, Inc.ほかです。審理は米国カリフォルニア州中部地区連邦地方裁判所(担当判事Sunshine S. Sykes)で行われました。
原告側の主張は、DDR4-2133を超える、あるいはDDR5-4800を超える速度をパッケージや製品ページに記載する際、その数字があたかも追加設定なしでそのまま出る「デフォルトの速度」であるかのように受け取れる表示だった、というものです。実際には、これらの高クロック動作はIntel環境のXMP、AMD環境のEXPOをBIOSで有効にして初めて到達する速度であり、何も設定しなければJEDEC標準速度(SPD Speed)でしか動作しません。G.Skillは訴訟を通じて不正行為を一貫して否認しており、裁判所もどちらの主張が正しいかを判断していません。それでも訴訟を継続するコストと不確実性を避けるため、両者は和解に合意しました。
和解金額和解基金は240万ドル、弁護士費用や管理費用も内訳に含まれる
和解基金の総額は240万ドルで、non-reversionary、つまり使い切れなかった分がG.Skillに返還されない設計です。この基金から、弁護士費用・和解管理費用・原告への報奨金が差し引かれたうえで、対象者への支払いに充てられます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 和解基金総額 | 240万ドル(non-reversionary) |
| 弁護士費用 | 最大80万ドル |
| 和解管理費用 | 29万5000ドル |
| クラス代表者報奨金 | 最大1万ドル |
※出典:classaction.org「$2.4M G.Skill Settlement Ends Class Action Lawsuit」。金額は和解合意にもとづく上限額です。
対象者対象は米国居住者、デスクトップ向けDDR4・DDR5のみ、ノートPC用SODIMMは除外
今回の和解で対象になるのは、2018年1月31日から2026年1月7日までの間に、米国でG.Skill製のデスクトップ向けDDR4(定格速度2133MHz超)またはデスクトップ向けDDR5(定格速度4800MHz超)を購入した米国居住者です。ノートPC向けのSODIMMは対象外で、対象製品の条件からも外れています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象製品 | デスクトップ向けDDR4(定格速度2133MHz超)・デスクトップ向けDDR5(定格速度4800MHz超) |
| 除外製品 | ノートPC向けSODIMM |
| 対象期間 | 2018年1月31日〜2026年1月7日に購入 |
| 対象者 | 米国居住者のみ |
この和解はあくまで米国居住者を対象にした米国の集団訴訟です。日本在住のユーザーが同じ条件のG.Skill製メモリを持っていても、この和解による支払いの対象にはなりません。
スケジュール請求期限はすでに終了、支払いは2026年8月18日から始まっている
請求の受け付けは2026年4月7日で締め切られており、現時点で新たに請求書を提出することはできません。最終承認は2026年6月9日に下り、和解管理者は2026年8月18日から、承認済みの請求への支払いを順次開始しています。
| 日付 | できごと |
|---|---|
| 2026年1月7日 | 対象期間の終了日(この日までの購入分が対象) |
| 2026年4月7日 | 請求受付の期限(終了済み) |
| 2026年6月9日 | 最終承認 |
| 2026年8月18日 | 和解管理者による支払いの配布開始 |
支払い額受け取れる金額は一律ではなく、有効な請求件数に応じた按分
今回の和解は、購入時のレシートなど証拠がなくても、1世帯あたり最大5製品まで請求できる仕組みになっています。ただし受け取れる金額は一律に決まっているわけではなく、最終的に提出された有効な請求の総件数と、対象製品の総数に応じて按分される方式です。
そのため、実際に振り込まれる金額は請求者ごとに異なります。海外の請求者からは1件あたり数十ドル程度を受け取ったという報告も見られますが、これは公式に確定した一律の金額ではなく、最終的な有効請求件数によって変動する数字である点には注意が必要です。
表示の変更G.Skill公式サイトはすでに「Up to」表記へ切り替え済み
和解条件には、G.Skillがパッケージ・公式製品ページ・販売店向けの仕様情報について、定格速度の表記を「Up to」に変更し、オーバークロックが必要である旨の注意書きを加えることも含まれています。この変更が実際に反映されているかを、G.Skill公式サイトのTrident Z5 Neo DDR5-6000 CL30(型番F5-6000J3038F16GX2-TZ5N)の製品ページで直接確認したところ、速度表記はすでに「Up to DDR5-6000* CL30-38-38-96 1.35V」に変わっていました。
