「The Witcher 4」がRTX Mega Geometry採用——2兆トライアングルの森をパストレで描く技術と、PC版に必要なGPU

「The Witcher 4」がRTX Mega Geometry採用——2兆トライアングルの森をパストレで描く技術と、PC版に必要なGPU
NVIDIA / GDC 2026
「The Witcher 4」がRTX Mega Geometryを採用

GDC 2026(2026年3月10日)でNVIDIAが発表。CD PROJEKT RED・Epic Games・NVIDIAの三社共同で実装された新技術で、2兆トライアングル超の広大な森をリアルタイムパストレーシングで描画します。従来のパストレーシングでは不可能だったフォリッジ(木・草・葉)の大規模描画をどう実現するのか、PC版で必要なGPUはどの世代からかを解説します。

出典:NVIDIA公式(2026.03.10)/ VideoCardz / WCCFTech
RTX 20系以上で動作Blackwellはハードウェア加速2兆トライアングルデモAlan Wake 2: FPS+5〜20%発売2027年以降
3行でわかる発表内容
  • RTX Mega Geometryは、大量のフォリッジをリアルタイムパストレーシングで描画するNVIDIAの新技術。ジオメトリクラスタリングと分割TLAS更新により、従来比100倍高速にRT構造を構築できる
  • The Witcher 4(発売2027年以降)のPC版に採用確定。CDPR・Epic・NVIDIAの三社共同開発で、GDC 2026のデモでは2兆トライアングル超の森をリアルタイムパストレーシングで描画した
  • RTX 20系以上で動作するが、RTX 50(Blackwell)はハードウェアアクセラレーター内蔵で処理効率が高い。GTX世代はパストレーシング自体が非対応。AMD・IntelはRTX Mega Geometry非対応(通常RTは動作)
目次

RTX Mega Geometryとは——「フォリッジをパストレで描けない」問題を解決する

パストレーシングは光の反射・透過・遮蔽を物理的に正確に計算するレンダリング手法です。DOOM: The Dark Agesやサイバーパンク2077のような室内・都市シーンでは実用的な速度で動作しますが、木々が密集した屋外シーンでは長らく「理論上は可能でも実用的ではない」状態が続いていました。

その核心にある問題が、TLAS(Top-Level Acceleration Structure)と呼ばれるレイトレーシング用の「シーンの地図」です。

⚠️
従来のパストレーシングのボトルネック
レイトレーシングはシーン内の全ジオメトリをTLASに格納し、毎フレーム更新します。密な森林では数千万〜数兆トライアングルが存在するため、TLASのリビルドだけで数十msかかります。「RTオンでも森のシーンだけオフにせざるを得ない」という状況が続いていたのはこれが原因です

RTX Mega Geometryは、この問題を3つの仕組みで突破します。

01
ジオメトリクラスタリング
数百万〜数十億のトライアングルを小さなクラスター群に圧縮し、フレームをまたいで再利用する。同じジオメトリを毎フレーム再処理するムダをなくし、TLASの更新コストを根本から削減する
02
分割TLAS選択更新
シーン全体のTLASを毎フレーム作り直すのではなく、「変化のある区画だけ」を選択的に更新する。これで従来比100倍高速のTLASリビルドを実現している
03
Opacity Micromaps統合
葉・枝など半透明・複雑形状のジオメトリをレイトレーシングする際のアルファテストコストを削減。密なフォリッジの精度を保ちながら処理を軽量化する

実装実績もあります。Alan Wake 2(Remedy Entertainment)ではRTX Mega Geometryの適用によりパストレーシング時に+5〜20% FPS向上、VRAM消費が約300MB削減されました。The Witcher 4はこれをさらに大規模なシーン(森林・開けた大地)に拡張した実装です。

Alan Wake 2(実装実績)
+5〜20%パストレ時 FPS向上
▼300MBVRAM消費削減

The Witcher 4が採用した理由——Nanite × RTX Mega Geometryの二段構え

The Witcher 4はREDengineからUnreal Engine 5への完全移行を果たした作品です。UE5のNaniteによる仮想ジオメトリ、Hardware LumenによるリアルタイムGIを基盤としながら、PC版のパストレーシングにRTX Mega Geometryを組み合わせています。

「開発中のRTX Mega Geometry技術を使用することで、完全にパストレースされた森林をウィッチャーの世界にもたらすことができます」
— Cezary Bella(CD PROJEKT RED レンダリングエンジニア)、GDC 2026

GDC 2026のデモで公開された映像は、広大な森を上空から見渡すフライスルーです。近景の個別の葉・枝から遠景の樹冠まで、2兆トライアングル超のジオメトリをすべてリアルタイムパストレーシングで描画していました。RTX Mega Geometryなしでは実現不可能な規模です。

📌
UE5との組み合わせの意味
CD PROJEKT REDはUE5の「Nanite Foliage」(葉・枝のマイクロポリゴン仮想化)とRTX Mega Geometryを組み合わせています。Naniteがラスタライズ側で植生を効率的に管理し、RTX Mega GeometryがRT側でそのジオメトリをパストレース可能にする——PC版における植生描画の「二段構え」です。なお、RTX Mega Geometry向けフォリッジシステムのコードは2026年後半にオープンソース公開が予定されています

