Stop Killing Games 法制化見送りの結末|日本のゲーマーへの影響と「自分のゲームを守る」5つの自衛策【2026年6月】

(更新: 2026.6.23)
Stop Killing Games 法制化見送りの結末|日本のゲーマーへの影響と「自分のゲームを守る」5つの自衛策【2026年6月】

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STOP KILLING GAMES / EU請願 / 6月16日 欧州委員会が法制化見送り
Stop Killing Games 法制化見送りの結末
——日本のゲーマーへの影響と「自分のゲームを守る」5つの自衛策
2024年4月に YouTuber Ross Scott(Accursed Farms)が立ち上げた 「Stop Killing Games(SKG)」運動は、欧州市民発議(ECI)として 検証済み 129万4,188署名・24加盟国を達成し、ECI制度開始以来 14番目の有効発議に到達しました。2026年5月21日の欧州議会本会議討論は議会内で概ね好意的だったものの、6月16日に欧州委員会は「商業提供終了後もプレイ可能に保つ法的義務は現段階で提案できない」と法制化を見送り、代わりに 2026年末までに業界の行動規範(code of conduct)策定へ着手すると表明しました。運動側は「闘いは続く」とし、Digital Fairness Act への反映を狙います。本記事では The Crew 事件からの経緯・主張内容・業界団体の反論・日本企業への波及・PCゲーマーが今すぐ取れる自己防衛策まで、政治的中立を保ちつつ整理しました。
6月16日 欧州委員会が法制化見送り検証済み 129万4,188署名 / 24加盟国代替策=2026年末までに業界行動規範

出典:欧州委員会 公式発表(Shaping Europe’s digital future)欧州市民イニシアチブ 公式(Stop Destroying Videogames)

→ PCゲーマーが今すぐ取れる5つの自己防衛策を先に見る

2024年に Ubisoft の「The Crew」がサーバー停止で完全プレイ不能になった事件をきっかけに、YouTuber Ross Scott(チャンネル名「Accursed Farms」運営)が立ち上げた 「Stop Killing Games(SKG)」運動は、ついに欧州議会本会議での討論と欧州委員会の正式回答という節目に到達しました。EU市民発議(European Citizens’ Initiative)の正式名称は 「Stop Destroying Videogames」で、検証済み 129万4,188署名・24加盟国を達成し、ECI制度開始以来 14番目の有効発議として欧州委員会に提出されています。

結末はこうなりました。2026年4月16日の欧州議会公開ヒアリング(IMCO・JURI・PETI 3委員会合同)、5月7日の構造化対話を経て、5月21日の欧州議会本会議(plenary)討論では議会内から概ね好意的な声が上がりました。しかし 6月16日、欧州委員会は「商業提供終了後もプレイ可能に保つ法的義務は現段階で提案できない」として法制化を見送り、代わりに 2026年末までに業界の行動規範(code of conduct)策定に着手する方針を示しました。運動側はこれを最終決着とは捉えず、Digital Fairness Act への反映を次の主戦場と位置づけています。

日本のゲーマーには「対岸の火事」に見えるかもしれませんが、そうではありません。EU 域内で販売する日本企業(FF14欧州サービス・PSO2・モンハンナウ・崩壊スターレイル等)も、今後 Digital Fairness Act 等で義務化が実現すれば対応が必要になり得ます。本記事では、5月公開のGTA6 PC版意図的延期記事と並ぶ「ゲーマーの権利」テーマの深掘りとして、運動の経緯・主張・業界の反論・日本市場への影響・PCゲーマーが今すぐ取れる自己防衛策まで、政治的中立を保ちつつ事実ベースで整理しました。

01 / The Crew 事件と運動の起源2024年4月に Ross Scott が立ち上げた経緯

SKG 運動の出発点は、Ubisoft の人気オンライン専用レースゲーム 「The Crew」のサーバー停止事件です。時系列で経緯を整理します。

日付出来事
2023年12月14日Ubisoft が The Crew の販売停止・課金停止・3/31 サーバー停止を発表
2024年1月18日Ross Scott が「Dead Game News: The Crew」動画を公開、消費者権利侵害として法的措置を呼びかけ
2024年3月31日The Crew のサーバー停止、購入者は完全プレイ不能に
2024年4月Ross Scott が「Stop Killing Games」キャンペーンを正式開始(公式サイト + 動画)
2024年6月19日欧州市民発議(ECI)として正式登録
2024年7月31日署名収集開始