脚注には「Requires overclocking/BIOS adjustments. Maximum speed and performance depends on system components, including motherboard and CPU.」(オーバークロック・BIOS調整が必要です。最大速度と性能は、マザーボードやCPUを含むシステム構成によって異なります)という注意書きも明記されています。同じ製品のスペックページでは、Tested Speed (XMP/EXPO)が6000MT/s、SPD Speed (Default)が4800MT/sと、プロファイルを有効にした場合とデフォルトの速度が明確に分けて記載されていました。
製品ページには「The memory kit will boot at the SPD speed (standard JEDEC speed) at default BIOS settings」(このメモリキットは、BIOSの初期設定ではSPD速度=標準のJEDEC速度で起動します)と明記されています。パッケージの速度表記どおりに動かすには、BIOSでIntel XMP 3.0またはAMD EXPOプロファイルを有効にする操作が必要です。
背景なぜ表記速度どおりに動いていないように見えるのか
今回の訴訟の背景にあるのは、DDR4・DDR5メモリの「規格名の速度」と「BIOSの初期設定で実際に出る速度」が異なるという、規格そのものの仕組みです。製品名に付く数字(例:DDR5-6000)は1秒間のデータ転送回数を表すMT/sという単位で、CPU-Zの「DRAM Frequency」欄が表示するクロック周波数(MHz)は、DDR(Double Data Rate)の仕組み上、その半分の数値になります。さらにBIOSの初期設定では、この製品名の速度ではなくJEDEC標準速度(SPD Speed)で起動するため、購入したままの状態では規格名より低い速度で動いているように見えます。
この単位の違いやCPU-Zの表示の読み方、XMP・EXPOをBIOSで有効にする具体的な手順については、当サイトの「CPU-ZでDDR5-6000が3000MHzと表示されるのは正常?」で換算表つきで詳しく解説しています。XMP・EXPOを有効にしたあとに不安定になったりブルースクリーンが出たりする場合の対処法は、「XMP・EXPOを有効にしたら不安定・ブルースクリーンになる原因と対処法」にまとめています。
確認方法自分のDDR4・DDR5メモリがXMP・EXPOで動いているか確認する
今回の和解の対象は米国居住者に限られますが、パッケージどおりの速度が自動的に出るわけではないという構造自体は、国や購入時期を問わず共通の仕組みです。手元のPCで実際にどう動作しているかは、次の手順で確認できます。
- CPU-Zを起動し「Memory」タブを開く。「DRAM Frequency」の数値を確認します。DDR5-6000なら3000MHz前後、DDR5-5600なら2800MHz前後が、XMP・EXPOが有効になっている場合の目安です。
- 表示値がさらに低い場合はSPD速度で動作している可能性がある。DDR5メモリのJEDEC標準速度は4800MT/s(2400MHz)前後のため、表示がこれに近い場合はプロファイルが有効になっていません。
- BIOS(UEFI)を開き、メモリの項目からXMP・EXPOの設定を確認する。Intel環境では「XMP」、AMD環境では「EXPO」という名称のプロファイルを選び、有効化します。
- 設定変更後は起動の安定性も確認する。有効化した直後に不安定になったり起動しなくなったりする場合は、電圧設定やQVL(動作確認済みリスト)の確認が必要になることがあります。
行動この和解を受けて何をすればいいか
- 2018年1月31日〜2026年1月7日に、米国内でDDR4(2133MHz超)またはDDR5(4800MHz超)のG.Skill製デスクトップメモリを購入した米国居住者
- すでに2026年4月7日までに請求を提出した人は、8月18日以降、順次支払いを受け取れる状態にある
- 支払い方法や金額に疑問がある場合は、和解管理者(Angeion Group)の窓口で個別に確認する
- 日本在住者は対象外。手元にG.Skill製メモリがあっても、この和解による支払いは受け取れない
- 米国居住者でも請求期限(2026年4月7日)を過ぎている場合、新規の請求はできない
- 今からできるのは、自分のメモリが実際にXMP・EXPOで動作しているかをCPU-ZとBIOSで確認すること
- これからG.Skill製メモリを購入する場合は、「Up to」表記の意味を理解したうえで、BIOSでの有効化が前提の速度だと把握しておく
FAQよくある質問
総括和解は決着、あとは自分のメモリの動作状況を確認する番
G.Skill製DDR4・DDR5メモリの表記速度をめぐる集団訴訟は、240万ドルの和解で決着しました。G.Skillは不正行為を否認したままですが、2026年8月18日から対象者への支払いが始まっており、パッケージと公式製品ページの速度表記もすでに「Up to」に変更されています。
ただしこの和解の対象は米国居住者に限られ、請求期限もすでに終了しています。日本在住のユーザーがこの和解から金銭を受け取ることはできません。それでも、パッケージの速度がBIOSでの設定を前提にした「Up to」の数字であるという構造自体は、国や購入時期を問わず変わりません。手元のDDR4・DDR5メモリがCPU-Zでどう表示されているか、BIOSでXMP・EXPOが有効になっているかを、この機会に一度確認しておくことをおすすめします。