The Witcher 3と技術スタックを比較すると、今回の移行がどれほど大きなものかがわかります。

項目The Witcher 3(2015年)The Witcher 4(2027年以降予定)
ゲームエンジンREDengine 3Unreal Engine 5
ライティングプリベイク+リアルタイム混在Hardware Lumen(完全リアルタイムGI)
フォリッジ処理従来インスタンシングNanite Foliage + RTX Mega Geometry(PC版)
レイトレーシング後付け(Next-Gen Patch 2022年)設計段階から統合
パストレーシングRTX版のみ(後付け)初期から完全PT対応
アップスケーリングDLSS 2.xDLSS 4.5以降(予定)

対応GPU——RTX世代別のポジション

RTX Mega GeometryはNVIDIAのRTコア(Ray Tracing Cores)が必須です。GTX世代はパストレーシング自体が動作しません。AMD・Intelは通常のパストレーシングには対応していますが、RTX Mega Geometry専用のAPIには非対応です。

GTX 16 / 10系以前
パストレーシング非対応
RTコアなし。パストレーシング自体が動作しないためRTX Mega Geometryも利用不可。The Witcher 4はラスタライズ描画のみで動作する見込み
RTX 20 / 30系
動作するが負荷は大きい
ソフトウェア実装でRTX Mega Geometryを利用可能。ただしThe Witcher 4規模の広大なシーンでは1080p最低設定でも厳しい場面が予想される
RTX 40系
SW実装・1440p PTが視野に
現行パストレゲームの傾向からRTX 4070 Ti以上が1440pパストレーシングの現実的な最低ライン。RTX 4090でも4K PTは重い。DLSS SR必須
RTX 50系(Blackwell)
HWアクセラレーター内蔵・最も効率的
BlackwellにはRTX Mega Geometry専用のハードウェアアクセラレーターが内蔵されており、同じ負荷でRTX 40系より処理効率が高い。DLSS 4.5 Dynamic MFGとの組み合わせで最大限の体験が得られる
📌
AMD・Intelユーザーはどうなるか
RX 9000シリーズ(RDNA 4)やIntel Arc Bシリーズはパストレーシング自体には対応しています。ただしRTX Mega GeometryはNVIDIAのRTXMG SDKを使用するため、これらのGPUでは利用できません。The Witcher 4でAMD/IntelのGPUを使う場合、パストレーシングは動作しますが、Mega Geometryによるフォリッジ最適化は受けられない形になります

Witcher 4のPC要件予測——パストレーシング込みで必要なスペック

公式スペックはまだ発表されていません。UE5とパストレーシングを採用した現行タイトルの傾向と、Witcher 4の技術基盤から推測した目安です。

設定GPUCPURAM想定fps目安
最低1080p ラスタRTX 3060 12GB / RX 6700 XTCore i5-11600K / Ryzen 5 5600X16GB60fps
推奨1440p RTなしRTX 4070 / RX 7800 XTCore i5-13600K / Ryzen 5 7600X24GB60〜80fps
パストレ1440p MG有効RTX 4070 Ti以上(DLSS SR必須)Core i7-13700K / Ryzen 7 7700X24GB50〜70fpsDLSS込み
ウルトラ4K パストレRTX 5080以上(MFG推奨)Core i9 / Ryzen 932GB60fps+MFG込み

※ 公式スペック未発表の推定値。UE5採用パストレゲーム(DOOM: The Dark Ages等)の傾向から算出。実際の要件は発売後に変わる可能性があります

⚠️
発売は2027年以降——今すぐ慌てなくていい
CD PROJEKT RED CFOのピョトル・ニエルボヴィチが「2026年内には発売しない」と公式に確認済みです。次の公開予定はUnreal Engine Fest 2026(6月16〜18日)でのショーケース。GPUの買い替えを検討している方は、Witcher 4のために急ぐ必要はありません。発売時点のGPU世代で改めて判断するのが得策です

RTX 50系で「真価」が出る三層構造

NVIDIAのGDC 2026での発表を整理すると、The Witcher 4のPC版体験は三つの技術が積み重なることで最大化される設計になっています。

Layer 1
RTX Mega Geometry
RTX全世代で動作 / RTX 50(Blackwell)はハードウェア加速
フォリッジを含む広大なシーン全体をパストレーシングで描画できるようにする基盤。これがなければ「森の中でパストレON」は非現実的
Layer 2
DLSS 4.5 Super Resolution
RTX全世代対応
内部解像度を下げて高品質にアップスケーリングし、パストレの描画コストを解像度側で軽減する。RTX全世代で使えるため「最低限の快適さ」を底上げする
Layer 3
DLSS 4.5 Dynamic MFG(最大6倍)
RTX 50系専用
実フレームから複数フレームをAIで生成し、パストレ時のfps不足を補う。RTX 50系限定の機能で、黒神話:悟空の4KパストレでRTX 5080が246fpsを達成している

RTX 40系以前はLayer 3が使えません。The Witcher 4でパストレーシングを快適に楽しむには、RTX 5070以上が現実的な選択肢になる見込みです。とはいえ発売は2027年以降——その頃にはさらに世代が進んでいる可能性もあります。

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