Intel Bartlett Lake「Core 9 273PQE」が14900Kをゲームで最大+10%撃破|12 Pコア5.9GHz・LGA1700延命・Intelが封印した最速ゲーミングCPUの真実【2026年5月】
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2026年5月8日、独 YouTube チャンネル「Zed Up Gaming」が公開した Intel Core 9 273PQE(コードネーム Bartlett Lake-S)の実機ゲーミングベンチマークは、PC 自作派の常識を揺さぶる衝撃的な結果でした。i9-14900K を Horizon Zero Dawn・Monster Hunter Wilds・Shadow of the Tomb Raider・Outcast 1.1 などで 最大 +9.2% 上回り、事実上「Intel 史上最速のゲーミング CPU」が誕生したのです。
本記事では、この異色 CPU の 確定スペックの完全解読・5ゲーム別の実測 fps 対決・PassMark 詳細スコア・Bartlett Lake-S 全11 SKU ラインアップ・個人入手の現実性(Mouser €725)・Z790 改造 BIOS 起動事件・LGA1700 延命派の選択肢を、一次情報ベースで掘り下げます。
既存の Ryzen 7 9800X3D レビュー・Core Ultra 7 265K vs 270K Plus 比較 ではコンシューマ向けゲーミングCPU市場を整理してきましたが、本作は 「Intel が封印した最速ゲーミングCPU」という異色のテーマ。なぜ手に入らない CPU を解説するのか、その意義まで含めて読み解きます。
目次
01 / 速報5/8 独YouTuber Zed Up Gaming が公開した衝撃のベンチマーク
2026年5月初旬、独 YouTube チャンネル「Zed Up Gaming」が、組込み市場でしか流通していないはずの Intel Core 9 273PQE を入手し、i9-14900K との直接対決ベンチマークを公開しました。配信元は ASRock 産業用マザボ「IMB-X1714」(W680・約 €340)と GeForce RTX 4070、DDR5-5600 という構成で、米国 Mouser Electronics から €725 ネットで購入したと明らかにしています。
Bartlett Lake-S は2026年3月9日の embedded world 2026 で正式発表された Intel の組込み・エッジ向け新ファミリーです。LGA1700 ソケットを継承し Raptor Cove P コアを 12 基搭載という変態構成で、Intel 公式は「not intended to be a consumer SKU」と明言。当初はベンチマーク情報も限定的でしたが、Zed Up Gaming の動画公開を機に Tom’s Hardware・VideoCardz・TweakTown・Wccftech・HotHardware が一斉に報道し話題化しました。
02 / 確定スペックCore 9 273PQE 全仕様詳細——12P/24T・5.9GHz・LGA1700
Intel ARK 公式と Igor’s Lab・KitGuru のリークを統合した、現時点の確定スペックを整理します。最大の特徴は 「Eコア完全廃止」と 「12 P コア構成」。i9-14900K(8P+16E=24コア)から E コアを削除し、P コアを 8 → 12 に増やしたゲーム特化型レイアウトです。
| 項目 | Core 9 273PQE 確定スペック |
|---|---|
| コードネーム | Bartlett Lake-S(Core 200E ファミリー) |
| コア / スレッド | 12 P / 0 E(24スレッド)※E コア完全廃止 |
| マイクロアーキテクチャ | Raptor Cove(13/14 世代と同じ P コア) |
| プロセス | Intel 7 |
| ベースクロック | 3.4 GHz |
| 最大ターボ周波数 | 5.9 GHz |
| 全コアブースト | 5.3 GHz |
| L3 Smart Cache | 36 MB |
| PBP(Processor Base Power) | 125 W |
| MTP(Maximum Turbo Power) | 推定 250〜300W(Cinebench R23 全コア時 286W 実測) |
| ソケット | LGA1700(13/14 世代と物理互換) |
| メモリ対応 | DDR5-5600 / DDR4-3200(DDR4 残党にも優しい) |
| 最大メモリ容量 | 192 GB |
| ECC メモリ | 対応(grade 別) |
| 統合 GPU | Intel UHD Graphics 770 相当(32 EU Xe-LP) |
| PCIe | PCIe 5.0(CPU 直結) |
| 公式サポート チップセット | W680 / Q670 / H610(産業用のみ) |
| 非サポート(コンシューマ) | Z790 / H770 / B760(ASRock 公式声明) |
| OC(K SKU) | 非対応(オーバークロック不可) |
| 発表日 | 2026年3月9日(embedded world 2026) |
