【APU構成ガイド2026】グラボ不要で省スペースゲーミングPCを組む——8700G・8600Gで何ができるか正直に解説

2026.2.22
【APU構成ガイド2026】グラボ不要で省スペースゲーミングPCを組む——8700G・8600Gで何ができるか正直に解説

「グラボなしでゲーミングPCは組めるのか?」——答えはYesですが、条件があります。AMDのAPU(CPU+GPU統合チップ)を使えばグラボゼロ円で軽〜中量ゲームが動くPCを組めますが、できることと限界を正確に知っておかないと後悔します。この記事では、現行デスクトップAPUの主力である8700Gと8600Gを軸に、パーツ構成の考え方からゲーム動作の実態まで正直に解説します。

01 / APU構成とはグラボなしで何ができて、何ができないか

APU(Accelerated Processing Unit)はCPUとGPUを1チップに統合したプロセッサです。Intelのデスクトップ向けCPUにも内蔵GPUはありますが、AMDのAPUはRDNA 3世代のGPUアーキテクチャを採用しており、ゲームに使えるレベルの性能を持っています。グラボを買わない分、コストを大幅に削減できるのが最大のメリットです。

項目

APU構成(グラボなし)

通常構成(グラボあり)

初期コスト

グラボ分が丸ごと節約

GPU代が追加で必要

eスポーツ系(LoL・Valorant)

60fps以上(快適)

さらに高fps

Fortnite・Apex(低画質)

40〜65fps(設定次第)

快適

重量3Dタイトル(低画質)

25〜30fps(厳しい)

解像度・設定次第で快適

消費電力

65W(省電力)

CPU+GPU合計200W〜

PC本体サイズ

Mini-ITXケース対応

大型GPUでケースが制約される

将来のGPU増設

AM5プラットフォームで対応可

APU構成が強みを発揮するのは、「eスポーツ系タイトル専用」「普段使い兼ライトゲーム」「省スペース・省電力重視」の3つの用途です。Fortniteのような中量タイトルも低画質なら動きますが、60fps安定を期待するなら設定を詰める必要があります。「グラボなしでも一応動く」という感覚で重量タイトルを期待すると後悔します。

一方でAM5プラットフォームを使うため、将来GPUを追加する段階的な構成の出発点としても機能します。「まずAPUで組んで、予算ができたらGPUを足す」という進め方は非常に合理的です。

02 / モデル選択8700G・8600Gどちらを選ぶか

現行デスクトップAPUでゲームに使えるレベルの選択肢は、実質的に8700Gと8600Gの2択です。8500Gはイ蔵GPUが4CUと小規模すぎてゲーミング用途には向かないため、このガイドでは対象外とします。

上位モデル

Ryzen 7 8700G

参考価格:¥46,000前後

内蔵GPU Radeon 780M(12CU)
CPUコア Zen 4 × 8コア
ブーストクロック 5.1 GHz
iGPU性能(相対) 100%(基準)

Radeon 780Mは現行デスクトップAPU最強のiGPU。Fortniteを60fps安定で動かしたいなら8700Gが現実的。

コスパモデル

Ryzen 5 8600G

参考価格:¥30,000前後

内蔵GPU Radeon 760M(8CU)
CPUコア Zen 4 × 6コア
ブーストクロック 5.0 GHz
iGPU性能(相対) 約 88%

8700Gとの性能差は約12%で価格差は約1.6万円。eスポーツ専用・予算重視なら8600Gで十分。

「Fortnite・Apex・中量タイトルを低画質で遊ぶ」なら8700G推奨。8600G(Radeon 760M)でもFortniteは低画質で60fps前後が出ますが、設定の余裕が少なく、フレームレートが不安定になる場面があります。8700G(Radeon 780M)ならその余裕が生まれます。

「League of Legends・Valorant専用」か「普段使い兼ライトゲーム」なら8600Gで十分。軽量eスポーツタイトルの60fps以上安定は8600Gでも問題なく達成できます。浮いた約1.6万円をメモリのグレードアップ(DDR5-6000化)に回すほうがトータルのiGPU性能向上につながるケースもあります。

