紅の砂漠がIntel Arc GPUを切り捨て——「返金してください」と公式が案内、Intelは「何年も支援を申し出た」と反論

紅の砂漠がIntel Arc GPUを切り捨て——「返金してください」と公式が案内、Intelは「何年も支援を申し出た」と反論
CRIMSON DESERT / INTEL ARC出典:TechPowerUp(2026.03.20)/ TechPowerUp(Intel声明)(2026.03.21)
「Arc GPUは非対応です。
返金してください」

Pearl Abyssが公式FAQに掲載。Crimson Desert(紅の砂漠)はIntel Arc GPU全モデルで起動せず、開発元は対応の時期・意思も明示しないまま購入者に返金対応を案内しています

3行でわかるポイント
  • Crimson Desertは3月19日のPC版リリース直後からIntel Arc GPUで「gpu device isn’t supported」エラーが発生。起動すら不可能
  • Pearl Abyssは公式FAQで非対応を認め、「対応する意思があるかどうかも含めて未定」として購入者に返金を案内
  • Intelは「AlchemistからBattlemageまで何年も対応支援を申し出たが断られた」と反論。双方の言い分が食い違っている
目次

3月19日発売直後に発覚——Arc所有者は起動すらできない

Pearl Abyssが3月19日にリリースした「Crimson Desert(紅の砂漠)」は、PC版の発売直後からIntel Arc GPUユーザーの間で深刻な問題が報告され始めました。ゲームを起動しようとすると即座にクラッシュし、次のエラーメッセージが表示されます。

エラーメッセージ
“gpu device isn’t supported”
Arc B580(Battlemage)を含むIntel Arc全モデルで発生。GPUスプーフィングによる回避策も効果なし

NVIDIA・AMDのGPUでは問題なく起動できることから、これはIntel Arc固有の問題です。Pearl AbyssはDay-1(発売日)最適化ドライバーをNVIDIA(GeForce 595.79 WHQL)およびAMD(Adrenalin 26.3.1 WHQL)向けには提供していましたが、Intelドライバーに対応したドライバーは存在しません。

Pearl Abyssの公式FAQ——返金を案内

Pearl AbyssはCrimson DesertのFAQに以下の回答を掲載しました。

Pearl Abyss 公式FAQ(原文・英語)
“No, Crimson Desert currently does not support Intel Arc graphics cards. If you purchased the game expecting Intel Arc support, please refer to the refund policy of the platform where the game was purchased for available options. We apologize for any inconvenience caused.”
(訳)「いいえ、Crimson DesertはIntel Arc GPUに現在対応していません。Arc対応を期待して購入された場合は、ご購入のプラットフォームの返金ポリシーを参照してください。ご不便をおかけして申し訳ありません」

注目すべきは「currently(現在は)」という表現でありながら、将来の対応時期については「when, and if(いつか、もし対応するなら)」という留保付きの表現にとどめている点です。事実上、対応の意思も確約もない状態で購入者を返金窓口に誘導しています。

Intelの反論声明——「何年も支援を申し出た」

Pearl Abyssの対応を受け、Intelはwccftechに向けて公式声明を発表しました(TechPowerUpが引用)。

Intel 公式声明(原文・英語、2026年3月21日)
“We’re aware that Crimson Desert currently doesn’t launch on systems with Intel GPUs and we’re hugely disappointed that players using Intel graphics hardware can’t jump into the world of Pywel at launch.

Getting games running smoothly is always a partnership between developers and hardware makers. Over the past several years, we’ve reached out to Pearl Abyss many times to help test, validate, and optimize support for Intel graphics, providing early hardware, drivers, and engineering resources across multiple generations, including Alchemist, Battlemage, Meteor Lake, and Lunar Lake.

Our teams are deeply committed to helping all studios deliver the best experience possible, providing open tools, documentation, and direct engineering support to make sure their games run well for everyone, including the tens of millions of players using Intel GPUs. We remain ready to assist Pearl Abyss however we can.”
(要訳)「Arc所有者が起動できない状況を深く遺憾に思う。過去数年でAlchemist・Battlemage・Meteor Lake・Lunar Lakeを含む複数世代にわたってPearl Abyssに対応支援を申し出てきた。今後も支援する用意がある」

Intelの声明の核心は「何年も前から働きかけていたが、対応してもらえなかった」という点です。ゲームメーカーがハードウェアベンダーのサポートを拒否し、結果としてユーザーが被害を受けるという構図は、ゲーム業界でも珍しい展開です。