注目点は L3 Smart Cache 36MB と DDR4 互換。i9-14900K(L3 36MB)と同容量の L3 を維持しつつ、E コアを排除した分のダイ面積を P コア増設に振り分けた構成です。さらに DDR4 対応のため、メモリ高騰下で DDR4 在庫を活かしたい既存 LGA1700 ユーザーにも理論上は適合します。
03 / ベンチマーク5ゲーム実測 fps 対決——14900K を最大+9.2%撃破
Zed Up Gaming のテストは、解像度を 720p に絞ることで CPU ボトルネックを露出させた構成です。RTX 4070 という限定的な GPU を使ったため、4K 帯では GPU バウンドになり差が出ない可能性があったため、CPU 性能差を可視化する目的で 720p を採用しています。
勝ちの構造は「E コア排除によるスケジューリング揺らぎの消失」と推測されます。Windows のスレッドスケジューラは P/E ハイブリッド構成で稀に E コアにゲームスレッドを誤配置し、99 パーセンタイル フレームタイムを悪化させますが、12 P 専用構成では原理的にこの問題が発生しません。Counter-Strike 2 は元々の最適化が極めて高いため逆転されたと見られます。
04 / PassMarkマルチ -22%・シングルほぼ同等——コア半分でも78%の理由
PassMark CPU Benchmark の公開スコア(2026年5月6日時点・サンプル数5)から、273PQE の総合性能を整理します。注目すべきは 「マルチでは -22% でも、シングルとゲームではほぼ同等以上」という構造で、これは E コアがマルチ性能には貢献するがシングル・ゲームにはむしろノイズになる、という長年の議論への決定打になります。
- Core 9 273PQE|CPU Mark 45,427〜45,606 / Single Thread 4,611〜4,655
- vs i9-14900K(8P+16E=24C/32T)|マルチ -22%(コア数半分でも 78% 維持)/シングル -1% 未満(ほぼ同等)
- vs i7-14700K(8P+12E=20C/28T)|マルチ -13% /シングル +4%(273PQE 優位)
- 業者向け価格|$589 USD(PassMark 記載・2026/1/1)
- 順位|全 CPU 5,872 中 マルチ 298 位 / シングル 51 位
Cinebench R23 の参考スコアでは 273PQE が 33,111 ポイントを記録し、Ryzen 9 9900X3D(32,960)を僅かに上回ります(Gazlog 実測値)。ただしこの時の消費電力は 286Wで、PBP 公称値 125W の 2 倍超を消費している点には注意が必要です。「125W TDP」を信用して低発熱期待で買うと痛い目を見ます。
05 / SKUラインアップBartlett Lake-S 全11 SKU——3 ティア×4階層
KitGuru / Igor’s Lab がリークした Bartlett Lake-S 全 SKU を整理すると、「125W / 65W / 45W」の3 ティア × 「12P / 10P / 8P / 8P(Core 3)」の4階層 = 11 SKUという体系的な構成が明らかになります。すべて P コアのみで E コアは存在せず、プロセスもクロックレンジも 273PQE とほぼ同じです。
125W ティア(高性能)
| SKU | コア | Base | Max Boost | 全コア | L3 | TDP |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Core 9 273PQE | 12P / 24T | 3.4 GHz | 5.9 GHz | 5.3 GHz | 36 MB | 125W |
| Core 7 253PQE | 10P / 20T | 3.5 GHz | 5.7 GHz | 5.3 GHz | 33 MB | 125W |
| Core 5 223PQE | 8P / 16T | 4.0 GHz | 5.5 GHz | 5.3 GHz | 24 MB | 125W |
65W ティア(標準)と 45W ティア(省電力)
| SKU | コア | Base | Max Boost | 全コア | L3 | TDP |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Core 9 273PE | 12P / 24T | 2.3 GHz | 5.7 GHz | 5.2 GHz | 36 MB | 65W |
| Core 7 253PE | 10P / 20T | 2.5 GHz | 5.5 GHz | 5.2 GHz | 33 MB | 65W |
| Core 5 223PE | 8P / 16T | 2.9 GHz | 5.4 GHz | 4.8 GHz | 24 MB | 65W |
| Core 3 213PE | 8P / 16T | 2.7 GHz | 5.2 GHz | 4.6 GHz | 24 MB | 65W |
| Core 9 273PTE | 12P / 24T | 1.4 GHz | 5.5 GHz | 4.6 GHz | 36 MB | 45W |
| Core 7 253PTE | 10P / 20T | 1.8 GHz | 5.4 GHz | 4.6 GHz | 33 MB | 45W |
| Core 5 223PTE | 8P / 16T | 2.3 GHz | 5.4 GHz | 4.8 GHz | 24 MB | 45W |
