ゲーミングPCを組むうえで、性能と価格のバランスに優れたグラフィックボード(GPU)を選ぶことは非常に重要です。なかでもNVIDIAのRTX 4060およびRTX 4060 Tiは、2025年時点でもミドルクラスとして高い人気を誇る製品です。
「予算を抑えつつ、フルHDで快適にゲームを楽しみたい」「少し余裕をもたせて高設定で遊びたい」など、ユーザーによって最適な選択肢は異なります。本記事では、RTX 4060とRTX 4060 Tiのスペック・ベンチマーク・価格・消費電力などを徹底比較し、あなたに最適な一枚を見つける手助けをします。
RTX 4060と4060 Tiの基本スペック比較
RTX 4060とRTX 4060 Tiの主要スペックを一覧表で比較し、基本的な違いを明確にしていきます。特にCUDAコアやクロック周波数、VRAM容量といった要素がゲーミング性能に大きな影響を与えます。
項目 | RTX 4060 Ti | RTX 4060 |
---|---|---|
CUDAコア数 | 4352 | 3072 |
Shader コア | Ada Lovelace 22 TFLOPS |
Ada Lovelace 15 TFLOPS |
レイ トレーシング コア | 第3世代 51 TFLOPS |
第3世代 35 TFLOPS |
Tensor コア (AI) | 第4世代 353 AI TOPS |
第4世代 242 AI TOPS |
ブースト クロック (GHz) | 2.54 | 2.46 |
ベース クロック (GHz) | 2.31 | 1.83 |
VRAM容量 | 8GB または 16GB(GDDR6) | 8GB(GDDR6) |
メモリバス幅 | 128bit | 128bit |
消費電力(TDP) | 160W | 115W |
参考価格(2025年) | 約6.5〜9万円 | 約4〜6万円 |
CUDAコア数に注目すると、RTX 4060 Tiは4060に比べて約40%多く、並列処理能力が高いため、重量級タイトルや録画・配信時の安定性で差が出ます。
クロック周波数はTiモデルの方が全体的に高く、ブースト時の瞬発力も上。ベースクロックも高いため、持続的なパフォーマンスで優位です。
VRAM容量では、RTX 4060 Tiに16GBモデルが用意されている点が大きなポイント。WQHDや4K、またはMODを多用するゲーム環境ではアドバンテージになります。
消費電力の面では4060が非常に優秀で、補助電源なしでも動作するモデルもあり、小型ケースや静音重視の構成に最適です。一方、Tiは高性能の代償として発熱量も増えるため、冷却設計には注意が必要です。
価格は約2〜3万円の差がありますが、プレイスタイルや将来の用途によってはTiの上乗せ価値を十分に見出せる構成です。
実ゲームでのパフォーマンス比較
実際のゲームタイトルにおけるパフォーマンスでは、RTX 4060とRTX 4060 Tiの差は明確に現れます。例えば『Cyberpunk 2077(ウルトラ設定/DLSSオン/フルHD)』では、RTX 4060が平均58〜65fpsに対し、RTX 4060 Tiは平均80〜90fpsを記録。さらにWQHD解像度においてもRTX 4060 Tiは60fpsを維持しやすく、高解像度+高設定でのプレイに余裕があることがわかります。
他にも『バルダーズ・ゲート3』では、RTX 4060が中設定で70fps前後にとどまるのに対し、RTX 4060 Tiでは高設定で90fps前後の描画が可能とされており、描画負荷の高いRPGやAAA級タイトルでも快適な動作が期待できます。
特に144Hzモニターを使用するユーザーにとっては、RTX 4060 Tiの方がフレームレートの安定感・上限値ともに有利で、eスポーツ系FPSやアクションゲームでも滑らかな操作感を維持できます。
一方、RTX 4060は「中〜高設定でフルHDを快適に楽しみたい」というライトゲーマーに最適で、消費電力を抑えつつも十分な描画性能を持ち合わせています。
消費電力と冷却性の違い
RTX 4060はTDP(熱設計電力)がわずか115Wと非常に省電力で、補助電源が不要なモデルも多く存在します。そのため、300W〜400Wクラスの電源ユニットやスリムケースでも導入しやすく、ミニタワーPCや静音志向の構成に適しています。
さらに発熱も少ないため、1〜2基の静音ファンでも十分に冷却可能で、長時間のゲームプレイ中も高温による性能低下のリスクが低いのが特徴です。
一方でRTX 4060 Tiは、TDPが160Wと約40%増加し、8ピン補助電源が必須となるモデルが一般的です。性能向上に伴う発熱も大きく、ミドル〜ハイエンドクラスの電源(550W〜650W以上)や、前後2〜3基のファンによる十分なエアフロー設計が求められます。
特にWQHDや高設定でのゲームプレイではGPU温度が70℃を超えるケースもあり、ケース内の熱籠もり対策やグラボ側の冷却性能(デュアル/トリプルファン構成)にも注目すべきです。
価格差とコストパフォーマンスをどう見るか
価格差はおよそ2〜3万円程度ですが、実際のフレームレート差は15〜30%前後。これをどう捉えるかはプレイスタイルや予算次第です。
- 価格重視でライトゲーマー → RTX 4060で十分満足
- 競技性の高いFPSや配信も視野に入れる → RTX 4060 Tiが安心
特にRTX 4060 Tiの16GBモデルは、メモリ使用量の多いタイトルやMOD環境下で差が出やすいため、長期視点での安心感があります。
こんな人には4060がおすすめ
- コストを抑えつつフルHD環境で快適に遊びたい
- 小型PCや静音志向の構成にしたい
- 電源ユニットの容量が限られている
こんな人には4060 Tiがおすすめ
- 最新タイトルを高画質で快適に遊びたい
- 144Hz以上のゲーミングモニターと合わせたい
- 配信や録画、マルチタスク環境でも性能を発揮したい
まとめ|性能重視ならTi、コスパ重視なら無印
RTX 4060とRTX 4060 Tiは、どちらもミドルクラスながら用途次第でしっかり使い分けられる良GPUです。2025年時点でも十分現役で、フルHD環境でのゲーミングには最適。
予算に余裕があればTiを、限られた構成で抑えたいなら4060無印を選ぶと、後悔のない構成が実現できます。