Smooth MotionをRTX 30で動かす非公式MOD登場|2つの独立プロジェクトが同時多発
本記事にはアフィリエイト広告(Amazon・楽天市場等)のリンクが含まれています。
仕組みの異なる2つの独立プロジェクトが同時多発、開発者自身がクラッシュを警告
出典:VideoCardz「Modders bring NVIDIA Smooth Motion to RTX 30 GPUs with two separate projects」、GitHub「pipotoufikxyz-lgtm/dlssg_for_sm86-MFG-version」のREADME・Releases・Issueページ(2026年9月24日確認)、GitHub「ItsAdeline/NVSmooth30」のREADME、Nexus Mods「NVSmooth-30」掲載ページ、NVIDIA公式「NVIDIA App Global DLSS OverridesとSmooth Motion」ページ、NVIDIA公式ドライバードキュメント「Chapter 39. NVIDIA Smooth Motion」、NVIDIA「GeForce RTX 40 Series Community Q&A」、NVIDIA Developer「Optical Flow SDK」
GeForce RTX 30シリーズを使っていると、NVIDIA Appで「Smooth Motion」を探しても対象外のGPUとして表示されない、という壁に必ず行き当たります。Smooth Motionは、NVIDIAがRTX 40・50シリーズ向けに提供しているドライバーレベルのフレーム生成機能です。DLSS Frame Generationのようにゲーム側の対応を必要とせず、ドライバーが2枚のレンダリング済みフレームの間に新しいフレームを推論して挿入するため、対応さえしていればどんなゲームでも滑らかさを底上げできます。
そのSmooth Motionを、Ampere世代のRTX 30シリーズで動かす非公式MODが、2026年9月19日から23日にかけて立て続けに2つ公開されました。片方は既報の非公式MOD「DLSSG SM86」を土台にしたフォーク、もう片方はNVIDIA製のバイナリを一切含まないクリーンルーム開発で、対応GPUの検証状況もライセンスの立場も別物です。9月上旬に話題になったDLSSG SM86は、ゲーム側がDLSS Frame Generationに対応していることが前提のMulti Frame Generationを動かすMODでした。今回の2件が狙っているのは、ゲーム側の対応が要らないドライバーレベルのSmooth Motionで、動かす機能そのものが違います。
両方のGitHubリポジトリのREADME・リリースノート・Issueページ、そしてNVIDIAの公式資料を直接確認したうえで、2つのプロジェクトの仕組みの違い、実機で確認されているGPUの範囲、開発者自身が明記しているリスク、そしてRTX 30シリーズを使っている方がいま何をすべきかを整理します。
目次
要点まず何が起きたか
2026年9月19日、非公式MOD「dlssg_for_sm86-MFG-version」の開発者pipotoufikxyz-lgtm氏が、Smooth Motion機能を追加したリリースをGitHubに公開しました。続く9月20日には、まったく別の開発者ItsAdeline氏による「NVSmooth30」がGitHubとNexus Modsで公開されています。どちらもGeForce RTX 30シリーズ(Ampereアーキテクチャ、コンピュートケーパビリティ8.6=SM86)を対象に、NVIDIAが公式にはRTX 40・50シリーズ限定としているSmooth Motionを動作させるものです。
背景仕組みの違う2つのプロジェクトの中身
土台はDLSSG SM86、Smooth Motionを追加実装したフォーク
dlssg_for_sm86-MFG-versionは、名前が示すとおり、2026年9月7日に公開された非公式MOD「DLSSG SM86」(sdli1995氏によるオリジナル)を土台にしたフォークです。DLSSG SM86がAmpere向けの演算カーネルを自前で用意してDLSS Multi Frame Generationを動かした経緯は既報の記事で扱っていますが、pipotoufikxyz-lgtm氏はこのプロジェクトにSmooth Motionの機能を追加しました。リリース履歴を確認すると、9月19日の初回リリースでは「Smooth Motionを追加、NVIDIA Profile Inspectorでの有効化が必要」と説明されており、動作確認はRTX 3070で行われています。
導入方法はversion.dllとdlssg_sm86.iniをゲームの実行ファイルと同じ場所に配置し、NVIDIA Profile Inspector(NVIDIAドライバーの非公開設定を操作できる定番の非公式ツール)で該当項目を有効化する形です。9月19日から23日にかけて頻繁に更新が続いており、最新の2.8.2ではMicrosoft/PC Game Passタイトルへの対応と中国語表示が追加されました。同じ2.8.2のリリースノートには「Steamクライアント経由で起動すると一部のゲームがクラッシュしていた問題」への対応も明記されています。
NVIDIA製バイナリを一切含まないクリーンルーム開発