02 / 129万署名・24加盟国到達ECI 14番目の有効発議への道のり

欧州市民発議(ECI)は、EU 加盟27カ国の市民が一定数の署名を集めれば、欧州委員会に法案検討を要求できる制度です。SKG が達成した数字は ECI 制度の中でも上位クラスです。

項目確定情報
正式名称(ECI)Stop Destroying Videogames
ECI 登録日2024年6月19日
署名収集期間2024年7月31日 〜 2025年7月31日(1年間)
収集署名総数(生数)1,448,270〜1,448,271 署名
検証済み署名1,294,188 署名(2026年1月26日 欧州委員会へ正式提出)
閾値到達加盟国24カ国(ECI最低閾値 7カ国を大きく超過)
位置付けECI制度開始以来 14番目の有効発議
100万署名到達日2025年7月3日
140万署名到達日2025年7月20日

03 / 5/21討論〜6/16回答までの最重要スケジュール3つの注目日付と直近の動き

2026年4月から6月にかけて、欧州議会と欧州委員会での SKG の手続きが一通り進み、6月16日の欧州委員会回答で一区切りがつきました。これまでの重要日程と結果を整理します。

日付イベント結果・ステータス
2026年4月16日欧州議会 公開ヒアリング(IMCO / JURI / PETI 3委員会合同)完了・全会派が支持的
2026年5月7日構造化対話(McGrath委員 × IMCO委員会)完了
2026年5月21日欧州議会本会議(plenary)討論完了・議会内は概ね支持
2026年6月16日欧州委員会 正式回答(Communication)完了・法制化は見送り
2026年末まで業界の行動規範(code of conduct)策定に着手委員会の代替策
今後Digital Fairness Act への反映を運動側が要求継続中
2027年1月1日米国カリフォルニア AB 1921 適用開始(成立すれば)予定

2026年4月16日 公開ヒアリングの内容

4月16日 欧州議会公開ヒアリング

IMCO 委員長 Anna Cavazzini が「全政治会派から支持あり」と総括し、欧州議員 Nils Ušakovs と欧州委員会ディレクター Giuseppe Abbamonte が「7月までに著作権規制を含めた対応を検討する」と発言しました。

Ross Scott は Sony Concord の 3.7億ユーロ失敗を引き合いに「巨額の開発費を出せるなら end-of-life プランくらい組めるはず」と主張。会場の議員からは反対意見がほぼ出ず、海外ゲームメディアが「議員全員が肯定的に反応した極めて稀なヒアリング」と報じる結果となりました。

2026年5月21日 本会議討論と6月16日 欧州委員会の回答

5月21日 欧州議会本会議討論

5月21日の本会議討論では、議会内から概ね好意的な声が上がりました。左派会派(The Left)の Leila Chaibi 議員(フランス・La France Insoumise)が運動を強く支持。ポーランドの Piotr Müller 議員は支持しつつも市場の過剰規制に慎重な姿勢を示し、チェコの Ondřej Krutílek 議員は「私的企業の自由と出版社の著作権を尊重する。デジタルゲームの購入はあくまでライセンス取得にすぎない」と反対寄りの立場を取るなど、論点は分かれました。ただし討論はあくまで立場表明の場で、ここで法案が採決されたわけではありません。

6月16日 欧州委員会の正式回答(最重要)

欧州委員会は6月16日に公式 Communication を採択し、法制化を見送りました。「商業提供の終了後もビデオゲームをプレイ可能に保つ法的義務は、現段階では提案できない」とし、既存の知的財産権がその主な障壁であると説明しています。

その代わりとして委員会は、2026年末までにゲーム業界と消費者団体との対話を開始し、ゲームの「end-of-life(提供終了)」管理に関する業界の行動規範(code of conduct)の策定に着手すると表明。あわせて、EUデジタルコンテンツ指令に基づく 既存の消費者権利の周知も進めるとしました。法律による義務化ではなく、業界の自主ルールづくりと既存ルールの徹底という現実路線です。

