PCケースにフィギュア20体でGPU温度検証|HYTE Y40実験で+1℃、注意すべきは数より置き場所【2026年9月】
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HYTE Y40実験で上昇はわずか+1℃
ガラスパネルを採用したゲーミングPCでは、ケース内にフィギュアやアクリルスタンドを飾っている構成を見かけることがあります。見た目はかなり華やかになりますが、気になるのがエアフローです。
この疑問に対して、海外メディアの記者Jess Kinghorn氏がかなり極端な実験を行いました。HYTE Y40を使用したゲーミングPCへフィギュアを最大20体まで詰め込み、RTX 4070 SUPERへFurMark 2で負荷をかけたところ、20体入れた状態でもGPU温度の上昇は最大1℃、FPSにも大きな低下は確認されていません。
ただし、この結果だけを見て「PCケースの中には何を置いても問題ない」と判断するのは早いです。重要なのはフィギュアの数よりも、GPUやケースファンへ空気が流れる経路を塞いでいるかどうかです。実験の中身を確認しながら、ケース内にフィギュアを置く場合にどこまで気を付けるべきなのかを整理します。
目次
要点まず何が起きたか
Kinghorn氏が、HYTE Y40採用のゲーミングPC「iBUYPOWER RDY Y40 Valorant VCTA R003」のケース内へフィギュアを1体・4体・8体・11体・15体・20体と段階的に増やし、その都度FurMark 2で負荷をかけてGPU温度とFPSを測定しました。結果は、フィギュアなしで83℃だったGPU温度が、20体まで増やしても1080pで84℃、1440pでは83℃のままというものです。FPSも1080pで195fpsから192fpsへ3fps低下した程度で、1440pは132fpsのまま変化していません。ただしテスト時間は約60秒、ファン回転数やクロック、消費電力までは測定されておらず、実験中にはフィギュアが回転中のファンへ接触したとみられる異音も発生しています。
実験の中身ゲーミングPCへフィギュア20体を詰め込んで検証
Jess Kinghorn氏は2026年9月23日、ゲーミングPCのケース内部へフィギュアを追加しながらGPU温度と性能を測定する実験結果を公開しました。使用されたPCは「iBUYPOWER RDY Y40 Valorant VCTA R003」です。
過去に同メディアが同モデルをレビューした際の構成は、AMD Ryzen 7 7700X、PNY GeForce RTX 4070 SUPER 12GB VERTO、DDR5-5600 32GB、ケースはHYTE Y40、冷却は240mmの簡易水冷とケースファン3基です。このときのレビューでは、ゲーム時の最大GPU温度は78℃、ファン回転数を上げて温度を抑えているぶん動作音はやや大きめと評価されていました。つまり今回の実験は、RTX 4070 SUPERが50〜60℃程度で動くような極端に冷却余力の大きい環境で行われたわけではありません。
フィギュアを入れる前のFurMark 2でも、GPU温度は83℃まで上昇しています。そこへフィギュアを1体、4体、8体、11体、15体、20体と順番に増やし、その都度FurMark 2の1080pと1440pプリセットを約60秒ずつ実行して、GPU温度と平均FPSを記録しています。
結果フィギュア20体でもGPU温度は83℃から84℃へ上がっただけ
結果はかなり意外なものでした。フィギュアを入れていない状態では、FurMark 2実行時のGPU温度は1080p・1440pともに83℃です。そこへフィギュアを追加しても、1体から15体までは83℃のままでした。最終的に20体まで増やしたところ、1080pで84℃を記録しましたが、1440pでは83℃のままです。
| フィギュア数 | 1080p平均FPS | 1440p平均FPS | 1080p GPU温度 | 1440p GPU温度 |
|---|---|---|---|---|
| 0体 | 195fps | 132fps | 83℃ | 83℃ |
| 1体 | 194fps | 132fps | 83℃ | 83℃ |
| 4体 | 195fps | 131fps | 83℃ | 83℃ |
| 8体 | 198fps | 130fps | 83℃ | 83℃ |
| 11体 | 194fps | 132fps | 83℃ | 83℃ |
| 15体 | 194fps | 132fps | 83℃ | 83℃ |
