1% Lowとは?fps平均との違い・測定方法・原因と改善手順を徹底解説
オーバーレイに「avg 180fps」と表示されているのにゲームがカクつく——この状況に心当たりがあるなら、見るべき数字を間違えています。平均fpsはカクつきを隠す数値です。本当に見るべきは1% Lowです。
fps設定を上げたり下げたりしても一向に改善しない場合、計測ツールで1% Lowを確認するのが最初にすべきことです。原因がCPUにあるのかVRAMにあるのか、それとも別にあるのか——このガイドで順番に切り分けられます。
目次
1% Lowとは何か
1% Low(ワンパーセントロー)とは、計測した全フレームのうち、レンダリングに最も時間がかかった下位1%のフレームを平均したfps値です。30秒のベンチマークで3,600フレームを記録したとすれば、最も重かった36フレームの平均がそのまま1% Lowの値になります。
平均144fpsに対して1% Lowが32fps。平均だけ見れば「速い」と判断してしまいますが、実際には特定の瞬間にフレームタイムが激しく跳ね上がっていて、それが体感上の「カクつき」として現れています。
0.1% Lowという指標もある
1% Lowよりさらに極端な重さを捉えるために「0.1% Low」も使われます。全フレームの下位0.1%の平均で、一瞬だけ発生するスパイク的なカクつきを検出するのに向いています。1% Lowより常に低い値になりますが、CapFrameXなど主要ツールで同時に確認できます。
平均fpsが高くても体感が悪い理由
平均fpsは計算上、重いフレームの影響を薄めてしまいます。ほとんどのフレームが7ms(約144fps相当)で描画されていても、1フレームだけ100ms(10fps相当)かかれば、平均値への影響はわずかです。しかし人間の目はこの「突然遅いフレーム」を即座に察知します。
実際にありがちなシナリオを並べると、平均fpsが同じでも体感がまったく違うことがわかります。
| 状況 | 平均fps | 1% Low | 比率 | 体感 |
|---|---|---|---|---|
| フレーム時間が均一 | 120 | 108 | 90% | 非常に滑らか |
| たまにスパイクがある | 120 | 72 | 60% | たまに引っかかる |
| 頻繁にスパイクがある | 120 | 30 | 25% | 明らかにガタガタ |
| CPUボトルネック | 190 | 38 | 20% | fps表示は高いが常に不快 |
| VRAM溢れ(振り向き時) | 95 | 12 | 13% | 振り向くたびに固まる |
4行目が特に典型的です。CPUボトルネック状態では平均fpsが高く表示されることがありますが、GPUの稼働が安定せずフレームタイムが乱れるため、1% Lowは大きく落ち込みます。オーバーレイのfps表示だけ見て「快適なはず」と判断してしまうのはこのためです。
1% Lowを確認するツール
どのツールも無料で使えます。目的に合わせて選んでください。
fps・フレームタイム・1% Low・0.1% Lowを自動記録し、波形グラフと統計データで可視化できるツールです。計測後にCSVでエクスポートして詳細解析もできるため、カクつきの「どの場面で発生しているか」を特定するのに最も向いています。録画・配信への影響も最小限で、バックグラウンドで動作します。
測定・原因調査に最適ゲーム中の画面上に1% Lowをリアルタイム表示したいときはこの組み合わせが定番です。MSI Afterburnerで計測項目(Frametimeと1% Low)を有効化し、RTSSで描画位置と色を設定します。GPU使用率・VRAM使用量・CPU使用率も同時に表示できるため、症状が出た瞬間に何が起きているかを画面で確認できます。
リアルタイム監視に最適NVIDIAが公式に配布している無料の計測ツールです。fps・フレームタイム・1% Low・0.1% Lowに加え、消費電力の計測にも対応しています。GeForce以外のGPUでも動作し、CSVログの保存や分析機能を備えています。CapFrameXよりシンプルなUIで、ログをそのまま提出・共有したいときに便利です。
詳細なフレームタイム解析に1% Lowが低い原因5つ
主な原因は5つです。MSI Afterburnerのオーバーレイを表示しながらプレイし、カクついた瞬間に何が起きているかを見ると特定が早くなります。
最も多い原因です。GPUが次のフレームをレンダリングしようとするたびに、CPUの処理が間に合わずGPUが待機する瞬間が発生します。この「GPUのアイドル待ち」がフレームタイムの急上昇として現れます。
症状の特徴は「GPU使用率の波形が鋸状にガタつく」こと。平均GPU使用率が80%でも、瞬間的に50〜60%まで落ちる波形が見える場合は該当します。解像度を4Kに上げてみて1% Lowが改善するなら、GPUではなくCPUが詰まっていた証拠です。
GPUのVRAMが満杯になると、テクスチャデータをメインメモリ(システムRAM)へ追い出し始めます。VRAMとシステムRAM間のデータ転送速度は大幅に遅いため、この転送が起きた瞬間にフレームタイムが激しく跳ね上がります。
症状の特徴は「特定のエリアへの移動時や、カメラを大きく振ったときに規則的にカクつく」こと。GPU-ZまたはMSI AfterburnerでVRAM使用量を確認し、搭載容量の90%以上を常時超えていれば確定です。テクスチャ品質を1段下げるだけで劇的に改善することがあります。
メモリがシングルチャネル状態(スロット1枚のみ使用)だったり、BIOSのXMP/EXPOが無効でメモリが定格の低いクロックで動作していると、CPUとメモリ間のデータ転送がボトルネックになります。この影響は特にAMD Ryzenで顕著です。
