SanDisk NAS 800は買い?NAS向けPCIe 5.0 SSDを耐久性・持続書き込み・価格で選ぶ【2026年10月】
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1.92TB版は3,500TBW。毎日1.9TB書く人だけが元を取れる
NAS用のSSDは、同じ容量の一般向けSSDより何割も高くなります。SanDisk NAS 800(M.2 2280、PCIe 5.0 x4)は、その代表例です。1.92TBモデルの公式ストア価格は699.99ドルで、レビューによると、同じ基板構成のWD Black SN8100の実売より45〜65%高い水準です。
差額の中身は、ほとんどが耐久性の定格です。1.92TB版は3,500TBWで、5年保証の間、毎日約1.9TBを書き込める計算になります。持続書き込みは約4GB/s弱で、レビューでは1時間落ちませんでした。ただし、この速度は10GbEの上限(約1.25GB/s)の約3倍で、1GbEや2.5GbEのNASでは使い切れません。
判断の分かれ目は、1日の書き込み量とNASの回線・M.2スロットの仕様です。毎日数百GB以上を書く共有ストレージや仮想マシン用なら候補になります。写真や動画の保管、バックアップが中心なら、PCIe 4.0のSSDで足ります。

目次
結論先に結論|払う価値があるのは書き込みが多いNAS
- 動画編集の共有、データベース、仮想マシンなど、毎日数百GB以上を書き込むNASを組む
- 10GbE以上の回線で、書き込みキャッシュやストレージ階層に使う
- PCIe 4.0以上のM.2スロットがあり、オールフラッシュNASを自作する
- 書き込み量が多く、SSDの交換頻度を減らしたい
- 写真・動画の保管やバックアップが中心で、1日の書き込みが数十GB程度
- 1GbE・2.5GbEのNASで使う予定
- NASのM.2スロットがPCIe 3.0やx1接続
- 停電時のデータ保護(電源喪失保護)が必要
回線PCIe 5.0の速度は、NASの回線で頭打ちになる
NAS 800のカタログ値は、読み出し最大14,900MB/s、書き込み最大13,200MB/s(1.92TB版)です。ただしNASでは、SSDからデータを取り出す先がネットワークなので、回線がSSDより先に上限に達します。測定では、NAS 800は書き込み開始から約1秒だけ約12GB/sを出し、その後は約4GB/s弱に落ち着きました。
| 回線 | 理論上の上限 | NAS 800の持続書き込み(約4GB/s弱)との差 |
|---|---|---|
| 1GbE | 約125MB/s | 30倍以上 |
| 2.5GbE | 約312MB/s | 約13倍 |
| 10GbE | 約1,250MB/s | 約3倍 |
※回線の上限は「Gbpsを8で割った」理論値で、通信の手続きによる目減りは含みません。NAS 800の持続書き込み速度は、出典欄のレビューの測定値です。
この表のとおり、10GbEでもSSDの持続書き込みには余裕があります。SSDの速度を生かせるのは、10GbEを複数本まとめる場合や、NAS本体の中でSSD同士のデータを移す場合です。
もう1つの落とし穴が、M.2スロットの規格です。別のレビューによると、試されたASUS・UGREEN・TERRA MASTER・SynologyのNASは、どれもPCIe 3.0またはPCIe 4.0のスロットでした。NAS 800は下位の世代にも対応しますが、PCIe 5.0の速度を引き出せるのはPCIe 5.0対応の自作機などに限られます。同レビューには、Synology製NASでは2026年9月9日時点でキャッシュ用途にしか使えない、という注意書きもあります。購入前に、使うNASの対応表を確認してください。
PCIe 4.0 x1のスロットにSSDを5基並べるNASの考え方は、MINISFORUM S5の記事で詳しく書いています。x1接続でも10GbEの上限を上回るので、こうした機種ではNAS 800の速度は余ります。
耐久性3,500TBWは、毎日1.92TB書いても5年持つ水準
NAS 800は、容量ごとに耐久性(TBW、書き込める総量)が決まっています。960GBは1,750TBW、1.92TBは3,500TBW、3.84TBは7,000TBW、7.68TBは14,000TBWです。どの容量でも、ほぼ「容量×1,820」に揃っています。5年保証の間、毎日ドライブ容量と同じ量を書き込める設計です。一般的な消費者向けSSDのおよそ3倍にあたります。