| 20体 | 192fps | 132fps | 84℃ | 83℃ |
出典:PC Gamer記事にもとづきます(2026年9月23日時点)。
データだけを見ると、ケース内部がフィギュアでかなり混雑してもGPU温度への影響はほとんどありません。20体時の1080pでも上昇幅はわずか1℃です。NVIDIA公式のRTX 4070 SUPERリファレンス仕様では最大GPU温度は90℃とされており、今回記録された84℃はこの上限を超えていません。ただし83〜84℃という温度自体はRTX 4070 SUPERとして特別低い数字でもなく、重要なのは「20体も入れたのに1℃しか上がらなかった」という相対的な変化です。
性能FPSは195fpsから192fpsへ低下したが、フィギュアの影響とは断定できない
1080pでは、フィギュアなしの195fpsから20体時の192fpsへ3fps、割合にすると約1.5%低下しています。この数字だけを見るとフィギュアによって性能が少し落ちたようにも見えます。しかし、途中の結果を見ると話が変わります。フィギュアを8体入れた状態では1080pが198fpsまで上昇しており、フィギュアなしより3fps高い結果です。1440pでも8体時に132fpsから130fpsへ一時的に低下していますが、11体で132fpsへ戻り、20体でも132fpsのままでした。
もしフィギュアによるエアフロー悪化がGPU性能を継続的に低下させているなら、フィギュアを増やすほど温度が上昇し、FPSが段階的に下がっていく傾向が出るはずです。今回の結果にはそのような一方向の変化がありません。そのため、195fpsから192fpsになった3fpsだけを取り出して「フィギュア20体で性能が約1.5%低下した」と結論付けるのは適切ではなく、今回の測定範囲ではフィギュアの数とGPU性能の間に明確な相関は確認できなかったと見る方が自然です。
構造なぜ20体入れてもGPU温度がほとんど変わらなかったのか
一見すると、ケース内部へ20体も物を置けば空気の流れが大幅に悪くなりそうです。それでも今回の温度差が小さかった理由を考えるうえで重要なのが、使用されたHYTE Y40の構造です。HYTE Y40は、グラフィックボードをライザーケーブルで縦置きする構造を採用しており、HYTE公式によるとGPUとガラスパネルの間にはエアフロー用の空間が確保され、電源シュラウドの下に配置された吸気ファンからGPUへ向かって新鮮な空気を送り込む設計です。HYTEが推奨する空冷GPU向け構成も、側面と底面から吸気し、天板と背面から排気する方式になっています。
ここが今回の結果を考えるうえでかなり重要です。ケース中央に物体が存在することと、GPUが必要とする空気を取り込めなくなることは同じではありません。フィギュアが増えてケース内部が見た目には窮屈になっていても、底面からGPUまでの主要な吸気経路が十分残っていれば、GPUクーラーへ供給される空気量は大きく変わらない可能性があります。逆に言えば、20体置けたという「数」そのものに大きな意味はなく、同じ20体でも吸気口から離れた場所へ配置するのと、1体だけをGPUファンや底面吸気口の真正面へ置くのとでは、冷却への影響はまったく違う可能性があります。PCケース内の装飾では「何体置いたか」より「どこへ置いたか」を見るべきです。
限界「83℃のまま」だけでは冷却条件が同じとは言い切れない
今回の実験にはもう一つ注意したい点があります。公開された結果ではGPU温度とFPSを確認できますが、GPUファン回転数、GPUクロック、消費電力の推移は示されていません。GPUは常に同じ条件で動作するわけではなく、負荷や温度に応じてファン回転数やクロックが変化します。そのため、フィギュアによってケース内の冷却条件が少し悪化していても、GPUファンが以前より高速回転することで83℃を維持していた可能性は否定できません。
「フィギュアなしで83℃」「フィギュア15体でも83℃」だったとしても、冷却に必要なファン回転数まで同じだったとは限らないということです。実際、同じiBUYPOWER製PCを以前レビューした際も、GPU温度を抑えるためにファンノイズがやや大きいと指摘されていました。より厳密に「フィギュアがエアフローへ影響しているか」を調べるなら、GPU温度だけでなくファンRPM、GPUクロック、消費電力、ケース内温度、騒音まで同時に記録したいところです。今回の結果は「温度差がほぼなかった」という意味では興味深いものの、「エアフローがまったく変化しなかった」ことまで証明したわけではありません。
