2025年に登場したAMDの新型GPU「Radeon RX 9070 XT」は、最新アーキテクチャ「RDNA 4」を採用し、前世代から大幅な性能向上を果たしました。この記事では、RX 9070 XTのスペックやベンチマーク性能、競合製品との比較まで、ゲーマー目線で詳しく紹介します。
Radeon RX 9070 XTの基本スペック
RX 9070 XTは、ハイエンドに迫るアッパーミドルクラスのGPUとして登場しました。以下が主なスペックです。
RX 9070 XT | RX 9070 | RX 9060 XT 16GB | RX 9060 XT 8GB | |
---|---|---|---|---|
アーキテクチャ | RDNA 4 | RDNA 4 | RDNA 4 | RDNA 4 |
製造プロセス | 4nm | 4nm | 4nm | 4nm |
CU(Compute Unit)数 | 64 | 56 | 32 | 32 |
ストリームプロセッサ数 | 4096 | 3584 | 2048 | 2048 |
ゲームクロック | 2400MHz | 2070MHz | 2530MHz | 2530MHz |
ビデオメモリ | 16GB GDDR6 | 16GB GDDR6 | 16GB GDDR6 | 8GB GDDR6 |
メモリバス幅 | 256bit | 256bit | 128bit | 128bit |
TDP | 304W | 220W | 160W | 150W |
推奨電源 | 750W | 650W | 450W | 450W |
Radeon RX 9070 XTは、RDNA 4世代においてハイパフォーマンスを誇るモデルですが、同じくRDNA 4アーキテクチャを採用する他のラインナップと比較することで、その位置づけや特徴がより明確になります。
上位モデルとして圧倒的な処理能力を発揮
RX 9070 XTは、64基のCompute Unit(CU)と4096基のストリームプロセッサを搭載しており、RX 9070(56CU/3584SP)よりも約15%多い計算ユニットを備えています。これにより、特に高解像度や重たいグラフィック処理を伴うゲームシーンで安定したフレームレートを維持できます。
ゲームクロックは2400MHzと高めで、RX 9070の2070MHzよりも動作周波数の点でも優れています。ただし、RX 9060 XT 16GB/8GBモデルの方がクロック自体は2530MHzとやや上回っているものの、Compute Unitやメモリ帯域が大きく異なるため、実性能はRX 9070 XTの方が上です。
メモリ構成と帯域の違いもパフォーマンスに直結
RX 9070 XTおよびRX 9070はどちらも256bitのメモリバスを採用し、16GBのGDDR6メモリを搭載しています。これにより、広帯域でのデータ転送が可能となり、4Kゲーミングや高解像度のテクスチャ使用時にも安定した描画が可能です。
一方でRX 9060 XTシリーズは128bitバスに制限されており、メモリ帯域が狭いため、高負荷なゲームではボトルネックが発生しやすくなります。特に8GBモデルはメモリ容量の点でも将来的なゲーム対応に不安が残ります。
消費電力と電源要件のバランス
RX 9070 XTはTDPが304Wと、同世代の中では最も高い数値を示しており、推奨電源も750Wとハイエンドクラスに相応しい要求仕様となっています。RX 9070は220W/650W、RX 9060 XTは160W~150W/450Wで、電力効率を重視するユーザーには下位モデルも選択肢となるでしょう。
用途に応じた選び方
どのモデルが適しているかは、用途や予算によって変わってきます。WQHDや4K解像度でのゲーミング、または高度な3Dレンダリングを求めるなら、RX 9070 XTが最適です。一方で、フルHD環境でのコスパ重視の構成を考えている場合は、RX 9060 XT 16GBモデルでも十分な性能を発揮してくれます。
メモリ容量とバス帯域、そしてCompute Unit数が、実ゲームでの安定性や描画品質に直結するため、単純なクロック数だけでは性能を判断しないことが重要です。
実ゲームでの性能・ベンチマーク結果
ゲームタイトル | 平均FPS(RX 9070 XT) | 参考:RTX 5070 Ti |
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Cyberpunk 2077(レイトレOFF) | 130fps | 125fps |
Call of Duty: MWIII | 180fps | 175fps |
Forza Horizon 5 | 145fps | 140fps |
Baldur’s Gate 3 | 160fps | 155fps |
レイトレーシング性能においてはNVIDIAに若干の劣勢が見られるものの、純粋なラスタライズ性能では非常に強力で、多くのAAAタイトルで快適なフレームレートを実現できます。
RTX 5070 Tiとの比較|どちらを選ぶべき?
同価格帯で競合するNVIDIAのRTX 5070 Tiと比較すると、RX 9070 XTは次のような特徴があります。
- 価格対性能比(コスパ)に優れる:純粋なフレームレート性能ではほぼ同等、価格がやや安価。
- VRAM容量が大きい:RTX 5070 Tiが12GBに対し、RX 9070 XTは16GB。
- レイトレ性能はRTXに軍配:リアルタイムレイトレーシングではRTXが優秀。
RTX 5070 TiがDLSS 3.5やフレーム生成といった独自機能で先行するのに対し、RX 9070 XTは価格とメモリ量、ラスタライズ性能の高さで勝負している印象です。
RX 9070 XTはどんな人におすすめ?
以下のようなユーザーに、Radeon RX 9070 XTは特におすすめです。
- 高解像度(WQHDや4K)でも快適にゲームを楽しみたい
- VRAMを多く使うゲームやクリエイティブ用途に使いたい
- DLSSに頼らず、原始性能で高いフレームレートを出したい
一方、レイトレーシングやAI支援機能を重視する方は、NVIDIA製品を選ぶ方が満足度は高いかもしれません。
まとめ
Radeon RX 9070 XTは、RDNA 4アーキテクチャにより大幅に進化した最新GPUで、特にラスタライズ性能やメモリ容量においては非常に優秀です。RTX 5070 Tiと拮抗する実力を持ちながらも、価格面で優位性があり、ハイコスパなゲーミングPCを構築したい方には最適な選択肢といえるでしょう。