AMD ROCm 10.1専用Adrenalin公開|RX 9000・7000のWindows AI対応とゲーム用26.9.2の違い
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ゲーム用26.9.2とWindows AI環境を使い分ける
AMDは2026年10月5日付で「AMD Software: Adrenalin Edition for ROCm 10.1」を公開しました。RadeonでAIやGPUコンピューティングを行うための専用ドライバーで、通常のゲーム向けAdrenalinの更新とは目的が違います。
ROCm 10.0のWindows導入手順が通常版26.8.1を指定していたのに対し、10.1は専用版26.10.41.05を指定しています。ゲームだけが目的なら、この専用版へ切り替える必要はありません。
RX 9070 XTやRX 7900 XTXをAIにも使うなら、ドライバーの対応GPUに加えてROCm側のOS・フレームワーク対応を確認してください。ドライバー単体はWindows 10にも対応しますが、Radeon向けROCm 10.1の対応Windowsは11 25H2です。
目次
違い通常版26.8.1から10.1専用版へ、導入先が変わった
ROCmはAMD GPUでAIや並列計算を実行するランタイム、コンパイラー、計算ライブラリなどをまとめたソフトウェア基盤です。GPUへ処理を渡すHIPや、行列計算を担うrocBLASなどが含まれます。
10.0のWindowsインストール手順は通常版Adrenalin 26.8.1へ案内していました。10.1では専用ドライバーが独立した名前とダウンロードで提供され、互換表に26.10.41.05が掲載されています。Windowsのドライバーストア上のバージョンは32.0.31041.5005です。
AMDはドライバーのインストール後、ROCmの導入手順へ進むよう案内しています。PyTorchなどのAIフレームワークも別途用意する必要があります。
分離の意義は、指定された組み合わせを揃えやすいこと
ROCmの動作はドライバーだけで決まらず、ランタイムやライブラリの組み合わせにも左右されます。専用配布により、ROCm 10.1が指定するドライバーを選びやすくなりました。
AI開発で同じ動作を再現するため、指定構成を保ちやすい点が実用上の利点です。ゲーム向け新作対応を追う更新と、AI環境の組み合わせを維持する運用を分けて考えられます。ただし、これはAMDが分離した公式な理由の説明ではなく、専用配布から読み取れる運用上の意味です。
比較ゲーム向け26.9.2とは更新目的が違う
10月6日時点でRX 9070の通常版ダウンロードページに掲載されている新しいゲーム向けドライバーは26.9.2です。『Gears of War: E-Day』などの新作対応と、RX 7000の『Final Fantasy VII Rebirth』でのタイムアウト、RX 9000の『HITMAN World of Assassination』でのタイムアウト・フリーズ修正が記載されています。
| 比較軸 | 通常版26.9.2 | ROCm専用版 |
|---|---|---|
| 更新の目的 | 新作ゲーム対応・不具合修正 | ROCm 10.1への対応 |
| 主な利用者 | ゲームを遊ぶユーザー | AI・GPU開発を行うユーザー |
| 導入後の作業 | 対象ゲームの修正・既知の問題を確認 | ROCmとAIフレームワークを別途導入 |
| GPUの範囲 | RX 6000なども一覧に掲載 | RX 9000・R9700・RX 7000の指定製品 |
専用版のリリースノートが掲げる更新点はROCm 10.1対応です。通常版と同じゲーム修正が含まれると、この記載だけから判断することはできません。専用版にするとゲームが動かなくなる、あるいは必ず遅くなるという意味でもありません。
26.9.2は配布版の名前、26.10.41.05はドライバー内部のバージョンです。数字をそのまま比較し「ROCm版の方が新しく、ゲームにも有利」と判断するのは不適切です。
ゲームとAIを兼用するPCでは両方の動作確認が必要です。専用版は通常版へ追加する計算用プラグインではなく、グラフィックスドライバーとして導入します。ROCmの公式手順には既存のHIP SDKや競合するAMDグラフィックスソフトウェアを除去する準備も含まれます。
GPURX 6000対象外をRDNA 2という世代だけで説明できない
専用ドライバーの対応一覧はRadeon RX 9000、Radeon AI PRO R9700、RX 7900/7800/7700/7600シリーズです。RX 6000シリーズは含まれていません。
一方、ROCm 10.1全体のハードウェア一覧には、RDNA 2・gfx1030のRadeon PRO W6800が残っています。RX 6000が載っていないことを「RDNA 2だからROCm 10.1に対応できない」と説明するのは正確ではありません。
ただし、ROCm全体の一覧と今回のWindows専用ドライバーの一覧は異なります。W6800の掲載からRX 6800 XTやRX 6900 XTのWindows対応を導くこともできません。GPUの世代だけでなく、製品名・OS・フレームワークまで揃えて判断してください。
RX 6000を除外した事情は、専用ドライバーのリリースノートでは説明されていません。ハードウェアの制約か、検証・サポート範囲の選択かを決めつける根拠はありません。
OSWindows 10対応はドライバー単体、ROCmは11 25H2
専用ドライバーの対応OSはWindows 11 21H2以降、Windows 10 64-bit 1809以降です。製品によってOS対応が異なる場合があるという注記も付いています。
対して、ROCm 10.1のRadeon向け互換表とリリースノートが示す対応WindowsはWindows 11 25H2です。グラフィックスドライバーの対応OSと、ROCm一式を使う対応構成は同じ範囲ではありません。