制約60秒のFurMark 2では長時間ゲーム時の結果までは分からない
もう一つの制約がテスト時間です。Kinghorn氏自身も、今回のFurMark 2ベンチマークは約60秒の性能スナップショットであり、長時間ゲームをプレイした場合を代表するとは限らないと注意しています。ケース冷却ではGPUだけでなく、CPU、マザーボードのVRM、SSD、メモリなどからも熱が発生します。ゲームを数十分から数時間続けると、ケース内部の各パーツや金属部分も暖まり、短時間テストより内部温度が安定した状態へ近づいていきます。
フィギュア自体にも一定の熱容量があるため、理屈のうえでは短時間なら周囲の熱を一部吸収し、温度変化を遅らせる側に働く可能性もあります。ただしフィギュアは冷却装置ではないため、長時間の定常状態になれば、発生した熱をケース外へ排出する必要があることに変わりはありません。本当にケース内装飾の影響を確認するなら、短時間のFurMarkだけでなく、CPUとGPUの両方が発熱するゲームを30分以上動かし、温度が安定した後で比較する方が実使用に近くなります。
前提条件RTX 4070 SUPERで問題がなくてもRTX 5090では同じとは限らない
今回使用されたRTX 4070 SUPERは、NVIDIA公式仕様でTotal Graphics Powerが220Wです。一方、現在の最上位GeForce RTX 5090はTotal Graphics Powerが575Wに達します。単純比較でもGPUからケース内へ放出される熱量には大きな差があり、RTX 4070 SUPERを搭載した中型のHYTE Y40で20体置いて問題が小さかったからといって、RTX 5090を小型ケースへ搭載した環境で同じ結果になるとは限りません。
ケース容量、GPU消費電力、GPUクーラー、ケースファン、室温、吸排気口の位置によって結果は大きく変わります。特にMini-ITXなど内部空間の小さいケースでは、フィギュア1体でも主要な吸気経路を塞いでしまう可能性があります。大型ケースへ小さなフィギュアを置く場合と同じ感覚で考えない方がよいでしょう。
現実的なリスク今回もっとも危険だったのは「温度」ではなくファンへの接触
今回の実験で実際にトラブルになりかけたのはGPU温度ではありません。フィギュアとファンの物理的な干渉です。Kinghorn氏によると、フィギュアが8体程度になった段階でFurMark 2を開始したところ、PCから大きな異音が発生しました。プラスチック部分が回転を始めたファンへ接触した可能性が高く、テストを一度停止してフィギュアの配置を変更しています。さらに、高さ約30cmの初音ミクのフィギュアを置いた際には、うさ耳のパーツが回転中のファンへ接触しかけた場面もあったとされています。
これは温度差1℃よりも実使用では重要なポイントです。ケースファンはアイドル時とゲーム時で回転数が変わる場合があります。PCを起動した直後には問題がなくても、ゲームを開始してファン回転数が上昇した際に、フィギュアの髪や武器、衣装などの突起部分がファンへ巻き込まれる可能性があります。フィギュア自体が倒れれば、GPUファンへ落下することも考えられます。そのため、PCケース内へフィギュアを置くなら吸気を塞がないだけでは不十分で、ファンの回転範囲から十分に離し、PCを移動したり机へ衝撃が加わったりしても倒れない位置へ固定することが重要です。
配置の注意GPUの上へ直接フィギュアを置くのはおすすめしにくい
PCケース内で空いている場所として利用されやすいのがGPUのバックプレート上です。しかし、見た目だけを考えてGPUの上へ直接フィギュアを置く方法は積極的にはおすすめしません。グラフィックボードはゲーム中に発熱するため、バックプレート自体も温かくなります。さらに、カード上へ重量物を置けばGPU基板やPCIeスロットへ不要な荷重を加えることになります。フィギュアの素材や台座に使われている部品も製品ごとに異なり、PC内部へ設置することを前提として設計されているわけではありません。フィギュアによく使われるPVC樹脂は40℃前後から軟化が始まり、50〜60℃程度になると変形しやすくなるとされ、可塑剤がにじみ出す「べたつき」も起こります。GPUのバックプレートや排気口付近はコア温度そのものより低いとはいえ、ゲーム中は明らかに温かくなる部分のため、密着させたまま長時間放置するのは避けた方が安全です。今回の実験で確認できたのはFurMark 2実行時のGPUコア温度と室温側への影響であり、フィギュア自体が熱でどこまで傷むかは別の指標として考える必要があります。
