Nacon経営破綻——Greedfall・Blood Bowl・TDU開発元を含む4スタジオが倒産手続き。労組は「戦略的無策」と非難
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Greedfall開発のSpiders、Blood BowlのCyanide、Test Drive UnlimitedのKylotonn——フランスのゲーム労組は経営陣を「戦略的無策」と痛烈に非難しています
- フランスのパブリッシャーNaconが法的整理(redressement judiciaire)に入り、傘下4スタジオも連鎖的に倒産手続き
- 影響を受ける開発者は約320人。Greedfall・Blood Bowl・Test Drive Unlimited等のIPが宙に浮く
- フランスのゲーム労組STJVが経営陣の「何年にもわたる経営失態と戦略的無策」を公式に非難
目次
何が起きたのか——銀行団の融資拒否から始まった連鎖崩壊
事態は2026年2月13日、金曜日の午後に急変しました。Naconの親会社BigBen Interactiveが確保していた4,300万ユーロの借換融資を、銀行団が満期わずか4営業日前に「情報提供義務違反」を理由に実行を拒否。この融資は社債の一部返済に充てる予定だったため、BigBenは即座に返済不能に陥りました。
フランスの「redressement judiciaire」は日本の民事再生法に近い手続きで、事業継続を前提に裁判所の監督下で債務を再構築します。即座に全員解雇・スタジオ閉鎖ではありませんが、再建に失敗すれば清算に進む可能性もあります。
影響を受けた4スタジオ
4スタジオで約320人の開発者が影響を受けます。Naconグループ全体では1,000人超・16の開発スタジオを擁していますが、今回法的整理に入ったのは中核となる4社です。
労組STJVの痛烈な声明
フランスのゲーム労組STJV(Syndicat des Travailleurs et Travailleuses du Jeu Video)は、経営陣に対して極めて厳しい声明を発表しました。
何年にもわたる経営失態と戦略的無策が、スタジオの近代化・組織化・成長を阻害した。経営陣のゲーム制作に対する「軽蔑」と「無能」が組み合わさり、スタジオを能動的に妨害した。
——STJV(フランスゲーム労組)公式声明
STJVはさらに具体的な問題を列挙しています。
- 1年以上にわたる採用凍結と昇給停止
- 新スタジオの設立が「既存スタジオを妨害し、人員削減するための隠された目的」だった
- 明確な計画なくAIソリューションの導入を強制
- 高い離職率、ジェンダー賃金格差、ハラスメントの蔓延
この声明の重みは、2024年のストライキの歴史が裏付けています。2024年8月にはSpidersの従業員95人中44人が公開書簡で経営の問題を告発し、9月にはKylotonnも連帯ストライキに突入していました。開発者側は1年以上前から警鐘を鳴らしていたことになります。
宙に浮くIP——GreedFall、TDU、WRC
プレイヤーにとって最も気になるのは、各シリーズの今後です。
| IP / タイトル | スタジオ | 現状 |
|---|---|---|
| GreedFall | Spiders | The Dying World 1.0は3月10日にリリース済み。Spidersの買収先次第でIPの帰属が変わる |
| Blood Bowl | Cyanide | Games WorkshopのWarhammer IPに基づくライセンス作品。Cyanideの法的整理でライセンス継続が不透明 |
| Test Drive Unlimited | Kylotonn | Solar Crownの継続サポートが不透明。新作の見通しなし |
| WRCシリーズ | Kylotonn | 2027〜2032年のライセンスは確保済みだが、開発体制が法的整理で崩壊中 |
| Cthulhu: The Cosmic Abyss | Big Bad Wolf | 4月16日発売予定。開発元の親会社(Cyanide)が法的整理中で予定通りリリースできるか不明 |
Spidersについては買収入札が4月14日に締め切られます。買い手がつけばGreedFall IPは新しいオーナーのもとで存続する可能性がありますが、条件次第です。
「もうひとつのEmbracer」——乱立買収の末路
Naconの崩壊は、2023〜2024年に経営危機に陥ったEmbracer Groupと構造的に酷似しています。
両社に共通するパターンは明確です。短期間に多数のスタジオを買収し、統合と長期戦略を後回しにし、大型タイトルの失敗(NaconならTest Drive Unlimited Solar Crown、EmbracoerならSaints Row)が財務を直撃。最終的に社債の返済が行き詰まるという流れです。
Embracerは従業員の50%以上(約8,000人)を削減し、44のスタジオを閉鎖・売却しました。Naconが同じ規模の崩壊に至るかは再建手続きの結果次第ですが、320人の開発者がその帰趨に影響を受けています。
まとめ——開発者が1年前から鳴らしていた警鐘
Naconの経営破綻は「突然」ではありませんでした。2024年8月のSpiders公開書簡、9月のKylotonnストライキ、労組STJVの繰り返しの警告——開発者側は1年以上前から問題を訴えていました。それが聞き入れられなかった結果が、今の法的整理です。
4月14日のSpiders買収入札、4月16日のCthulhu新作リリース。Naconを巡る状況はまだ動き続けています。GreedFall、Blood Bowl、Test Drive Unlimited——これらのIPが存続するかどうかは、これからの数週間で決まります。

