ゲーミングPCを選ぶ際、最も悩ましいのが「グラフィックボード(GPU)選び」です。2025年現在、市場で主流となっているのがNVIDIAの「RTXシリーズ」と、AMDの「Radeonシリーズ」。どちらも魅力的な製品を展開しており、価格帯も性能も似通っているため、選びにくいと感じる方も多いでしょう。
この記事では、「RTXとRadeon、どっちを選ぶべきか?」という疑問に答えるべく、性能・機能・価格・使い勝手などの観点から両シリーズを徹底比較していきます。
RTXとRadeonの違いをざっくり解説
まずは大枠の違いを整理しておきましょう。
RTXシリーズはNVIDIAが展開するグラフィックボードのブランドで、リアルタイムレイトレーシングやDLSS(AIによる高画質化技術)など、先進的な機能に強みがあります。
一方のRadeonシリーズはAMDが展開するGPUブランドで、同じ価格帯でもVRAM(ビデオメモリ)容量が多く、コストパフォーマンスや消費電力の面で優れた製品が多い傾向にあります。
つまり、RTXは「性能と機能の総合力」、Radeonは「価格と容量のバランス」に強みがあるというのが基本的な構図です。
ゲーム性能で比較|フレームレートと最適化の傾向
多くのAAAタイトルでフレームレートを比較した場合、RTXシリーズはゲームごとの最適化が進んでおり、安定して高いパフォーマンスを発揮します。特にレイトレーシングを有効にした状態では、Radeonよりも明確にフレームレートが高くなる場面が多く見られます。
一方で、Radeonシリーズも純粋なラスタライズ性能(通常描画)では同価格帯のRTXと互角以上のスコアを出すモデルもあり、ゲームによってはRadeonのほうが高いfpsを出すこともあります。
とくに「VRAM 12GB以上を要求する重めのゲーム」では、VRAMが多めなRadeonのアドバンテージが出やすいのも注目ポイントです。
レイトレーシング性能・アップスケーリング技術の違い
RTXシリーズの最大の強みは「DLSS 3」にあります。AIによってフレーム補間を行うことで、画質を保ったまま大幅にフレームレートを向上させる技術であり、RTX 40シリーズ以降では非常に高精度に進化しています。
一方のRadeonも、FSR(FidelityFX Super Resolution)という独自のアップスケーリング技術を展開していますが、DLSSに比べると対応タイトル数や画質面でやや劣る印象があります。
また、レイトレーシングの処理速度に関しても、2025年現在ではRTXの方が明確に優秀です。リアルな光の表現を多用するゲームを美しくプレイしたいなら、RTXが有利です。
価格とコスパ|Radeonの方が安価でVRAMも多め
価格に関しては、同じ価格帯ならRadeonの方がVRAM容量が多く、価格性能比では優秀です。たとえば、RTX 4060(VRAM 8GB)とRadeon RX 7600(VRAM 8GB〜12GB)は近い価格帯ですが、後者の方がゲームによってはメモリ容量を活かしてパフォーマンスが上回ることもあります。
とはいえ、NVIDIAは中古市場での流通量が多く、安定したドライバや長期的なサポートを含めると、価格差を補う付加価値があるとも言えます。
消費電力・静音性の違い
AMDのRadeonシリーズは、近年電力効率が大きく改善されており、消費電力の面ではNVIDIAとほぼ同等、もしくはやや低めのモデルもあります。ただし、高負荷時の発熱や冷却ファンの静音性は、NVIDIAのほうが安定しているという声もあります。
静音PCや小型PCを組みたい場合には、ミドルクラスのRTXシリーズ(4060〜4070)が扱いやすいでしょう。
用途別に見る最適なGPUの選び方
以下は用途ごとのおすすめGPUブランドの一例です。
- 最新ゲームをレイトレ・高画質で楽しみたい → RTX
- とにかく安くて高性能なGPUがほしい → Radeon
- 動画編集やAI画像生成などもやりたい → RTX(CUDA対応)
- WQHD以上でVRAMを多く使うゲームが中心 → Radeon(VRAM多め)
- ゲーム配信・OBSとの相性を重視 → RTX(NVENCが強力)
まとめ:RTXは総合力、Radeonはコスパで選ぶ
2025年時点での結論としては、RTXシリーズはレイトレーシングやDLSSなどの高度な技術に強く、性能の総合力で優れている一方、Radeonシリーズは価格とメモリ容量に優れ、コストパフォーマンス重視のユーザーに適しています。
「最新の機能を試したい」「ゲーム+クリエイティブ作業にも使いたい」という人にはRTXが向いています。
「画質よりもコスパ重視」「VRAMが多い方が安心」という人にはRadeonの方が良い選択肢になるでしょう。