03 / パーツ選びAPU構成を最大限に引き出す組み合わせ

APU構成はパーツの選び方がiGPU性能に直結します。特にメモリは「速度設定を1つ間違えるだけで性能が15%変わる」ほど影響が大きく、単体GPU搭載PCよりもパーツ選定の重要度が高いです。

🧩
マザーボード
AM5ソケット対応 / A620またはB650
  • 推奨チップセット B650 推奨 メモリのEXPOプロファイル対応・将来のCPU換装の自由度を考えるとB650が安心。価格差は5,000〜8,000円程度。APUのiGPU性能はメモリクロックに依存するため、EXPO対応マザーは重要。
  • コスト重視の場合 A620 代替可 CPU換装・オーバークロックを予定しないなら十分。ただしEXPO対応製品を選ぶこと。非対応のA620マザーではメモリをDDR5-4800固定で動かすことになり、iGPU性能が大きく下がります。
💾
メモリ(DDR5)
APU性能に最も直結するパーツ
  • ゲーミング用途 DDR5-6000 32GB(16GB×2) 推奨 DDR5-4800比でiGPU性能が最大20%向上します。APU構成ではメモリがGPUのVRAMを兼ねるため、速度と容量の両方が重要。DDR5-6000はコストパフォーマンスの最適点です。
  • コスト重視の場合 DDR5-5600 32GB(16GB×2) 代替可 DDR5-6000との差は約5〜8%程度。価格差が小さければDDR5-6000を選ぶべきですが、予算を絞るならDDR5-5600が次善の選択肢です。DDR5-4800は性能を大きく損なうため非推奨。
💿
ストレージ(NVMe SSD)
PCIe 4.0 M.2 NVMe
  • 推奨スペック PCIe 4.0 NVMe 1TB以上 推奨 8700G・8600GはPCIe 4.0対応。PCIe 4.0世代のNVMe SSDはゲームのロード時間とOS全体の快適さに大きく影響します。1TBはゲームを複数インストールするうえで現実的な最小容量です。
🖥️
PCケース
APU構成の強み「省スペース」を活かす
  • 省スペース重視 Mini-ITX対応ケース 推奨 グラボがないためケースのGPU長制約を気にしなくてよく、Mini-ITXの小型ケースをそのまま活用できます。APU構成最大のメリットの1つです。TDP 65WなのでケースのエアフローもATX比でずっと楽です。
  • 将来GPU増設予定あり MicroATXケース 代替可 後からGPUを追加する予定があるなら、GPU長の余裕があるMicroATXケースを選んでおくと安心です。Mini-ITXは増設時のケース買い直しリスクがあります。
🌀
CPUクーラー
Wraith Stealth付属・追加投資は任意
  • 付属クーラー Wraith Stealth(同梱)でも動作可 8700G・8600GともWraith Stealth同梱。TDP 65Wであれば付属クーラーでも安定動作します。ただし長時間高負荷(ゲーム数時間)ではサーマルスロットリングが起きやすくなるため、静音・高負荷重視なら社外クーラーへの換装を推奨します。

04 / ゲーム動作目安実際のfpsを正直に示す

※DDR5-6000メモリ使用・1080p解像度の参考値です。設定・環境によって大きく変動します。

🎮 League of Legends

8700G(中〜高画質) 120fps以上
8600G(中画質) 100fps以上
🎮 Valorant

8700G(中画質) 100fps以上
8600G(低〜中画質) 80〜100fps
🎮 FF14(黄金のレガシー)

8700G(標準品質 1080p) 50fps前後
8600G(標準品質 1080p) 45fps前後
🎮 原神

8700G(中画質) 60fps前後
8600G(低〜中画質) 55〜60fps
🎮 Fortnite

8700G(低画質) 60〜80fps
8600G(低画質) 50〜65fps
🎮 Apex Legends

8700G(低画質) 55〜70fps
8600G(低画質) 45〜60fps
🎮 龍が如く8(Like a Dragon)

8700G(低画質 1080p) 40〜50fps
8600G(低画質 1080p) 30〜40fps
🎮 Minecraft(Java版)

