フレーム生成の「fps」を信じてはいけない——120fps表示でも操作遅延は30fps相当という現実

フレーム生成の「fps」を信じてはいけない——120fps表示でも操作遅延は30fps相当という現実

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DEEP DIVE
フレーム生成の「fps」を信じてはいけない

画面上は120fps。でも操作遅延は30fps相当——PC Gamer、XDA、Tom’s Hardwareが一斉に問題提起した「フレーム生成の不都合な真実」を、実測データとともに整理します

この記事のポイント
  • フレーム生成で表示fpsは倍増するが、入力レイテンシはベースfps相当のまま
  • MFG 4Xで120fps表示でも操作遅延は30fps相当(約33ms)。Reflexで軽減はできるが解消はできない
  • モンハンワイルズ等「FG前提のスペック要件」を出すゲームが増加し、最適化放棄の隠れ蓑に
目次

フレーム生成の仕組み——3秒で理解する

GPUが本物のフレームを描く。そのフレームの「間」にAIが中間フレームを補間して挿入する。表示上のfpsは倍増する。しかし、ゲームエンジンが入力を処理する頻度はベースフレームレートのまま。

これがフレーム生成のすべてです。表示は速くなるが、操作は速くならない。

「120fps」の正体

具体的な数字で見ると、問題の深刻さがわかります。

状態表示fps入力レイテンシ
ネイティブ60fps60fps16.7ms
ネイティブ30fps + FG → 60fps表示60fps33.3ms(30fps相当)
ネイティブ30fps + MFG 4X → 120fps表示120fps33.3ms(30fps相当)
ネイティブ60fps + FG → 120fps表示120fps16.7ms(60fps相当)

3行目が核心です。画面上は120fpsでヌルヌル動いているように見えても、マウスやキーボードの入力は33ms=30fps相当の間隔でしか反映されない。生成されたフレームはすべて「過去の補間」であり、入力を待っていないのです。

実測データが示す現実

Hardware Unboxedの実測データ(XDA引用)は、さらに厳しい現実を見せています。

Alan Wake 2(MFG 4X)
FGなし
96fps / 31.8ms
MFG 4X ON
120fps / 108.4ms
Cyberpunk 2077(RTX 5080 4K)
FGなし
— / 24ms
MFG 4X ON
— / 34ms

Alan Wake 2ではMFG 4Xを有効にすると表示fpsは120に達しましたが、レイテンシは31.8ms→108.4msに3.4倍悪化しました。しかもベースfpsが96→72に低下するというオマケ付きです。フレーム生成自体がGPU負荷を増やし、本来のレンダリング性能を下げてしまうケースがあるのです。

Reflex / Anti-Lagでは解決しない

NVIDIAのReflex、AMDのAnti-Lag、IntelのXe Low Latency——各社がフレーム生成のレイテンシ増加を緩和する技術を提供しています。効果はあります。ただし、ネイティブレンダリングより速くはなりません。

技術効果限界
NVIDIA Reflex 2 + Frame Warp最大75%削減。表示直前にマウス入力でカメラ位置を更新FGなしのネイティブより速くはならない
AMD Anti-Lag 2Reflexと同等の効果同上
Intel XeLLレンダーキュー最適化で大幅改善4X MFGで+19ms増加は残る

緩和技術は「フレーム生成のレイテンシを許容範囲に収める」ものであり、「フレーム生成のレイテンシをゼロにする」ものではありません。Jensen Huang氏がDLSS 4について「未来を予測する」と発言しましたが、Tom’s Hardwareが検証し「違う(Nope)」と更新しています。

開発者がフレーム生成に「頼る」ようになっている

ここからが本題です。フレーム生成自体は選択肢として悪くありません。問題は、開発者がフレーム生成を前提にした推奨スペックを出すようになったことです。

モンスターハンターワイルズ
推奨スペック(1080p/60fps/Medium)でフレーム生成が前提条件として明記。ネイティブでは30fps程度
Borderlands 4
公式最適化ガイドの多くのプリセットで60fps達成にFGが必要
Battlefield 6
FGがデフォルトONで出荷。プレイヤーが意図せずレイテンシ増加状態でプレイ

XDAは「フレーム生成は性能ブーストではない。最適化不足を隠す手段だ」と断じています。ネイティブ60fpsを安定させる最適化にはコストがかかりますが、30fpsで出してFGで60fpsにすれば「60fps対応」と書ける。この誘惑に負ける開発者が増えているのです。

フレーム生成をONにすべきゲーム / すべきでないゲーム

フレーム生成はツールです。使いどころを間違えなければ有用です。

ONが有効
  • シングルプレイヤーRPG / アドベンチャー(サイバーパンク、Starfield等)
  • ベースfpsが60fps以上出ている時の追加的な滑らかさ
  • パストレーシング等で40〜60fpsのとき、視覚的な体験改善として
OFFにすべき
  • 競技FPS(VALORANT、CS2、Apex等)——プロは全員OFFにしている
  • 格闘ゲーム——フレーム単位の入力が勝敗を分ける
  • ベース30fps以下——品質が著しく低下、ゴースト+高レイテンシ
  • マルチプレイヤーで反応速度が重要なゲーム全般

「本当のfps」を確認する方法

Steamのパフォーマンスオーバーレイ(設定 > ゲーム中 > パフォーマンス詳細レベル)は、フレーム生成有効時に「生成fps」と「ネイティブfps」を同時表示できます。まずはこの数字を確認してください。画面右上に表示される「120fps」のうち、何fpsが本物で何fpsがAI生成なのかがわかります。

まとめ——fpsの数字だけで判断しない

フレーム生成は視覚的な滑らかさを向上させる有効な技術です。それは否定しません。しかし、「120fps」という数字がネイティブ120fpsと同じ操作感を保証するわけではないという事実は、もっと広く知られるべきです。

GPUのレビューやゲームの推奨スペックを見るとき、「フレーム生成込みか、ネイティブか」を必ず確認してください。その数字の意味が根本的に違います。

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ゲーミングスタイル管理人

自作PC愛好家・ゲーム歴15年超

ゲーミングPC歴は15年以上。毎年パーツを更新しながら最新トレンドを追いかけています。初心者にもわかりやすく、上級者も満足できる情報発信を心がけています。