DDR5-4800(XMP未設定)とDDR5-6000(XMP設定)では、ゲームによって1% Lowに15〜25%の差が出ることがあります。9800X3Dのような高性能CPUでも、メモリ設定が甘いと1% Lowの伸び代を相当無駄にしています。BIOSに入ったことがなければ、まずここを確認するのが費用対効果として最高です。
DirectX 12やVulkanを採用するゲームでは、シェーダープログラムをGPU向けにコンパイルする処理が初回プレイ時に発生します。このコンパイルが完了していないシーンでは激しいカクつきが発生します。
症状の特徴は「初回プレイ時だけカクつき、同じ場所を2回目に通ると滑らかになる」こと。UE5(Unreal Engine 5)採用タイトルで特に問題になっています。最初に全エリアを低速で移動してシェーダーを焼いておく「シェーダーウォーキング」が有効です。また、ゲームの設定画面にシェーダー事前コンパイルのオプションがあれば、プレイ前に完了させておきましょう。
広大なオープンワールドのゲームでは、プレイヤーの移動に合わせてテクスチャや地形データをストレージから随時読み込みます。HDDや書き込み速度の低いSATAのSSDでは読み込みが追いつかず、フレームタイムが乱れます。
「移動速度が速い場面(乗り物や馬での移動)、またはファストトラベル直後だけカクつく」という症状が当てはまります。PCIe 4.0のNVMe SSDに変えるだけで症状が解消することも多いです。
1% Lowの目安値と比率の読み方
1% Lowを単体の数値として見るより、「平均fpsに対してどれだけ維持できているか」という比率で見る方が判断しやすくなります。
| 目標fps | 快適ライン(1% Low) | 許容ライン | 改善推奨 |
|---|---|---|---|
| 60fps目標 | 50fps以上 | 42fps以上 | 35fps未満 |
| 144fps目標 | 110fps以上 | 85fps以上 | 65fps未満 |
| 240fps目標 | 185fps以上 | 150fps以上 | 110fps未満 |
| 比率の目安:1% Low ÷ 平均fps ≧ 70% が「快適」の基準。50%を下回ると多くの人が不快に感じる。25%以下は明確に問題あり | |||
たとえば「平均200fpsなのにカクつく」と感じているなら、1% Lowが100fps未満(比率50%未満)になっているはずです。逆に平均60fpsでも1% Lowが52fps(比率87%)なら、体感は非常に滑らかになります。高い平均fpsを追うより、1% Lowの比率を上げる方が体感改善に直結します。
競技ゲームでは1% Lowが特に重要
Apex LegendsやValorantのようなFPS競技タイトルでは、カクついた瞬間に照準がズレてキルを逃すことがあります。平均240fpsを目指すより、1% Lowを160fps以上に安定させる方が実際の勝率に影響します。
改善の優先順位
費用と手間が少ない順に試してください。多くのケースでは1〜3番で解決します。
グラフィック設定を調整してGPU使用率を90%以上に保つ
GPU使用率が低い(70%以下)のにカクついている場合は、グラフィック品質を上げるかDLSS/FSRなどのアップスケーリングをオフにしてGPU負荷を増やします。CPUの待機時間を相対的に減らすことで1% Lowが改善します。逆にGPU使用率が95〜99%で張り付いているなら、シャドウとテクスチャ品質を1段下げるのが優先です。BIOSでXMP/EXPOを有効化する
5〜10分で完了し、費用ゼロで1% Lowが10〜20%改善することがあります。PCを再起動してDeleteキーまたはF2でBIOSに入り、「XMP」または「EXPO」をEnabledに変更して保存するだけです。まだやっていないなら真っ先に試す価値があります。VRAM使用量を確認してテクスチャ品質を調整する
MSI Afterburner等でVRAM使用量をゲーム中に監視し、搭載量の90%を超えていればテクスチャ品質を1段下げてください。グラフィック品質の中で最もVRAMを消費する設定なので、ここを下げるだけで他の設定を維持しながら1% Lowが大きく改善することがあります。バックグラウンドアプリを整理する
DiscordのGPUアクセラレーション、ブラウザでの動画再生、クラウドバックアップなどがバックグラウンドで動作していると、CPUとGPUのリソースを食い合います。ゲーム中は不要なアプリをすべて終了し、Windowsのゲームモードを有効にしてください。CPUの換装を検討する
上記すべて試しても1% Lowが平均fpsの50%を下回り続けるなら、CPUのシングルスレッド性能またはL3キャッシュ容量が制限になっています。現世代であればRyzen 7 9800X3D、Core Ultra 9 285Kあたりが上限に近い選択肢です。CPU換装はコストが高いため、他の改善策を試した後の最終手段として判断してください。
まとめ
1% Lowは平均fpsが隠している「本当の重さ」を数値化したものです。平均fpsが高くてもゲームがカクつくと感じたら、まずCapFrameXかMSI Afterburnerで1% Lowを計測し、平均との比率を確認してください。比率が50%を下回っているなら改善の余地があります。原因の最有力候補はCPUボトルネックとVRAMオーバーフローで、BIOSのXMP有効化は手間なしで改善できる最優先の対処法です。ハードウェアを変えなくても設定の見直しだけで比率を70%以上に持っていけることは少なくありません。