| Core 3 213PTE | 8P / 16T | 2.1 GHz | 5.2 GHz | 4.6 GHz | 24 MB | 45W |
注目すべきは 命名規則。「PQE / PE / PTE」の 3 ティアと「273 / 253 / 223 / 213」の 4 階層という体系的なネーミングで、用途別に細かく差別化されています。213 系のみ iGPU が 24EU、それ以外は 32EU Xe-LP 構成です。すべて Eコア廃止・OC 非対応・組込み専用という共通点があります。
06 / Eコア廃止なぜ12 Pコア構成にしたのか——Intel公式の言葉
Intel の Embedded セグメント担当 Simon Wilyman 氏は、英メディア Club386 の 2026年3月インタビューで、Eコアを排除した理由を直接的に説明しています。
Wilyman 氏(Intel 公式): 「Bartlett Lake, the Core Ultra Series 2 with P-Cores, has been designed specifically to answer those needs, in mission-critical edge applications」「Introducing hybrid architecture to embedded markets could result in poor performance, as E-Cores would be largely wasted in edge computing environments」(E コアはエッジ環境ではほぼ無駄になる)
Intel が想定する用途は、産業オートメーション・PLC・ロボティクス・医療機器・ビデオ解析・デジタルサイネージ・エッジ AI・リテールキオスク・Windows Server・「決定論的(deterministic)」「低レイテンシ」が必要なミッションクリティカル系。Eコアは省電力やバックグラウンド処理に強い反面、リアルタイム性・スケジューリング揺らぎでデメリットが大きいため、組込み市場では削除する方が合理的という判断です。
皮肉なのは、「決定論的・低レイテンシが重要」という特性は、ゲーミングにこそ最も求められる性能特性だという点。組込み向けに最適化したらゲームでも最強になった、というのが今回のベンチマーク結果が示す構造です。
07 / 入手性個人入手は可能か——Mouser €725 + 産業用マザボ €340 の現実
Bartlett Lake-S は組込み専用製品ですが、Zed Up Gaming は実際に米 Mouser Electronics から €725 ネットで購入しています。電子部品商社経由なら個人購入も理論上は可能ですが、自作派が手を出すには多くの障壁があります。
つまり、CPU €725 + マザボ €340 + 関税・送料・VAT で 合計 ¥220,000〜250,000 級の投資が必要となり、加えて W680 産業用マザボでは OC 非対応・ゲーマー向け機能(RGB / オンボードオーディオ強化等)も限定的。9800X3D + B850 マザボの ¥80,000 構成と比べて 3 倍の投資で「最大 +9% のゲーム性能」を得る計算になり、合理性は皆無です。
08 / 改造BIOSZ790改造BIOS事件——Claude AIで開けた抜け穴
2026年5月初旬、Overclock.net の自作派コミュニティから、コンシューマ向け Z790 マザボで Bartlett Lake-S を起動する方法が報告されました。これを実現したのが Anthropic の Claude AI(Vibe Coding)を活用した BIOS マイクロコード偽装です。
ASRock は2026年4月の公式声明で「Z790 / H770 / B760 の既存 LGA1700 コンシューマ マザボは Bartlett Lake をサポートしない」と明言済み。制約はソケットピン配列ではなく マイクロコード・ファームウェアポリシーのため、改造 BIOS で原理的には突破可能ですが、マザボ保証は無効・ブリック リスクあり・公式ドライバ更新で動作しなくなる可能性を承知のうえで挑戦する必要があります。
09 / 延命選択LGA1700 ユーザーの選択肢——14900K継続 vs 9800X3D移行
14世代 LGA1700 環境を持つユーザーが取れる選択肢を整理します。Bartlett Lake-S 滞留は事実上不可能なため、現実的には「14900K 継続」「9800X3D / 9950X3D へ完全移行」「Nova Lake(2026 後期・LGA1954)待ち」の 3 択になります。
| 選択肢 | メリット / デメリット |
|---|---|
| 14900K 継続 | マルチ最強・既存マザボ流用 / ゲームでは 273PQE に最大 9% 敗北・E コア スケジューリング揺らぎ残存 |
| Bartlett Lake 滞留(改造) | ゲーム最速・LGA1700 完全延命 / 合計 ¥220,000+・自己責任・OC 不可・保証無効 |
| Arrow Lake へ(Z890+285K) | 公式対応・電力効率改善 / 9800X3D に大敗(ゲーム性能で -15〜30%) |
| 9800X3D(¥60,000)へ完全移行 | ゲーム最速・3D V-Cache 96MB・X870E が円熟 / プラットフォーム総入替(マザボ + メモリ + CPU) |