もう一方のNVSmooth30は、開発者ItsAdeline氏がGitHubリポジトリのREADMEで「クリーンルームによる互換性実験であり、NVIDIA製のソフトウェアではなく、NVIDIAのバイナリも移植されたソースコードも含まない」と明記しているプロジェクトです。狙っているのは、NVIDIAのSmooth Motion本体であるNvPresent64.dllの処理経路そのものです。READMEによると、system32のversion.dllをプロキシとして読み込み、NvPresentモジュールを通常のPEイメージとして検査したうえでCUDAのロード経路に割り込み、Ada世代(SM89)向けにコンパイルされたcubinエントリだけをAmpere(SM86)向けに再割り当てする、という手順を踏んでいます。DirectX 11のゲームについては、D3D11の描画を裏側でD3D12のスワップチェーンへ橋渡しする実験的な仕組みも実装されているとのことです。
導入にはNVIDIA Profile Inspectorが必須で、ASI Loaderの併用は任意です。ライセンスはMITで、README自身が「NVIDIAバイナリの再配布は行っていない」と説明しています。Nexus Modsのページ(公開2026年9月20日17時10分UTC、バージョン0.1)には対応環境としてDirectX 11およびDirectX 12が明記されており、公開から数日でユニークダウンロード数は300件を超えています。
| 項目 | dlssg_for_sm86-MFG-version | NVSmooth30 |
|---|---|---|
| 開発者 | pipotoufikxyz-lgtm(DLSSG SM86のフォーク) | ItsAdeline(クリーンルーム開発) |
| 公開日・場所 | 2026年9月19日、GitHub | 2026年9月20日、GitHub・Nexus Mods |
| 実機検証GPU | RTX 3070(開発者が確認) | RTX 3050 Laptop(開発者が確認) |
| 導入方法 | version.dll・iniを配置しNVIDIA Profile Inspectorで有効化 | NVIDIA Profile Inspector必須、ASI Loaderは任意 |
| 同梱機能 | DLSS Multi Frame Generationも同梱 | Smooth Motion専用 |
| ライセンス | 明記なし(MFG部分はNVIDIA純正ランタイムを同梱) | MIT、NVIDIAバイナリの再配布なし |
| 既知の問題 | Steam経由起動で一部タイトルがクラッシュ(2.8.2で対応) | クラッシュ・ブラックスクリーン・ドライバーリセットの可能性を明記 |
対象範囲実機で確認されているのはまだ数モデル
両プロジェクトが名前に掲げているのは、RTX 30シリーズのデスクトップ・ノート向けGPUが該当するコンピュートケーパビリティ8.6(SM86)です。ただし開発者自身がREADMEで動作を確認したと明記しているのは、dlssg_for_sm86-MFG-versionがRTX 3070の1構成、NVSmooth30がRTX 3050 Laptopの1構成にとどまります。海外メディアの取材では、これに加えてRTX 3080で動作したという利用者報告も伝えられていますが、開発者自身による確認ではありません。RTX 3060やRTX 3090といった他のAmpereモデルについては、現時点で個別の動作報告が確認できていません。
技術的に興味深いのは、dlssg_for_sm86-MFG-versionの利用者から、複数のPCゲームに加えてゲーム機エミュレーター(RPCS3・DuckStation・Yuzu)でもSmooth Motionが動作したという報告が上がっている点です。Smooth Motionはゲームエンジンの実装に依存せず、画面出力の直前で処理を挟むドライバーレベルの機能であるため、原理上はゲーム以外のアプリケーションでも動作しうることを裏づける報告といえます。
なお、RTX 20シリーズ(Turing、SM75)はどちらのプロジェクトでも対象外です。DLSS Multi Frame Generationについては、既報のDLSSG SM86からTuring向けに派生したフォークが別途公開されていますが、それはMFG専用のプロジェクトであり、今回の2つのSmooth Motion MODとは別の話です。
リスク両者とも開発者自身が「アルファ版」と明記
dlssg_for_sm86-MFG-version側も、対応は主にオフライン・シングルプレイのタイトルを想定した実験的なツールという位置づけです。ドライバーレベルの介入をアンチチートが検知すれば、警告や強制切断につながる可能性があります。NvPresent64.dllのビルド(SHA-256ハッシュで指定)に限られ、未知のバージョンは自動的に拒否される設計です。dlssg_for_sm86-MFG-versionのGitHub Issueには、RTX 3080の利用者が「Decline’s Drop」「Windswept Demo」「Shady Knight Demo」の3タイトルで、Steamクライアント経由で起動するとクラッシュするが、実行ファイルを直接起動すればSmooth Motionが正常に動くと報告した記録が残っています。この問題は最新の2.8.2で対応が加えられていますが、配布からわずか数日のツールであり、想定外の挙動が今後も出る前提で扱うべき段階です。立場NVIDIAは「不可能」と説明していないが、対応拡大の予定も示していない
NVIDIA公式のSmooth Motion説明ページとドライバードキュメントによると、Smooth Motionは「DLSS Frame Generationに対応していないゲームでも、GeForceドライバーが2枚のレンダリング済みフレームの間に新しいフレームを推論して滑らかさを高める」機能で、現時点の公式対応はRTX 40・50シリーズに限られます。RTX 30シリーズへの対応拡大は、現時点でNVIDIAから発表されていません。
