FSR 4.1 vs DLSS 4.5 最新ベンチマーク比較【2026年3月】——6,747票のブラインドテストが示す実力差とRTX 30系の落とし穴
AMD vs NVIDIA——ブラインドテスト6,747票の答え
RDNA 4(RX 9000系)専用
6,747票の結果は?
-20%のリスクあり
- ComputerBaseが6,747名で実施したブラインドテストでは、DLSS 4.5が6タイトル全てで首位(平均48.2%の支持)、FSRはわずか15%の支持にとどまりました。ただしこのテストはFSR 4.0時代のデータが中心で、3月19日にリリースされたFSR 4.1の改善(特に動く草木・植生の精細度向上)はまだ十分に検証されていません。現時点ではDLSS 4.5がアップスケーリング画質でリードを維持しています。
- RTX 30系(Ampere)・RTX 20系(Turing)のユーザーが注意すべき重要な問題があります。DLSS 4.5はFP8演算に依存する2代目トランスフォーマーモデルを採用しており、FP8非対応のRTX 30/20系ではDLSS 4.0(プリセットK)と比較して最大20〜24%の性能低下が確認されています。DLSS 4.5を有効にすることで逆にフレームレートが下がる可能性があるため、RTX 30/20系ユーザーはDLSS設定の確認が必要です。
- GPU購入選択という観点では、RTX 5070 TiとRX 9070 XTを55タイトルで比較した場合、アップスケーリング使用時でも5070 Tiが平均5%程度の優位を保っています。ただしRX 9070 XTは価格がRTX 5070 Tiより安く、FSR 4.1 + Ray Regeneration 1.1の組み合わせで1440p〜4Kをカバーできます。「アップスケーリングだけでNVIDIAを選ぶ理由」は2026年現在でもあるが、以前ほど圧倒的ではなくなっています。
目次
FSR 4.1とDLSS 4.5——それぞれ何が新しくなったか
まず両者の最新バージョンが何を改善したのかを整理します。「アップスケーリングはNVIDIAが圧倒的」という認識は数年前に成立したものですが、技術の進歩は速く、現在の差は以前とは異なります。
| AMD FSR 4.1 | NVIDIA DLSS 4.5 | |
|---|---|---|
| リリース日 | 2026年3月19日(Adrenalin 26.3.1同梱) | 2026年1月(SR)/ 3月31日(Dynamic MFG) |
| 対応GPU | RDNA 4のみ(RX 9070 XT / 9070 / 9060 XT) | 全RTX世代(ただし性能差あり) |
| 主な改善点 | 動く草木・植生の精細度向上、Ultra Performanceモードの高速化、フレーム安定性改善 | 第2世代トランスフォーマー(計算量5倍)、線形色空間での学習、FP8推論 |
| フレーム生成 | FSR FG 4.0(ML版、RDNA 4のみ) | 最大6x MFG(RTX 50系のみ)/ Dynamic MFG(3月31日〜) |
| 特筆事項 | Sony PSSRと同一ニューラルネット(Project Amethyst) | RTX 30/20系でDLSS 4.5はDLSS 4.0より性能が低下する場合あり |
| 対応タイトル数 | FSR 4.xネイティブ: 2026年末200+タイトル計画 | DLSS 4全体: 400+タイトル(スーパーレゾリューション) |
FSR 4.1の最大のポイントは「Project Amethyst」です。AMDとSonyが2023年から共同開発したニューラルネットワークをベースにしており、PS5 ProのPSSR(PlayStation Spectral Super Resolution)と同一のMLモデルを使用しています。Mark Cerny自身がFSR 4.1とPSSR 2が同一ニューラルネットワークを使うことを確認しています。PCとコンソールのトップエンド技術が同じ基盤に立つという、これまでにない構図になっています。
ブラインドテスト6,747票——「FSRが追いついた」はまだ早い
ドイツの大手PCメディア・ComputerBaseが6,747名のユーザーを対象に実施したブラインドテスト(DLSS 4.5 vs FSR vs ネイティブ、6タイトル)の結果がこちらです。
| ゲームタイトル | DLSS 4.5 | ネイティブ | FSR | 差なし |
|---|---|---|---|---|
| Anno 117 | 50.1% | 22.8% | 16.5% | 10.7% |
| ARC Raiders | 47.4% | 27.3% | 13.8% | 11.5% |
| Cyberpunk 2077 | 34.4% | 32.4% | 10.6% | 22.6% |
| Horizon Forbidden West | 56.3% | 19.4% | 11.7% | 12.6% |
| Satisfactory | 60.9% | 15.1% | 12.4% | 11.6% |
| The Last of Us Part II | 40.9% | 25.9% | 25.3% | 7.8% |
| 6タイトル平均 | 48.2% | 23.8% | 15.0% | 12.9% |
結果は明確です。DLSS 4.5が全6タイトルで首位(平均48.2%)、ネイティブ解像度(23.8%)が2位、FSR(15.0%)が3位という順位でした。Cyberpunk 2077だけはネイティブとDLSSが僅差(34.4% vs 32.4%)で、一定のタイトルではDLSSの優位が縮まることも示されています。The Last of Us Part IIではFSR(25.3%)がネイティブに肉薄しており、タイトルによってはFSRの完成度が相当高いことも分かります。
