DirectStorage 1.4発表——Zstandard圧縮で「テクスチャポップイン」が消える日が近づいた
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Metaが開発したZstandard圧縮と、新ツール「GACL」で圧縮率を最大50%改善。SSD→GPUの転送が速くなれば、テクスチャが「後から読み込まれる」問題が解消に向かいます
- GDC 2026でDirectStorage 1.4パブリックプレビューを公開。Zstandard(Zstd)圧縮に対応
- 新ツールGACL(Game Asset Conditioning Library)で圧縮率を最大50%改善
- AMD / NVIDIA / Intel / Qualcommが2026年後半にドライバー最適化を予定
目次
DirectStorageとは何か——30秒で理解する
DirectStorageは、ゲームデータをNVMe SSDからGPUのVRAMに直接転送する仕組みです。従来はSSD→CPU→GPU という経路を通っていたデータを、CPUを介さずにGPUのcompute shaderで直接展開することで、ロード時間を大幅に短縮します。
2022年にバージョン1.0がリリースされて以来、GPU展開(1.1)、HDD対応(1.2)、バッチリクエスト(1.3)と進化してきました。1.4の最大の変更点はZstandard圧縮への対応です。
Zstandard——なぜ「圧縮方式」が重要なのか
ゲームデータはSSDに圧縮された状態で保存されています。ゲーム中にテクスチャや3Dモデルが必要になると、圧縮データをSSDから読み出し、展開してからGPUに送ります。
この「圧縮→展開」の効率が悪いと、SSDの読み出し速度がいくら速くても転送が追いつかず、テクスチャが「後から読み込まれる」——いわゆるテクスチャポップインが発生します。
Zstandard(Zstd)はMetaが開発したオープンソースの圧縮アルゴリズムで、Linux やクラウドインフラで広く使われています。従来のGDeflate(NVIDIA提案)と比較して、圧縮率と展開速度のバランスに優れるとされています。
GACLで圧縮率を最大50%改善
DirectStorage 1.4と同時に公開されたGACL(Game Asset Conditioning Library)は、ゲームアセットをZstd圧縮する前に「下処理」することで、圧縮効率を劇的に向上させるツールです。MIT ライセンスでオープンソース公開されています。
| 技術 | 仕組み | 効果 |
|---|---|---|
| Shuffling | BCnビットストリームを並べ替え、Zstdのパターンマッチング効率を向上 | 圧縮サイズ約10%削減 |
| BLER | 視覚的に類似したテクスチャブロックを統合してエントロピーを低減 | 最大50%削減(PSNR 40dB以上維持) |
| CLER | 機械学習ベースのカラー最適化(実験段階) | BC1テクスチャのみ対応 |
「最大50%改善」はBLER適用時のBCnテクスチャが対象です。すべてのアセットに一律50%ではない点に注意が必要です。それでも、テクスチャデータはゲームの総容量の大部分を占めるため、全体へのインパクトは大きいと言えます。
4社がドライバー最適化を予告
AMD・NVIDIA・Intel・Qualcommの4社すべてが2026年後半にドライバーレベルでの最適化を予告しています。GPU側のサポートが揃えば、開発者がDirectStorage 1.4を採用するハードルは大幅に下がります。
対応ゲームの「少なさ」という課題
技術としては正しい方向に進化しています。しかし、DirectStorageには発表から4年を経ても解消されていない問題があります。対応ゲームが少ないことです。
2026年3月時点で確認されている主な対応タイトルは、Forspoken、FF7 Rebirth、モンスターハンターワイルズ、Marvel’s Spider-Man 2、Ratchet and Clank: Rift Apart、Forza Motorsport、Star Wars Outlawsなど。数としてはまだ十数本レベルです。
PCWorldは「DirectStorageに何が起きたのか?なぜもっと多くのゲームが使わないのか?」という疑問を記事にしています。開発者にとって、既存のアセットパイプラインをDirectStorage対応に作り替えるコストが高く、リターンが見えにくいことが採用の壁になっています。
1.4のZstd + GACLが、この壁を下げるきっかけになるかどうか。オープンソースで提供され、4社のドライバーサポートも揃う点は明るい材料です。
今すぐ何かが変わるわけではない
DirectStorage 1.4は現時点でパブリックプレビュー(開発者向け早期公開)です。ドライバー最適化も2026年後半。対応ゲームが出揃うのはさらにその先になります。
ただし、テクスチャポップインやロード時間の問題は、UE5採用タイトルを中心に年々深刻化しています。SSDの読み出し速度はすでにGen5で14GB/sに達していますが、圧縮展開のボトルネックが解消されなければ、その速度を活かしきれません。DirectStorage 1.4のZstd + GACLは、このボトルネックを正面から解消しようとする技術です。
ゲーマーとしてやるべきことは、現時点では特にありません。強いて言えば、NVMe SSDを使っていない人はGen3以上のNVMe SSDに移行すること。DirectStorageの恩恵を受けるための最低条件です。当サイトのロード時間短縮ガイドも参考にしてください。