| 9950X3D(¥110,000)へ完全移行 | ゲーム最速 + マルチ強化(16C/32T)・3D V-Cache 128MB / 価格と消費電力 |
| Nova Lake(2026後期)待ち | LGA1954・Coyote Cove・最大 52 コア / 完全プラットフォーム移行 + 半年以上の待ち |
合理的な選択は 「9800X3D(¥60,000)へ完全移行」です。273PQE が 14900K に最大 +9% でも、9800X3D は 14900K に対して +20〜35%(業界共通認識)の差をつけており、Bartlett Lake-S はゲーム最速ではない構造を抱えています。3D V-Cache の威力は P コア増設では覆らない、というのが2026年5月時点の現実です。
10 / 意義手に入らないCPUを論じる意義——Eコア廃止議論への決定打
では、なぜ 「個人入手不可な CPU」を詳細に解説するのか。それは Bartlett Lake-S の存在自体が、Intel の今後の戦略と PC ゲーマー文化に与える影響が大きいからです。
- 「Eコアは本当にゲームに必要か」議論への決定打|同じ Raptor Cove で E コア削除 → 12P 化で 14900K を最大 +9% 撃破。スケジューリング揺らぎ削減の効果を実証
- Intel の戦略読み取り|Wilyman 氏は「not intended to be a consumer SKU」と明言。Nova Lake(2026 後期・LGA1954)も Coyote Cove + Arctic Wolf のハイブリッド継続予定で、短期的には E コア戦略を維持
- LGA1700 の最終世代としての意味|2021年 12 世代 Alder Lake 以来の長寿ソケットが、産業向けで「最高性能」を切り出した形で締めくくられる
- Pコア専用消費者版の市場性実証|Arrow Lake 不調 + 9800X3D 一強の状況下、Intel が将来 P コア専用コンシューマ版を投入する可能性は残る
つまり Bartlett Lake-S は、「コンシューマ向けに出さなかった」こと自体が Intel のメッセージであり、Pコア専用ゲーミングCPU の市場性を示唆する伏線でもあります。Nova Lake の Coyote Cove ハイブリッド構成が消費者市場で受けない場合、Intel が方針転換して P コア専用コンシューマ版を出すシナリオも現実味を帯びる可能性があります。
11 / 参考参考|273PQEを諦めて選ぶべき2026年5月の現実解CPU
273PQE は手に入らないため、現実的に選ぶべきは 9800X3D / 9950X3D または Core Ultra 7 265K です。9800X3D は2026年5月時点で ¥60,000 という価格に落ち着いており、ゲーム性能で 273PQE に勝つ唯一の選択肢でもあります。コスパ重視なら Core Ultra 7 265K(¥46,000〜)も視野に入ります。

AMD Ryzen 7 9800X3D BOX
273PQE が手に入らない以上、ゲーミング最強の現実解はこちら。Zen 5 + 3D V-Cache 96MB の組み合わせで、14900K に対して +20〜35% のゲーム性能差をつけており、273PQE の +9% という数字も理論上 9800X3D が上回ります。AM5 プラットフォームの円熟度・X870E マザボ流通も追い風で、2026年5月時点のゲーム最速 CPU としての地位は盤石です。

Intel Core Ultra 7 265K BOX
Intel から離れたくない方の現実解。Arrow Lake 8P+12E=20C/20T 構成で、ゲーム性能は 14900K と同等水準ながら電力効率は大きく改善。273PQE のような特殊路線ではなく、Z890 マザボ+DDR5 で素直に組める安心感があります。9800X3D に対するゲーム劣勢は明確ですが、マルチタスク・配信・動画編集も含む万能用途では 265K の方が扱いやすい選択肢です。
Intel Core 9 273PQE(Bartlett Lake-S)は、i9-14900K をゲームで最大 +9.2% 撃破した「Intel が封印した最速ゲーミング CPU」です。12 P コア(E コア完全廃止)・5.9GHz・LGA1700 という変態構成が、Eコアのスケジューリング揺らぎを排除して理想的な ゲーム性能 を叩き出しました。ただし Intel は明確に「not intended to be a consumer SKU」と宣言し、コンシューマ Z790 マザボは BIOS 非対応。Mouser から €725 で個人入手可能とはいえ、産業用マザボ €340 + 関税・送料込みで ¥220,000+ という非合理な投資になります。Z790 改造 BIOS には Anthropic Claude AI を活用した起動例がありますが、自己責任・性能未確認・保証無効と現実度は低いままです。結局のところ、ゲーマーが選ぶべきは AMD Ryzen 7 9800X3D(¥60,000)が現実解で、273PQE よりさらに高いゲーム性能を 1/4 の予算で得られます。とはいえ Bartlett Lake-S の存在自体は、Eコア廃止議論への決定打として Intel の今後の戦略を読み解く重要な指標であり、Nova Lake(2026 後期・LGA1954)以降の動向と合わせて観測すべき存在です。