なぜArcが弾かれるのか——技術背景と有力な仮説

Pearl Abyssは技術的な理由を公式に説明していません。ただし、コミュニティの調査から有力な仮説が浮上しています。

有力説
Intelベンダーに対するブラックリスト登録
PearAbyssがコード内でIntelのベンダーID「0x8086」を検出し、Intel GPU全体を起動不能にしている可能性。本来の目的はインテル統合グラフィックス(iGPU)でのパフォーマンス問題を回避するためとみられるが、Arc(外付けGPU)も同じベンダーIDを持つため巻き添えになったという説
反証点
「単なる誤爆」には疑問の声も
コミュニティ調査によると、GPUスプーフィングを試みてもArcでは起動できないことから、「偶発的なブラックリスト」ではなく意図的なブロックの可能性も指摘されている。ゲームがFSR 4.1・Ray Regeneration(AMD独自技術)のみを採用し、XeSSなどIntel/NVIDIA技術を採用していない点も状況証拠として言及されている

ただし「AMD/NVIDIAからの資金提供でArcを排除した」という憶測については、現時点でそれを裏付ける証拠はありません。DX12に準拠したGPUであればAPIレベルでは動作可能なはずであり、アプリケーション側の判断によるブロックとみるのが現状最も整合的な説明です。

Arc所有者はどう対処すべきか——返金手順

Intel Arc GPUを所有しており、Crimson Desertをすでに購入してしまった場合、Steamでの返金申請が現実的な選択肢です。

1
Steamの返金ページへアクセスSteam → サポート → 購入履歴から「Crimson Desert」を選択し「購入のサポートが必要」から返金申請を開始
2
理由に「起動しない(ハードウェア非対応)」を選択ゲームが起動しないという技術的問題(開発元が公式に認めている)のため、通常の「2時間・14日間」条件外でも返金が認められやすい
3
Pearl Abyssの公式FAQをエビデンスとして言及「開発元がArc非対応を公式FAQで認め、返金を案内している」という事実を理由欄に記載すると審査に有利
注意:Steamの返金審査は個別対応です。「起動しない」という技術的問題かつ開発元が非対応を公認しているケースは例外的な返金が認められやすいですが、プレイ時間が長い場合は審査が厳しくなることがあります。申請時点でのプレイ時間が2時間を超えている場合は、その旨を正直に記載したうえで申請してください。

Arc GPUの現実——0.16%という数字が生む構造問題

Steam Hardware Survey(2026年2月)によると、Intel Arc専用GPUのシェアは0.16%です。前月比でさらに0.10%減少しています。

この数字がゲームメーカーの判断に影響しているのは否定できません。対応コストをかけて恩恵を受けるユーザーが全体の0.16%では、ビジネス判断として後回しになりやすい構造です。

ただしIntelが声明で「tens of millions of players using Intel GPUs(Intel GPUを使う数千万人)」と述べているのは、Arc専用GPUではなく統合グラフィックス(Iris Xe等)を含む数字です。iGPUのみを除外しようとした結果としてArcも弾かれているとすれば、対象ユーザーは非常に限られているにもかかわらず、開発側が気づかないまま問題が放置されていた可能性もあります。

同様の問題は以前からある——Arc排除の構造的背景

Arcを持つゲーマーにとって、今回の件はCrimson Desert固有の問題ではありません。コミュニティでは以前から類似した事例が指摘されています。

Wuthering Waves
ハードウェアホワイトリストにより120fps表示が制限される
Genshin Impact
60fpsロック(他のGPUは120fps以上可能)
Honkai: Star Rail
120fpsモードはレジストリキー経由でのみアクセス可能

注目すべきパターンは、これらの問題が主に中国・韓国の開発元タイトルで多く報告されている点です(断定はできませんが、コミュニティ内での観察として共有されています)。Pearl AbyssもCrimson DesertもFSR 4.1を採用しているAMD密接なタイトルであり、Intelとの関係が薄い構図は一貫しています。

TechPowerUpのフォーラムでは「これは危険な前例だ」という声が多く、「今後も同様の問題が増える可能性がある」という懸念が広がっています。IntelがBattlemageで$250という競争力のある価格のB580を出し、性能面でもRTX 4060・RX 7600と戦える水準に達しているにもかかわらず、こうした形でゲームの互換性問題が続くとArcの普及はさらに難しくなります。

Pearl AbyssとIntel——どちらの言い分が正しいか

現時点で言えることは「対応を拒否した記録はない」という点です。Pearl AbyssはFAQで技術的理由を説明せず返金に誘導し、Intelは「申し出たが断られた」と主張しています。双方の言い分が直接矛盾しており、第三者が事実確認できる状況にありません。

ただし、Intel B580という$250・12GB・RTX 4060超えの性能を持つGPUが市場に存在し、そのGPUで主要タイトルが起動すらできないという事実は残ります。Intel Arc購入を検討している人、または既に所有している人は、購入前にゲームの対応状況を確認する習慣が今後ますます重要になります。

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