参考になるのは、2022年のRTX 40シリーズ発表時にNVIDIAが公開した公式Q&Aです。当時はSmooth Motionではなく、ゲーム側の実装が必要なDLSS 3 Frame Generationについての説明でしたが、NVIDIAは旧世代GPUが対象外である理由を「以前のGPUアーキテクチャへの対応には、オプティカルフローアルゴリズムとAIモデルのさらなる技術開発と最適化が必要になる」と説明していました。「技術的に不可能」ではなく「追加の最適化が必要」という言い回しで、当時のRTX 20・30シリーズを完全に切り捨てる書き方ではなかったことになります。これはSmooth Motion固有の言及ではなく、対応拡大を確約するものでもありませんが、NVIDIAが旧世代対応を頭から否定してこなかった経緯を示す資料です。
ハードウェア面では、フレーム生成に使われるOptical Flow用の専用回路がAmpereにも搭載されていることを、NVIDIA Developerの公式ページが説明しています(世代ごとの精度差は前述のDLSSG SM86の記事で整理しています)。NVSmooth30がAda向けのカーネルをAmpereへ再割り当てするだけで動いているのも、この土台があるためです。
判断RTX 30シリーズを使っている人はいま何をすべきか
- 2つの独立したチームが、まったく別の手法でAmpereへの橋渡しに成功しました
- NVSmooth30はNVIDIA製バイナリを含まず、仕組みがREADMEで具体的に公開されています
- Smooth MotionがPCゲームだけでなくエミュレーターでも動いたという報告があり、ドライバーレベルの汎用性が裏づけられています
- 公開から数日のアルファ版で、開発者自身がクラッシュやドライバーリセットを想定しています
- 実機で動作確認されているのはRTX 3050 LaptopとRTX 3070の2モデルだけです
- アンチチート搭載ゲームでの使用は両プロジェクトとも明確に非推奨です
- NVIDIAの公式対応ではないため、ドライバー更新で動かなくなる可能性があります
結論として、RTX 30シリーズを使っている方がいま急いでどちらかを導入する理由はありません。対戦要素やアンチチートのあるオンラインゲームでは、この種のMODに手を出さないのが安全です。シングルプレイのタイトルで試すこと自体は選択肢としてあり得ますが、公開から日が浅いツールである以上、こまめなセーブとゲームクラッシュへの心構えは前提になります。
非公式MODに頼らずドライバーレベルのフレーム生成を使いたいなら、NVIDIA Smooth MotionとAMD AFMF 2.1を比較した記事で、RTX 30以前のGPUでも使える汎用フレーム生成ソフト「Lossless Scaling」という選択肢も紹介しています。手持ちのGPUを変えずに滑らかさを底上げしたい場合は、まずそちらを確認するほうが安全です。
FAQよくある質問
dlssg_for_sm86-MFG-version、NVIDIA製バイナリを含まない実装を確認したい場合はNVSmooth30、という位置づけの違いがあります。どちらも公開から日が浅く、開発者自身がクラッシュのリスクを明記している段階です。dlssg_for_sm86-MFG-versionは、DLSS Multi Frame GenerationをRTX 30で動かす既報の非公式MOD「DLSSG SM86」を土台にしたフォークで、Smooth Motionの機能を追加したものです。もう一方のNVSmooth30はMFGとは無関係に、Smooth Motion専用として開発されています。総括まとめ|前進はしたが、様子見が妥当な段階
NVIDIAがRTX 40・50シリーズ限定としているSmooth Motionが、2026年9月19日から23日にかけて公開された2つの非公式MODによって、GeForce RTX 30シリーズ(Ampere)でも動くようになりました。dlssg_for_sm86-MFG-versionは既報のDLSSG SM86を土台にしたフォークでDLSS Multi Frame Generationも同梱する一方、NVSmooth30はNVIDIA製バイナリを一切含まないクリーンルーム開発で、NvPresent64.dllの処理経路を直接書き換える仕組みです。
開発者が実機で確認したと明記しているのはRTX 3070とRTX 3050 Laptopの2モデルにとどまり、NVSmooth30は開発者自身が「アルファ版の相互運用実験」であり、クラッシュやブラックスクリーン、ドライバーリセットが起こりうると明記しています。dlssg_for_sm86-MFG-version側もSteamクライアント経由の起動でクラッシュした実例がGitHub Issueに残っており、対応は最新版でようやく加えられたばかりです。アンチチート搭載ゲームでの使用は両プロジェクトとも明確に非推奨です。
技術的には、Ada向けにコンパイルされた処理をAmpereへ再割り当てするというアプローチが2つの独立チームから同時に出てきたこと自体が興味深い進展です。ただしRTX 30シリーズを使っている方がいま急いで導入する理由は見当たりません。非公式MODに頼らずに滑らかさを底上げしたいのであれば、まず公式に用意されている選択肢や汎用フレーム生成ソフトを確認するほうが、得られる結果に対して負うリスクが小さく済みます。