実際の使い方に当てはめると、次のようになります。
| 1日の書き込み量 | 5年間の累計 | 3,500TBWに対する割合 |
|---|---|---|
| 100GB | 182.5TB | 約5% |
| 500GB | 912.5TB | 約26% |
| 1TB | 1,825TB | 約52% |
| 1.92TB | 3,500TB | 100% |
※1.92TB版の3,500TBWを基準にした単純計算です。実際の寿命や故障の時期を保証する値ではありません。
家庭のNASで1日100GBも書き込む人は多くありません。その場合、5年間で定格の5%しか使わないので、耐久性の分の追加費用はほとんど生きません。自分のNASの書き込み量は、NASの管理画面やSMART情報の「総書き込み量」を数日おきに見て、差を取れば分かります。
保証は5年、または規定のTBWに達するまでの早い方です。TBWはJEDECのクライアント向け負荷(JESD219)で算出した値なので、NAS特有の書き込みパターンでは差が出る可能性があります。
持続書き込みキャッシュは小さく、その後の速度が落ちない設計
検証では、NAS 800の書き込み性能は一般的なSSDとかなり違う動きをしました。SLCキャッシュ(高速な一時領域)の容量は約12GBで、最初の約1秒だけ約12GB/sを出し、その後はTLCへ直接書き込む約4GB/s弱になります。この速度を1時間保ち続けました。
一般的なSSDは、キャッシュが埋まると書き込み速度が大きく落ちることがあります。NAS 800は、キャッシュを小さくする代わりに、キャッシュが切れた後の速度が高く、変動も小さいのが特徴です。写真や動画を長時間かけて書き込む用途や、複数人が同時に書き込む用途に向いています。
反対に、この設計は短時間のコピーで不利になります。下の表のとおり、NAS 800は同じハードウェアを持つWD Black SN8100より、多くの測定で数値が低くなっています。
| テスト | NAS 800の結果 | 読み方 |
|---|---|---|
| 3DMark Storage | SN8100より約21%低い | ゲーム用途には最適化されていません |
| PCMark 10 Storage | SN8100より約26%低い | アプリ用途は第一候補になりません |
| DiskBench 50GB書き込み | ほかのPCIe 5.0 SSDより約20%低い。コピーはSN8100比36%低い | キャッシュ約12GBが50GBの4分の1しか受けられないため |
| 4KBランダム(QD1)遅延 | リードは比較対象で最上位、ライトも最上位に近い | 小さなファイルの応答は非常に速い |
※出典欄のレビューの測定値です。テスト機はCore i9-12900K、Z790マザーボードで、SSDは50%まで埋めた状態、冷却は基本的にアクティブ冷却です。
温度は、最高70℃未満(室温約22℃)でした。別のレビューでも、高負荷で約65℃、500GBを超える1ファイルのコピー中も速度は一定でした。ただし、これは1.92TB版での測定値なので、ヒートシンクなしで狭いNAS内に入れた場合の温度は保証されません。電力効率は、一般的なPCIe 5.0やPCIe 4.0のSSDより低めです。
価格容量が大きいほど割安になるが、日本の価格は未確認
SanDiskの公式ストアの通常価格(米ドル)は次のとおりです。2026年8月20日の発表では、960GBの価格が「309.99ドルから」と案内されていました。10月11日の公式ページには、960GBに通常価格387.99ドルと提供価格309.99ドルが並んで表示されています。
| 容量 | 通常価格(1TBあたり) | 書き込み1TBあたり |
|---|---|---|
| 960GB | 387.99ドル(約404ドル) | 約0.222ドル |
| 1.92TB | 699.99ドル(約365ドル) | 約0.200ドル |
| 3.84TB | 1,374.99ドル(約358ドル) | 約0.196ドル |
| 7.68TB | 2,749.99ドル(約358ドル) | 約0.196ドル |
※通常価格は、出典欄のレビューに記載の公式ストア価格です。1TBあたりの値は筆者が計算しました。
耐久性あたりの単価は、3.84TB以上でほぼ横ばいです。1TBあたりの単価も下がるため、大容量が必要なら3.84TB以上が割安です。必要な容量が1.92TB以下なら、容量を欲張る理由はありません。