8700G(標準設定) 60fps以上
8600G(標準設定) 60fps以上
⚠️ モンスターハンターワイルズ

8700G(最低画質+FSR) 40〜60fps
8600G(最低画質+FSR) 25〜35fps
⚠️ Cyberpunk 2077

8700G(低画質) 25〜35fps
8600G(低画質) 20〜30fps

重量3Dタイトルは正直厳しいです:モンスターハンターワイルズ・Cyberpunk 2077・龍が如く8などの重量タイトルは、どちらのAPUでも低画質で20〜50fps台が限界です。特にモンハンワイルズはFSRアップスケーリングを使っても8600GではAPU構成で安定した60fpsは難しく、8700Gでようやくプレイ可能なレベルです。これらをメインで遊びたい場合は最初からグラボ搭載構成を選ぶか、APU構成で組んで後からGPUを追加することを強く推奨します。

FF14は「普通に遊べる」水準:FF14(黄金のレガシー)は標準品質1080pで8700Gが平均50fps前後・最低31fps程度と「やや快適〜快適」評価を達成できます。ソロコンテンツや少人数コンテンツが中心なら十分なレベルです。8600Gも45fps前後で動作しますが、多人数レイドでは設定を下げることを推奨します。

📊 iGPU ゲーム性能比較(1080p 低〜中画質・相対値)

デスクトップAPU・内蔵GPU間の相対比較。メモリDDR5-6000使用時の参考値。
8700G Radeon 780M(12CU)
100%(基準)
8600G Radeon 760M(8CU)
約 88%
8500G Radeon 740M(4CU)
約 44%(ゲーム用途非推奨)
Core Ultra 5 225 Intel UHD
約 28%

05 / 結論APU構成が向いている人・向いていない人

✅ 向いている人

  • League of Legends・Valorant・Minecraftがメインの人。これらのタイトルは8600Gでも100fps前後を安定して出せます。グラボに投資しなくていい分、他のパーツを充実させられます。
  • 省スペース・静音PCを作りたい人。グラボがなければMini-ITXケースに収まり、TDP 65Wで動作音も抑えられます。リビングや狭いデスクに置くPCとして理想的です。
  • まず安く組んで、後からGPUを追加したい人。AM5プラットフォームはそのまま流用できます。最初はAPU構成で動かし、予算ができたタイミングでGPUを追加する段階的な構成が合理的です。
  • 普段使いとゲームを1台でまかないたい人。WebブラウジングからOffice作業、動画再生、軽量ゲームまで1台で完結します。

❌ 向いていない人

  • Fortnite・Apexを高fps(144fps以上)で遊びたい人。APU構成では60〜80fpsが現実的な上限です。高リフレッシュレートモニターを活かすならグラボが必要です。
  • Cyberpunk・Elden Ringなど重量タイトルを快適に遊びたい人。どちらのAPUでも重量3Dタイトルは30fps前後が限界です。この用途にはグラボ搭載構成一択です。
  • 動画編集・3Dレンダリング・ゲーム配信を本格的にやりたい人。iGPUのエンコード性能には限界があります。重いクリエイティブ作業や高画質の配信には専用GPUが現実的です。
まとめ

APU構成は「グラボなしでもゲームができる」という強みを持ちますが、万能ではありません。eスポーツ系タイトルを低コスト・省スペースで楽しみたい人、段階的にPCを強化したい人にとっては非常に合理的な選択肢です。CPUはFortnite・Apex重視なら8700G、eスポーツ専用・コスパ重視なら8600Gを選び、メモリはDDR5-6000以上を選ぶことがAPU性能を引き出す最大のポイントです。

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執筆者プロフィール

ゲーミングスタイル管理人|自作PC愛好家・ゲーム歴15年超

ゲーミングPC歴は15年以上。初めての自作PCに魅了されて以来、毎年のようにパーツを更新しながら最新のトレンドを追いかけています。現在も現役で自作ゲーミングPCを組み替えながら、より快適でコスパの良い構成を探求中。 当サイト「ゲーミングスタイル」では、初心者にもわかりやすく、でも上級者も満足できるような情報発信を心がけています。パーツ選びや比較記事、トラブル対処法まで、実体験に基づいたリアルな情報をお届けします。