Ryzen 9 5900X3D試作品が流出|待たずにAM4は5800X3D 10周年版か5950X・5900XTで選ぶ【2026年10月】
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12コアX3Dは待たず、AM4は5800X3D 10周年版か16コアの5900XTで選ぶ
2026年10月初め、中国のPCフォーラム「Chiphell」に、AMDが製品化しなかった「Ryzen 9 5900X3D」のエンジニアリングサンプル(量産前の評価用チップ。以下ES品)が投稿されました。12コア24スレッドのZen 3で、L3キャッシュは合計128MB。2つあるCCD(CPUコアが載ったチップ)のうち、片方だけに64MBの3D V-Cacheを重ねた構成です。
AM4で12コアのX3Dを待っていた人への答えは「待たなくていい」です。AMDは5900X3Dを発表しておらず、2026年6月にAM4向けに出し直したX3Dも8コアの5800X3D 10th Anniversary Editionでした。2026年10月3日時点の通販の最安値で、ゲームが中心なら5800X3D 10周年版(60,467円)、動画編集など16コアが欲しいなら5950Xより安い5900XT(55,980円)が、いまのAM4で現実的な2択です。
12コアX3Dが製品になっていたら何が得られたのかは、同じ「片側のCCDだけにキャッシュ」という構成で2023年に出たRyzen 9 7900X3Dの実測が教えてくれます。ゲームでは8コアの7800X3Dより約6%遅く、伸びたのは作業の性能でした。AM4の5800X3Dと16コアの5950Xも同じで、ゲームと作業で得意な側がはっきり分かれます。
目次
結論5900X3Dは待たず、用途で2択に絞る
- PCの用途はほぼゲームで、AM4マザーとDDR4メモリを使い続けたい
- 今のCPUがRyzen 5 3600・5600やRyzen 7 5700Xなど6〜8コアのZen 2・Zen 3
- フルHDや高リフレッシュレートで、CPUがfpsの頭打ちになっている
- 動画の書き出し・エンコード・3DCGなど、コア数で待ち時間が縮む作業を日常的にする
- ゲームはWQHD〜4Kが中心で、先にGPUが頭打ちになる
- 16コアが欲しいが、5950Xは扱う店が少なく値段も高い
2026年10月3日時点の通販の最安値は、AM5のRyzen 7 9800X3Dが57,129円で、5800X3D 10周年版(60,467円)より3,338円安くなっています。AM4に残る意味は、手持ちのマザーとDDR4をそのまま使えることにあります。DDR4とDDR5の価格差が縮んだ今の総額比較はDDR4高騰でAM4延命が割高になる落とし穴で試算しています。
試作品流出した5900X3DのES品はどんなCPUか
このES品の型番は「100-000000652-20_48/32_Y」で、コードネームはRyzen 5000シリーズと同じZen 3の「Vermeer」、12コア24スレッド、TDP 105Wです。L3キャッシュは「32MB+96MB」で、片方のCCDだけが3D V-Cacheで96MBに増えています。通常の5900Xは各CCDが32MBずつで合計64MBなので、64MBの上乗せです。
倍率の上限は48.5倍(約4.85GHz)で、CPU-Zに表示された動作クロックは4,649MHzでした。
AMDが過去に見せた試作品とは構成が違います。2023年6月に公開された動画で、AMDは米テキサス州オースティンの開発拠点にある12コアの5900X3Dと16コアの5950X3Dの試作品を動かして見せました。こちらは2つのCCDの両方に3D V-Cacheを積み、L3は合計192MBです。
同じ動画で、AMDのエンジニアは、両方のCCDにキャッシュを積んだものに加えて、7950X3Dのように片側だけに積んだ「ハイブリッド」の試作品もAM4で作ったと話しています。今回のES品は、このハイブリッド型にあたるとみられます。製品化しなかったのは「さまざまな理由」からだとしたうえで、キャッシュが2つのCCDに分かれるとゲームでの上積みが得られないため、CCDが1つの版(5800X3D)にしたと説明しています。