NAS 800の価格は、同じ基板構成のWD Black SN8100の実売より45〜65%、Sandisk Optimus GX Pro 8100より27〜29%高い水準です。差額の大半は、NAS向けの最適化ではなく耐久性の定格に対するものです。これは、レビュー時点の米国価格に基づく比較です。
日本での価格は、2026年10月11日時点では確認できませんでした。日本語の公式製品ページでは円価格を読み取れず、Amazon.co.jpでも商品ページを見つけられていません。米ドル価格を換算した金額は、関税・送料・保証条件が違うため参考になりません。日本で購入できるようになったら、価格の動きはSSD価格推移の記事と照らして判断してください。
代替電源喪失保護が必要なら、NAS 800は選べない
NAS 800には、電源喪失保護(停電時にデータを守るコンデンサ)がありません。比較対象のAddlink NAS D60(PCIe 4.0)にはこの機能があり、停電時のデータ保護が重要な用途ではこちらが候補になります。ただし、NAS D60はPCIe 4.0で、性能の面では劣ります。
現実的な選択肢は2つです。1つはPCIe 4.0のSSD、もう1つは標準的なキャッシュ構成のPCIe 5.0 SSDです。どちらもNAS 800の高いTBWは得られませんが、書き込み量が少ないなら、その分は不要です。一方で、遅延の低さと帯域が必要なら、NAS 800に代わるものは少ないとも言えます。
1日100GBの書き込みなら、5年間で3,500TBWの約5%しか使いません。この使い方では、同じ予算でPCIe 4.0の大容量SSDを選ぶほうが、容量あたりの単価で有利になります。
比較NAS 800とSN8100、SN850Xはどう違うか
NAS 800と並べて検討しやすいのは、同じ基板構成のPCIe 5.0 SSDであるWD Black SN8100と、書き込み量が少ない用途の現実解になるPCIe 4.0のWD Black SN850Xです。違いは、耐久性、持続書き込み、用途の向きの3点に集約されます。
| 項目 | NAS 800(1.92TB) | SN8100・SN850X(2TB) |
|---|---|---|
| 規格 | PCIe 5.0 x4 | SN8100はPCIe 5.0 x4、SN850XはPCIe 4.0 x4 |
| 耐久性(TBW) | 3,500TBW | SN850Xは1,200TBW。NAS 800の約3分の1 |
| 得意な用途 | 長時間の連続書き込み、低遅延 | 短時間のコピー、ゲーム、アプリの起動 |
| 向く人 | 毎日数百GB以上を書く10GbE以上のNAS | 書き込みが少ないNAS、自作PCのゲーム用 |
※NAS 800の値は出典欄のSandisk製品ページとレビュー、SN850Xの1,200TBWはAmazon.co.jpの商品情報によります。SN8100は、NAS 800と同じ基板構成で耐久性の定格が低いモデルとして比較しています。
毎日の書き込みが100GB程度なら、1,200TBWでも5年間の累計182.5TBの6倍以上に当たります。この使い方では、耐久性の差額を払う意味はほとんどありません。書き込みが数百GBを超えるなら、NAS 800の3,500TBWが生きます。
まとめまとめ|NAS 800は書き込みが多い人のための高耐久SSD
SanDisk NAS 800は、持続書き込み約4GB/s弱、4KB低キューの遅延が最上位級、3,500TBW(1.92TB版)という、NAS向けに偏った性能のSSDです。一方で、短時間のコピーや、ゲームなどのアプリの用途では、同じ基板構成のSN8100より数値が落ちます。
買うかどうかは、次の3点で決まります。1日の書き込み量が数百GBを超えるか、NASの回線が10GbE以上か、M.2スロットがPCIe 4.0以上でx4か、です。1つでも外れるなら、PCIe 4.0のSSDで十分です。
毎日数百GB以上を書き込む10GbE以上のNASなら、NAS 800は価格に見合う候補です。家庭用のバックアップや保管が中心なら、耐久性の分まで払う必要はなく、PCIe 4.0のSSDで足ります。
出典:Tom’s Hardware「Sandisk NAS 800 1.92TB SSD Review」(性能テスト)、Sandisk公式発表(2026年8月20日)、Sandisk NAS 800 製品ページ、Sandisk NAS 800 データシート、Dong Knows Tech「SANDISK NAS 800 Review」。価格・仕様は2026年10月11日に確認しました。