ただし注意点があります。このテストのFSRは主にFSR 4.0をベースにしたものです。FSR 4.1は3月19日リリースで、これほどの規模のブラインドテストはまだ実施されていません。TechSpotが個別にFSR 4.1をテストした結果では「特に動く草木のシーンで改善が明確だが、細部のシマー(点滅)が増加し、全体的な安定感ではDLSS 4.5がリードを維持している」と評しています。FSR 4.1でDLSSとの差が縮まったことは確かですが、「並んだ」とは言えない状況です。
FSR 4.1の進化点と残る課題
DLSS 4.5の落とし穴——RTX 30/20系ユーザーは要確認
DLSS 4.5を巡る最大の問題は「既存のRTX 30/20系ユーザーに対してアップグレードではなくダウングレードになりうる」という点です。DLSS 4.5のスーパーレゾリューション(SR)は、FP8精度演算を使う第2世代トランスフォーマーモデルを採用しています。RTX 50/40系はハードウェアでFP8をサポートしているため性能ペナルティは2〜3%程度ですが、FP8非対応のRTX 30/20系ではFP16でFP8をソフトウェアエミュレートするため、処理負荷が大幅に増加します。
| GPU世代 | SR(超解像) | Frame Gen | 6x MFG | DLSS 4.5使用時の性能変化 |
|---|---|---|---|---|
| RTX 50系(Blackwell) | ✅ FP8最適化 | ✅ | ✅ | ペナルティ約2〜3%(実質なし) |
| RTX 40系(Ada) | ✅ FP8最適化 | ✅ | ❌ | ペナルティ軽微(問題なし) |
| RTX 30系(Ampere) | ⚠️ FP8非対応 | ❌ | ❌ | DLSS 4.0比 最大-20〜24% |
| RTX 20系(Turing) | ⚠️ FP8非対応 | ❌ | ❌ | DLSS 4.0比 最大-20〜24% |
RTX 30系ユーザーがDLSS 4.5を有効にすると、画質は改善されつつもフレームレートが大きく落ちる可能性があります。NVIDIAも公式にこの問題を警告しており「RTX 30系以前はDLSS 4.0(プリセットK)の継続使用を推奨する」と案内しています。DLSS設定画面で「品質プリセット」を確認し、「最新モデル」に設定されている場合はDLSS 4.0相当の「プリセットK」に変更することを検討してください。
RX 9070 XT vs RTX 5070 Ti——アップスケーリング使用時の実fps比較
TechSpotが55タイトルでRTX 5070 TiとRX 9070 XTを比較したデータから、アップスケーリング(DLSS Quality / FSR Quality)使用時の代表的な数値を抜粋します。
| ゲームタイトル | RTX 5070 Ti DLSS Quality | RX 9070 XT FSR 4.x Quality | 優位 |
|---|---|---|---|
| Spider-Man 2(1440p) | 138 fps | 116 fps | RTX +19% |
| Ratchet & Clank(4K) | 97 fps | 84 fps | RTX +15% |
| Horizon Zero Dawn Remastered(1440p) | 118 fps | 125 fps | AMD +6% |
| Death Stranding 2(4K) | 102 fps | 96 fps | RTX +6% |
| 55タイトル平均 | RTX優位 | 一部逆転あり | 平均 約5%差 |
55タイトル平均ではRTX 5070 Tiが約5%上回りますが、Horizon Zero Dawn RemasteredのようにRX 9070 XTが逆転するタイトルも存在します。ネイティブ性能ではRX 9070 XTが優るタイトルでも、DLSS対応タイトルではRTXが追い抜くケースが多く、これがアップスケーリング使用時のfpsで差が広がる原因です。
ただし価格差を考慮すると話は変わります。RTX 5070 TiはRX 9070 XTの約1.5〜1.8倍の価格帯です。「5%の性能差のためにコスト増を払うか」という判断になります。レイトレーシングを重視するならDLSS + Ray ReconstructionのRTX優位は明確ですが、ラスタライゼーション中心のゲームプレイなら、FSR 4.1 + Ray Regeneration 1.1のRX 9070 XTも十分な選択肢です。
GPU別おすすめアップスケーリング設定——2026年3月版
FSR 4.1は間違いなくFSR 4.0からの改善作です。動く草木の精細度向上、Project AmethystによるPS5 Pro同等の技術基盤、Ray Regeneration 1.1との連携強化——これらはAMDが「画質で妥協できないGPU」という汚名を返上しつつある証拠です。しかし6,747票のブラインドテストが示した「DLSS 48.2% vs FSR 15%」という結果は、現時点での差を正直に物語っています。
逆にNVIDIA側で見落とされがちなのは、DLSS 4.5がRTX 30/20系ユーザーには「アップグレード」ではない点です。最大20%の性能低下リスクは、2026年現在もRTX 3080 / 3090を使い続けているユーザーにとって実害を伴う問題です。DLSS設定を「自動」にしたままではなく、プリセットKへの手動変更が推奨されます。
GPU選択の判断軸として:アップスケーリング画質を最優先するならRTX優位は依然として明確です。ただし「コスパ重視でRDNA 4を選んでも、アップスケーリングで大きく損をする時代は終わった」というのが2026年3月の正直な評価です。FSR 4.1の成熟と対応タイトルの拡大次第で、この差はさらに縮まる見通しです。