| 項目 | 今回のES品(2026年10月) | 2023年公開の試作品 | Ryzen 7 5800X3D(製品) |
|---|---|---|---|
| コア/スレッド | 12/24 | 12/24(5950X3Dは16/32) | 8/16 |
| L3キャッシュ合計 | 128MB | 192MB | 96MB |
| 3D V-Cacheを積んだCCD | 2つのうち片方だけ(96MB+32MB) | 2つとも(96MB+96MB) | 1つ(CCDは1基) |
| 最大クロック | 倍率上限は約4.85GHz | 4.4GHz(5950X3Dは4.1GHz) | 4.5GHz |
※今回のES品はChiphellに投稿されたCPU-Zの画面、2023年の試作品はAMDのオースティン拠点で撮影された画面の表示値です。5800X3DはAMD公式の仕様です。
持ち主の環境では、最新のマザーボードBIOSだとエラーコード90で止まり、SMUファームウェア56.70.0を含む古いBIOSでしか起動しませんでした。持ち主はマザーボードのメーカーのASRockに対応を問い合わせています。中古市場で同じようなES品を見かけても、保証が無く、BIOSを古い版に固定することになるので、普段使いのPCに入れる部品には向きません。
構成片側だけのキャッシュは7900X3Dと同じ形
96MB+32MBで合計128MBという内訳は、2023年2月に発売されたRyzen 9 7900X3D(Zen 4、12コア)とまったく同じです。現行のRyzen 9 9900X3Dも同じ形をとっています。ゲームの速さを決めるのはキャッシュを積んだ側の6コアで、残りの6コアは主に作業用です。
7900X3Dや9900X3Dでは、ゲームをキャッシュ側のCCDに寄せるために、AMDのチップセットドライバーとXbox Game Barのゲーム検出を使って、もう片方のCCDをゲーム中だけ休ませています(コアパーキング)。この仕組みが入ったのは7000X3Dが出た2023年で、Zen 3の世代には用意されていませんでした。2CCDのX3Dでこの仕組みが効いているかの確かめ方はコアパーキングの確認・変更手順にまとめています。
この形の12コアX3Dが8コアX3Dに対してどう動くかは、Zen 4の世代に実測があります。RTX 4090・フルHDの12タイトル平均で、7900X3Dは197fpsと、8コアの7800X3D(210fps)より約6%低い結果でした。キャッシュ側にも8コアある16コアの7950X3D(212fps)は、7800X3Dと並んでいます。片側だけにキャッシュを積んだ12コアは、ゲームではキャッシュ側の6コアが上限になります。
5900X3Dが製品になっていれば、ゲームでは5800X3Dと同じか少し下、作業では5900X並みという立ち位置になったと考えられます。Zen 4の結果をZen 3にそのまま当てはめることはできないので、ここは見込みです。
発売5900X3Dは今後出るのか
AMDは5900X3Dを発表しておらず、2026年10月3日時点で発売の予定を示す公式の情報もありません。Zen 3のX3Dとして製品になったのは、次の5モデルです。12コア以上は一度も出ていません。
- Ryzen 7 5800X3D(2022年4月、8コア)
- Ryzen 5 5600X3D(2023年7月、6コア。米国の量販店Micro Center限定)
- Ryzen 7 5700X3D(2024年1月、8コア)
- Ryzen 5 5500X3D(2025年6月、6コア。中南米向け)
- Ryzen 7 5800X3D 10th Anniversary Edition(2026年6月、8コア)
2026年に再投入されたのも8コアの5800X3Dでした。AM4でX3Dを新品で買うなら、選べるのは事実上8コアだけと考えて計画を立てるほうが確実です。

価格AM4でいま買えるCPUの国内価格
2026年10月3日時点の通販の最安値を比べると、AM4の上位CPUは値段だけでなく扱う店の数にも差が出ています。5800X3D 10周年版と5900XTは19店舗が扱っていますが、5950Xと5900Xは5店舗だけでした。
| CPU | コア・L3 | 最安(2番目) | 扱う店舗 |
