FSR 4.1 解説|AMDとSonyの「Project Amethyst」——PSSRと同一AIでRDNA 4の超解像がまた進化した
PSSRと同じAIが、RDNA 4の超解像をまた進化させた
- FSR 4.1はAMDとSonyの共同開発「Project Amethyst」の成果。Sonyが次世代PS5 Pro向けに開発した新PSSRと同一のニューラルネットワークを採用しており、テクスチャのディテール保持・動き中のスミアリング低減・透明オブジェクトのアーティファクト改善が主な変更点です。
- 対象はRDNA 4(RX 9000系)のみ。AMD Adrenalin Edition 26.3.1(2026年3月19日)に同梱。fps(処理コスト)はFSR 4と変わらないが、画質は明確に向上。Ray Regeneration 1.1も同時更新されています。
- DLSS 4.5に対するギャップは縮まったが、逆転にはいたっていない。TechSpotとComputerBaseのテストではFSR 4.1 > FSR 4は確認済み。ただしDLSS 4.5が依然として総合首位。旧世代GPU(RDNA 2/3)への公式サポートは今回もなし。
目次
Project Amethyst——AMDとSonyの「秘密の共同開発」
FSR 4.1を理解する上で外せないのが「Project Amethyst」です。AMDとSonyが2023年から進めているこの共同開発プロジェクトは、両社のMLアップスケーリング技術を統合することを目的としています。約9か月で動作アルゴリズムを完成させ、PC向けにはFSR 4.1、PlayStation向けには次世代PSSRとして結実しました。
Sonyは「次のFSRアップデートはPSSRの技術を含む」と公式に確認しています。つまり「RX 9070 XTとPS5 Proは同じAIで映像を高解像度化している」ということになります。
この連携の意味はAMDのエコシステム戦略という観点でも興味深いです。PS5はAMD GPU採用の最大規模プラットフォームのひとつ。AMDがSonyと共同でMLアップスケーリングを開発することで、PC・コンソール双方に同等の技術を展開できる体制を作りつつあります。
FSR 4.0からFSR 4.1——具体的に何が変わったか
FSR 4.1のパフォーマンス(fps)への影響はゼロです。TechSpotの計測では「FSR 4とFSR 4.1の間でフレームレートに測定可能な差は見られなかった」としています。今回は純粋な画質アップデートです。
対応GPU——RDNA 4専用の理由と、旧世代の現実
FSR 4.1も引き続きRDNA 4(Radeon RX 9000シリーズ)専用です。AMD公式がRDNA 2/3への対応を行わない理由は、ハードウェアの命令セットにあります。
| GPU世代 | 代表モデル | FSR 4.1(公式) | 備考 |
|---|---|---|---|
| RDNA 4 | RX 9070 XT / RX 9070 | ✅ 完全対応 | Adrenalin 26.3.1から正式サポート |
| RDNA 3 | RX 7900 XTX / RX 7800 XT | ❌ 公式非対応 | 流出DLLでの動作はコミュニティが確認(非公式) |
| RDNA 2 | RX 6800 XT / RX 6700 XT | ❌ 公式非対応 | OptiScalerでFSR 4(INT8版)は対応済み。4.1は未対応 |
| NVIDIA / Intel | RTX・Arc等 | ❌ 非対応 | FSR 3.1まで(全GPU対応)は引き続き利用可 |
実測データ——TechSpot・ComputerBaseの比較テスト
TechSpotが「Testing AMD FSR 4.1: Sharper Images, But DLSS Still Leads」と題した比較レビューを公開しています。複数タイトル・1440p Quality設定での結果です。
同時更新:Ray Regeneration 1.1も静かに進化
あまり注目されていませんが、Adrenalin 26.3.1ではFSR 4.1と同時にRay Regeneration 1.1もアップデートされています。
レイトレーシングのリフレクション・グローバルイルミネーション(GI)をMLで再構成し、RTオン時のノイズとちらつきを低減する技術です。FSR 4.1と組み合わせることでレイトレーシングゲームでの恩恵が大きくなります。DXR対応タイトルでRT有効時に試す価値があります。
DLSS 4.5・XeSS 3.0との現在地
2026年3月時点での3社のアップスケーリング技術の対応状況を整理します。
MFGはRTX 50系専用
FSR 3.1は全GPU対応
4x MFG:Arc全世代
OptiScalerとFSR 4.1——RDNA 2/3ユーザーへの対応は?
先日の記事で解説したOptiScalerについて、FSR 4.1への対応状況を確認しました。OptiScalerはFSR 4(INT8版)をRDNA 2/3で動作させることに成功しています。ただしFSR 4.1のINT8対応については、OptiScaler開発者が現時点で否定的な姿勢を示しています。
「FSR 4.1のINT8対応はAMDが公式に実装しない限り行わない」と開発者自身がGitHubでコメントしており、現時点では対応の見通しは立っていません。なお、流出したFSR 4.1 DLLをRDNA 3(RX 7000系)で試したユーザーは存在し、FP8アクセラレーションを利用した一定の動作が確認されています(Club386)。ただしこれはAMD非公認の非公式動作であり、安定性は保証されません。