飾るのであれば、GPUそのものを棚として利用するより、PSUシュラウドなどケース側の安定した場所を使い、吸気口が開いている部分は避ける方が扱いやすいでしょう。ただしHYTE Y40のようにPSUシュラウド下からGPUへ吸気するケースでは、その場所にも通気口があります。「PSUシュラウドだから安全」と固定的に考えるのではなく、自分のケースで外気がどこから入り、どこから排出されているかを確認する必要があります。
判断フィギュアを飾っても大丈夫な人・注意したい人
- ミドルタワー以上のケースで、底面・側面など主要な吸気経路から外れた場所に小さなフィギュアを1〜数体置く人
- GPUファンやケースファンの回転範囲から十分な距離を確保できている人
- RTX 4070 SUPER前後までの消費電力帯のGPUを使っている人
- Mini-ITXなど内部空間の小さいケースを使っている人
- RTX 5090など消費電力の大きいGPUを搭載している人
- GPUファン・ケースファンのすぐ近くや吸気口の真正面にフィギュアを配置したい人
今回の実験は1台のPCだけで行われたもので、すべてのゲーミングPCへ結果を一般化することはできません。それでも、実用上はかなり参考になる結果です。フィギュア1体ではGPU温度は83℃のままで、1080pは195fpsから194fps、1440pは132fpsから132fpsでした。少なくとも50リットルクラスのミドルタワーであるHYTE Y40で、小さなフィギュアを主要な吸排気経路から外して置く程度なら、「ケース内に物が1つ増えただけでGPU温度が急上昇する」と過度に心配する必要性は低そうです。ただし、ここから「何体置いても大丈夫」へ話を広げるべきではありません。20体でも温度差が小さかった最大のポイントは20体という数ではなく、最終的にもGPUを冷却できるだけの空気が流れていたことだと考える方が合理的です。
対策吸気経路に余裕を持たせたいなら
今回の実験が示す通り、問題になるのはフィギュアの数ではなく吸気経路が塞がっているかどうかです。すでにケースファンの排気能力にあまり余裕がない、あるいはこれからフィギュアを増やす予定があるなら、ケースファンを増設・交換して吸気側の余裕を確保しておくと安心です。
まとめまとめ|フィギュアは「数」ではなく吸気経路で判断する
今回の実験でHYTE Y40へ最大20体のフィギュアを入れてFurMark 2を実行したところ、RTX 4070 SUPERのGPU温度はフィギュアなしの83℃に対し、最大でも84℃でした。1440pでは20体でも83℃のままです。平均FPSも1080pでは195fpsから192fpsへ変化したものの、途中の8体時には198fpsを記録しており、フィギュア数に比例した性能低下は確認できませんでした。
一方で、今回のテストは約60秒と短く、GPUファン回転数やクロック、消費電力まで比較したものではありません。さらに実際のテストでは、フィギュアがファンへ接触したとみられるトラブルも起きています。したがって、今回の結果を「フィギュア20体までなら安全」と解釈するのは適切ではありません。より実用的な結論は、PCケース内へ小さなフィギュアを置くこと自体は必ずしも大きな温度上昇につながらないものの、GPUファン・ケースファン・底面や前面、側面の吸気口を塞がないことが重要というものです。特にGPUへ直接新鮮な空気を送る底面吸気を採用したケースでは、フィギュアの置き場所を誤ると1体でも20体を離れた場所へ配置するより影響が大きくなる可能性があります。
ケース内を飾るときは「何体まで」という数字ではなく、空気がどこから入って、GPUを通り、どこから出ていくのかを確認して配置するのがよいでしょう。今回の実験はPCケース内装飾をすべて否定する必要はないことを示す一方で、「見た目が空いている場所」と「冷却に使われていない場所」は必ずしも同じではないこと、そして温度よりもファンへの物理的な接触の方が現実的なリスクであることも示しています。
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出典:PC Gamer(フィギュア20体詰め込み実験)・PC Gamer(iBUYPOWER RDY Y40レビュー)・Yahoo Tech(転載・データ再確認)・HYTE公式(Y40製品ページ)・NVIDIA公式(RTX 4070 SUPER仕様)・NVIDIA公式(RTX 5090仕様)にもとづきます(2026年9月25日時点)。