|---|---|---|---|
| Ryzen 7 5800X3D 10周年版 | 8コア・96MB | 60,467円(63,703円) | 19店舗 |
| Ryzen 9 5900XT | 16コア・64MB | 55,980円(59,880円) | 19店舗 |
| Ryzen 9 5950X | 16コア・64MB | 59,980円(63,136円) | 5店舗 |
| Ryzen 9 5900X | 12コア・64MB | 79,001円(79,577円) | 5店舗 |
※通販の最安値と2番目に安い価格、扱う店の数(2026年10月3日時点、税込)。価格は日々変わります。
16コアは、5900XTが5950Xより最安で4,000円、2番目に安い価格でも3,256円安く、扱う店も多い状態です。12コアの5900Xは16コアの2モデルより2万円前後高く、いま新品で選ぶ理由はありません。通常版の5800X3Dと、廉価版として出た5700X3Dも、通販の最安値で比べて10周年版より高くなっていました。8コアのX3Dを新品で買うなら10周年版を選べば足ります。
性能差5800X3D・5900XT・5950Xの性能差
Ryzen 7 9800X3Dのレビュー(2024年11月、RTX 4090・フルHD)では、5800X3D・5950X・5900Xのゲームと作業の性能が同じ環境で測られています。5800X3Dを100とすると次の並びです。5900XTはこの検証に入っていないので、同じ16コアの5950Xの値を目安にしてください。
| CPU | ゲーム(フルHD) | アプリ総合 |
|---|---|---|
| Ryzen 7 5800X3D | 100 | 100 |
| Ryzen 9 5950X | 92 | 131 |
| Ryzen 9 5900X | 91 | 120 |
※数値は5800X3D=100とした相対値。アプリ総合はマルチスレッドだけでなくシングルスレッド中心のアプリも含む総合値です。
ゲームでは5800X3Dが16コアの5950Xより約8%速く、作業系のアプリでは5950Xが約3割速いという、はっきり逆向きの結果です。ゲームの差は別の検証(RTX 4090・フルHDの10タイトル平均)でも同じ傾向で、5800X3Dが138fps、5950Xが113fpsでした。同じ検証で5700X3Dは132fpsです。
5900XTと5950Xの違いは、ベースクロックと最大クロックがそれぞれ0.1GHz低いことだけです。13タイトル平均のゲーム比較では5900XTが5950Xとほぼ同じfpsを出し、Cinebenchで全コアに負荷をかけたときの平均クロックは5900XTが3.8GHz、5950Xが4.0GHz(どちらも消費電力144W)でした。作業性能は5950Xよりわずかに下がる程度と見ておけば足ります。
おすすめAM4のまま載せ替えるならこの2つ
どちらも手持ちのAM4マザーとDDR4をそのまま使えます。ゲームのfpsを上げたいなら5800X3D 10周年版、エンコードや書き出しの時間を縮めたいなら5900XTです。載せ替えの前に、マザーボードのメーカーのサイトで対応BIOSが出ているかを確かめてください。
FAQよくある質問
まとめ12コアX3Dは幻のまま、AM4はゲームか作業かで決める
Chiphellに投稿された5900X3DのES品は、片側のCCDだけに3D V-Cacheを積んだL3 128MBの12コアで、のちの7900X3Dと同じ形をしていました。AMDは2023年の時点で12コア・16コアのZen 3 X3Dを試作したうえで製品化しておらず、2026年に再投入したのも8コアの5800X3Dです。
AM4に残るなら、ゲーム中心は5800X3D 10周年版、作業もするなら5950Xと同じ16コアを安く買える5900XTです。作業系のアプリでは16コアが約3割速く、ゲームでは5800X3Dが8〜22%速いので、どちらを優先するかで決めてください。
5900X3Dは待たずに、ゲーム中心なら5800X3D 10周年版、作業もするなら5950Xより安い5900XTを選んでください。マザーとメモリも買い替えるなら、AM5の9800X3Dのほうが安くつきます。