04 / 法案の核心要求「永久サポート」ではなく「end-of-life プラン公開」の3項目

SKG が要求している具体的な項目は3つに絞られています。「永久サポート義務化」と誤解されることが多いですが、実態は 「終了時の保全プラン公開」です。

要求① — オフラインモード提供オンラインサーバー終了時に オフラインモードを提供して購入者がプレイし続けられる状態を確保。シングルプレイ要素のあるゲームは、サーバー機能なしで遊べる形に変更する。
要求② — サーバーソフトのコミュニティ移譲オフライン化が技術的に不可能な場合は、サーバーソフトウェア(認証システム含む)を一般公開してコミュニティ移譲する。プライベートサーバー運営による延命を可能にする。
要求③ — End-of-Life プランの公開義務販売時点で 「この製品は将来どう保全されるか」を明示する義務化。米国カリフォルニア AB 1921 法案では サーバー停止60日前の事前告知も含まれます。販売時の消費者の知る権利を保護。
対象範囲 — 買い切りオンライン専用が中心主なターゲットは 買い切り型のオンライン専用ゲーム基本無料(Free-to-Play)スマホゲームは射程外と SKG は明言(買い切りでないため「purchase」が成立しない)。シングルプレイヤーゲームでもオンライン要素が「強制」されているものは対象になり得ます。

05 / 過去のサーバー停止事例The Crew・Concord・MultiVersus 等7本

SKG 運動が問題視している「ゲームが消える」事例は、近年だけでも複数あります。代表的な7本を整理します。

ゲームパブリッシャー終了日備考
The CrewUbisoft2024年3月31日SKG運動の直接のきっかけ。完全プレイ不能
ConcordSony / Firewalk Studios2024年9月6日発売14日で終了。開発費約1億ドル超、Steamピーク697人。スタジオ閉鎖
Babylon’s FallSquare Enix / PlatinumGames2023年2月27日発売1年で終了、スクエニ史上最短級
The Day BeforeFntastic2023年12月(発売4日後にスタジオ解散)「最大級のライブサービス詐欺」と言われた事例
MultiVersusWarner Bros / Player First Games2025年6月20日全ストアから削除、永久シャットダウン
XDefiantUbisoft2025年6月3日発売1年でサ終、ピーク同接5万人
AnthemEA / BioWare2026年1月12日(予定)サーバー終了予定で SKG 運動の最新事例に

06 / ゲーム業界の反応VGE反対声明と賛否両論の詳細

ゲーム業界側の反応は一枚岩ではありません。業界団体・大手パブリッシャー・インディー開発者・批評家が異なる立場を示しています。

SKG 支持側の主張
  • 消費者保護:購入したゲームを後から取り上げられるのは不当
  • 文化保全:ゲームは文化遺産であり保存価値がある
  • End-of-Life プラン公開で透明性向上
  • 業界全体の信頼回復につながる
  • Asmongold・penguinz0 などゲーム配信者が広く支援
  • 欧州議会の議員から強い共感(4/16ヒアリング)
業界団体・批判者の主張
  • VGE:「サーバー終了の判断は企業の commercially viable な選択肢として必要」
  • VGE:「プライベートサーバーは prohibitively expensive」
  • VGE:「ファンサーバーは サイバーセキュリティ・コンテンツモデレーション の法的リスク」
  • Pirate Software:「ライブサービスゲームを保存しても壊れた状態が残るだけ」
  • Pirate Software:「ライセンス制で取り消し可能性を残すべき(チート対策のため)」
  • 大手パブリッシャー:個別コメントなし、VGEを通じた集団反対のみ

