AMD「FSR Diamond」発表——マルチフレーム生成がついにAMDへ。ただし使えるのはRDNA 5世代から
GDC 2026(3/11)でAMDが次世代アップスケーリング技術を公開。DLSSが先行していたマルチフレーム生成をAMDもついに実装——ただし使えるのはRDNA 5世代のGPUからです
- FSR DiamondはMLアップスケーリング・マルチフレーム生成・Ray Regeneration・ニューラルテクスチャ圧縮の4機能を束ねた次世代ニューラルレンダリングスイート
- AMDとして初のマルチフレーム生成(複数フレーム同時生成)を搭載。次世代Xbox「Project Helix」との深いハードウェア統合が前提
- 動作にはRDNA 5世代のGPUが必要な見込みで、現行のRX 9000シリーズ(RDNA 4)には対応しない可能性が高い。PC向け提供開始は2027年以降
目次
「FSR Diamond」=「FSR Next」——名称の混乱を整理
GDC 2026でのMicrosoft/Xboxの発表セッションでは「FSR Next」という表現が使われていましたが、その後AMD SVPのJack Huynhがソーシャルメディアで「FSR Diamond」という正式名称を明かしました。両者は同一の技術を指しています。メディアによって呼び名が混在していますが、この記事では公式ブランド名の「FSR Diamond」で統一します。
FSR DiamondはAMDとMicrosoftによる「Project Helix」と呼ばれる複数年にわたる共同開発プロジェクトの成果物です。Huynh氏は「次世代の性能とグラフィックスを共に推進するための深い共同エンジニアリングパートナーシップ」とコメントしています。単なるソフトウェアのアップデートではなく、ハードウェアと一体設計された次世代レンダリング基盤というのがポイントです。
4つの構成技術
FSR Diamondは単体機能の名称ではなく、以下4つのMLベース技術をまとめたスイートです。
FSR世代を整理——Redstone・Diamondの違い
「FSR 4の次はFSR 5では?」と思った方も多いはずです。AMDはFSR 4以降、バージョン番号ではなくコードネーム方式に移行しています。現行世代と次世代の立ち位置を整理しておきます。
DLSS 4.5と何が違うか——現実的な比較
NVIDIAは同じGDC 2026の直前(3月31日提供予定)にDLSS 4.5のDynamic MFGを発表しており、フレーム生成の分野ではAMDより先行しています。現時点での両者の比較を整理します。
| DLSS 4.5 | FSR Diamond | |
|---|---|---|
| MLアップスケーリング | 第2世代Transformerモデル RTX全世代対応、提供中 | 次世代MLアップスケーラ 詳細未公開、2027年以降 |
| マルチフレーム生成 | 最大6倍MFG RTX 50専用、3/31提供開始 | 複数フレーム生成 倍率未公表 |
| Dynamic調整 | 目標fps自動維持 Dynamic MFGで対応 | 不明 |
| Ray Regeneration | 搭載(RTX全世代) | 次世代版搭載 |
| 動作GPU | SR: RTX全世代 MFG: RTX 50専用 | RDNA 5専用(予定) |
| 現在の対応ゲーム数 | 400以上 | 未定 |
| 今すぐ使えるか | SR: 今すぐ / MFG: 3/31〜 | 2027年以降 |
正直に言えば、現時点ではDLSS 4.5が機能・対応ゲーム数・提供時期のすべてにおいて先行しています。FSR Diamondに関しては具体的なfps数値もデモも公開されておらず、実際の画質や性能はまだ評価できません。
ただし、今回の発表で注目すべきは「AMDがついてきた」という事実です。マルチフレーム生成はDLSS 3以降のNVIDIAの独自優位性でしたが、FSR Diamondではそれに正面から対抗する構成が明かされました。
次世代Xbox「Project Helix」との関係
FSR Diamondが先に動くのはPCではなく、次世代Xboxです。コードネーム「Project Helix」と呼ばれる次世代Xboxは、RDNA 5 + Zen 6のカスタムSoC(コードネーム「Magnus」)を搭載し、専用NPUがFSR Diamondの処理を担います。製造プロセスはTSMC 3nm、開発者向けアルファ機器の出荷は2027年から予定されています。
MicrosoftがGDC 2026で強調した「Build for PC」というメッセージは、PCとXboxを共通の開発基盤でつなぐ方針を示しています。FSR DiamondはまずProject Helixに搭載され、その後RDNA 5世代のRadeon GPUを通じてPC環境にも広がっていくシナリオです。開発者がProject Helix向けにFSR Diamondを実装すれば、それが将来のPC版にも流用しやすい構造になっています。
いつ、誰が使えるようになるか
現在RX 9000シリーズを持っているユーザーがFSR Diamondを使うには、RDNA 5世代のGPUへの買い替えが必要になる見通しです。逆に今からグラボ購入を検討している方にとっては、RDNA 5登場まで待つか、現行世代を選ぶかという判断に影響するかもしれません。