ドライバーのOS対応をROCm全体の対応保証と読み替えないでください。Radeonで公式のWindows構成を組むなら11 25H2を基準にします。
AI環境WindowsはPyTorch 2.14対応、vLLM・SGLangはLinux
ROCm 10.1ではPyTorch 2.14.0がWindowsに対応します。対応Pythonは3.11〜3.14です。AMDはWindows向けPyTorchの導入経路を用意し、ROCm本体にもpip方式とtarball方式があります。
tarballの公式手順にはWindows用ファイルをC:\TheRock\buildへ展開する例があります。Windowsを使ったまま、対応するGPUでAI開発を始める選択肢が整っています。
ただし、同じROCm 10.1の対応表でJAX 0.11.1、vLLM 0.29.0、SGLang 0.5.18、TensorFlow 2.21、ONNX Runtime 1.29.0、MIGraphX 2.18のOS欄はLinuxです。その対応をWindowsネイティブへ広げて解釈することはできません。
vLLMとSGLangの掲載構成はPyTorch 2.13.0を要求しています。Windows対応のPyTorch 2.14を入れれば全AIツールが使える、という意味ではありません。各ツールのOS・Python・GPU条件を確認する必要があります。
hipBLAS、hipBLASLt、MIOpen、rocBLAS、HIPなどにはWindows対応があります。一方、RCCL、ROCgdb、ROCm Compute Profiler、ROCm Systems Profiler、ROCprofiler-SDKは対応表でLinuxとされています。計算ライブラリの対応と、通信・デバッグ・性能分析まで含めた環境には差があります。
修正RX 9070系の学習クラッシュとWindowsマルチGPUを改善
ROCm 10.1の解決済み問題には、RX 9070シリーズやRadeon AI PRO R9700でLlama-Factory・Unslothを使ったPyTorchの学習やファインチューニング中にGPUリセット・クラッシュが起きる問題が掲載されています。
該当GPUで学習時の不具合に困っていた場合は10.1への移行を検討できます。ただし、この記述自体はWindows専用の修正とされていません。Llama-FactoryやUnslothがWindowsで全面的に動作保証された、と読み替えることはできません。
HIPランタイムではWindowsのGPU間転送と複数GPUでの処理制御も修正されました。GPU同士が直接転送できない構成、複数プロセスでのデッドロック・不正な値、WindowsマルチGPUでLLMを動かした際の問題が対象です。
ただしRCCLの対応OS欄はLinuxです。複数GPUの不具合修正によって、Linuxの分散学習環境がすべてWindowsでも使えるようになったわけではありません。
WSL2TheRock配布物にWSL2対応を追加、Technical Preview
ROCm 10.1ではTheRockでビルドした配布物へWSL2対応がTechnical Previewとして加わりました。ROCmのWSL2対応自体が史上初という意味ではなく、TheRockの配布物に含まれるようになった変更です。
従来はこの経路でWSL2を有効にするためにlibrocdxgをソースからビルドする必要がありましたが、10.1では同梱されます。ROCrランタイムは/dev/dxgを検出し、通常の構成では手動設定なしで読み込みます。
対象はUbuntuのdebパッケージとPython wheelです。開始時点ではプロファイリング、GPUデバッグ、KFDに依存するツールは対応していません。Windowsを普段使いしつつLinuxを併用する選択肢ですが、Linuxネイティブと同じ機能範囲にはなりません。
選び方手元のRadeonをAIにも使うなら、先にアプリの対応を確認
大容量VRAMはAIモデルをGPUメモリへ載せる際に役立ちます。ただし、容量が十分でも使いたいアプリがGPUとOSに対応していなければ、導入の制約は残ります。専用ドライバーだけでCUDA前提のアプリがそのまま動くようになるわけではありません。
- ゲームだけを遊ぶ場合は通常版を使い、対象ゲームの修正と既知の問題で更新を判断します。
- WindowsでPyTorchを使う場合はGPU・Windows 11 25H2・26.10.41.05・対応PythonとROCm版PyTorchを揃えます。
- vLLMやSGLangを使う場合はLinuxの公式導入条件を先に確認します。
- ゲームとAIを兼用する場合は現在の環境のバージョンを控え、切り替え後に両方の動作を確認します。
導入前にWindowsの「設定」でOSバージョン、AMD SoftwareでGPUとドライバーの情報を確認できます。そのうえで公式互換表のGPU・OSを選び、該当するROCmとPyTorchの導入手順を使用してください。
FAQROCm専用Adrenalinのよくある質問
まとめゲームは通常版、Windows AIはROCmの対応構成で選ぶ
ROCm 10.1専用Adrenalinは、WindowsのRadeon向けAI・GPU開発で指定ドライバーを選びやすくする配布です。通常版26.8.1を使う10.0の手順から専用配布へ変わりましたが、分離の公式な理由を推測で断定することはできません。
Windows版PyTorch、学習クラッシュやマルチGPUの修正、TheRock版WSL2対応は前進です。一方でOS・GPU・フレームワークごとの対応差は残ります。ゲームだけなら通常版を継続し、AIにも使うなら目的のアプリから逆算して環境を選ぶのが基本です。
WindowsでAIを使う場合はGPU・OS・ドライバー・フレームワークを一組で確認してください。
出典:AMD公式 ROCm 10.1専用ドライバー / 通常版26.9.2 / ROCm 10.0導入手順 / ROCm 10.1互換表 / ROCm 10.1リリースノート / ROCm 10.1導入手順 / PyTorch導入手順