07 / 日本ゲーマーへの波及シナリオEU法は日本企業にどう影響するか

日本のゲーマーが気になるのは「自分の遊んでいる FF14・モンハンナウ・スターレイル等への影響」でしょう。EU法の効力範囲と国内法との関係を整理します。

EU 法が義務化されれば日本企業も対象今回は 6月16日に欧州委員会が ECI 経由の法制化を見送ったため、ただちに対応義務が生じるわけではありません。ただし今後 Digital Fairness Act など別の立法で義務化が実現した場合、EU域内で販売する日本企業(FF14欧州サービス・PSO2・モンハンナウ・崩壊スターレイル等)も 対象になり得ます。海外法人を通じた販売でも、EUユーザーへの販売契約が成立する以上は対応が必要になるため、将来の動向は注視が必要です。
F2P スマホゲーは射程外日本の主力である 基本無料(Free-to-Play)スマホゲーム・MMORPG はSKG の射程外。買い切りでないため「purchase」が成立せず、SKG の要求対象になりません。FF14・モンハンナウ・スターレイル・ポケモンユナイト等は直ちに義務対象にならないと現時点では理解されています。
日本の運営文化と現状日本のオンラインゲームは 長期運営が文化的に根付いている。2024年に終了したスマホ・MMOは166タイトル、平均運営期間は約3.7年(1,368日)。13年運営の「関ヶ原演義」、12年「LINEポコパン」、10年「星のドラゴンクエスト」など、欧米と比較してサービス終了までの期間が長い傾向。
国内法(消費者契約法・PL法)との関係消費者契約法:「重要事項の不実告知」「将来の不確実な事項についての断定的判断の提供」を禁じており、販売時に「永続して遊べる」かのような誤認を生む表記があれば適用余地はあるが、判例は乏しいPL法はデジタル財には適用されにくい。特定商取引法・電子契約法でも一方的なサービス終了条項が「不当条項」と判断される可能性は理論上存在するが、現状直接の救済は限定的です。

08 / PCゲーマーが今すぐ取れる5つの自己防衛策サーバー停止リスクから自分のライブラリを守る

EU法の成立を待つだけでなく、PCゲーマーが今日から実行できる5つの自己防衛策を整理します。長期保存とサーバー停止リスクへの備えを習慣化することで、自分のゲームライブラリを守れます。

① GOG.com を優先利用 — DRM フリーで永久所有GOG はすべて DRM フリーでローカルインストーラを永久保管できます。2024年11月13日に「GOG Preservation Program」開始(100以上のクラシック作品を最新OS対応で保証)、2025年1月に欧州ビデオゲーム保存連合(EFGAMP)と提携。同じゲームを買うなら Steam より GOG が長期所有の観点で安全です。
② オフライン MOD・パッチの私的バックアップDRMフリー化やローカル認証化のコミュニティパッチを 私的利用範囲で保管。MMOの引退時には キャラクターデータ・装備・アチーブメントのスクショ・録画(OBS等)でローカル保存。著作権法の私的複製権の範囲を逸脱しないよう注意が必要です。
③ 購入記録のローカル保存Steam / Epic / PSN / GOG / Microsoft Store の 購入履歴をPDF化してローカル保管。レシートメールも別フォルダにアーカイブ。サービス終了時の返金請求や法的対応の証拠として重要。クラウドだけに頼らず、外付けSSDなどに保存しておくのが基本。
④ オンライン専用タイトル購入前のチェックリスト購入前に 5項目チェック:① パブリッシャーが過去にサーバー停止履歴があるか、② End-of-Life プランの公開有無、③ オフラインモードの有無、④ プライベートサーバー対応の可能性、⑤ 開発元の財務状況・親会社の方針。Concord・The Day Before のような短期終了リスクを事前に避けられます。
⑤ 保存活動への寄付・参加Internet Archive(米)、Game Preservation Society(東京、2011年設立。1980年代の日本製PCゲーム PC-88 / X1 等を保存)、PCArchiveEFGAMP(欧州ビデオゲーム保存連合)等への寄付・ボランティア参加。少額の寄付でも保存運動を支える力になります。

09 / 米国カリフォルニア AB 1921 法案世界的潮流と他地域への波及

SKG 運動の影響は EU 域内にとどまりません。米国カリフォルニア州議会で AB 1921(Protect Our Games Act)が審議中で、SKG 公式は支援表明済みです。世界的な「ゲーム保存」の潮流が形成されつつあります。

地域運動 / 法案状況
EU 27カ国Stop Killing Games(ECI)5/21討論 → 6/16委員会回答
米国カリフォルニア州AB 1921(Protect Our Games Act)2027年1月1日適用開始予定(成立すれば)
米国全体SKGからの公式支援表明あり連邦法レベルの議論はまだ薄い
日本類似の市民発議は未確認国内ゲームメディアで議論紹介の段階
英国EU離脱後は独自の方針が必要SKG は英国でも一定の署名集めるが法案化には別ルート必要
世界規模ゲーム保存運動の協調GOG / Internet Archive / Game Preservation Society 等が連携

10 / おすすめ「永続所有」プラットフォームSKG時代の安心ゲーム購入先4選

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