Battlefield 6が過去最高の売上を記録——それでもEAは開発者を切った。「大ヒットでもレイオフ」の構造

Battlefield 6が過去最高の売上を記録——それでもEAは開発者を切った。「大ヒットでもレイオフ」の構造

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INDUSTRY
BF6が過去最高の売上、それでもEAは開発者を切った

初週700万本、累計2,000万本超、米国年間1位。シリーズ過去最高を記録しながら、発売数ヶ月後にBattlefield Studios全体でレイオフ。25億ドルの自社株買いと解雇が並行する構造を見ていきます

この記事のポイント
  • Battlefield 6は初週700万本、累計2,000万本超。米国2025年年間ベストセラー1位を獲得
  • 2026年3月、EAはBattlefield Studios(DICE / Criterion / Ripple Effect / Motive)全体でレイオフを実施
  • EAは2025年に自社株買い25億ドルを実行。2023〜2026年の解雇者数は累計約1,900人
目次

Battlefield 6という「大成功」

まず事実を確認します。Battlefield 6はあらゆる指標でシリーズ過去最高を記録しました。

700万本
初週3日間の売上
2,000万本超
累計販売(推定)
747,440人
Steam同時接続ピーク
14億ドル
推定総収益

2025年の米国ゲーム売上ランキング(Circana)で年間1位を獲得。BFシリーズが年間トップに立つのは追跡史上初です。Call of Duty: Black Ops 7を5位に押しのけ、CoDの年間順位としては2008年以来の低さを記録させました。

Metacriticのスコアは84/100。BF2042(68)の大失敗から立ち直り、BF3/BF4の精神的後継として「原点回帰」に成功した——少なくとも批評面ではそう評価されています。PC Gamerの「Best FPS of the Year」、GamesRadarの「#1 FPS of the Year」も受賞しました。

それでもレイオフが来た

2026年3月9日、EAはBattlefield Studios全体——DICE、Criterion、Ripple Effect、Motiveの4スタジオ——でレイオフを実施しました。解雇された人数は非公開です。

EAの公式声明は「コミュニティにとって最も重要なことに合わせてチームを再編するための選択的な変更」というものでした。4スタジオとも閉鎖はされず、BF6のライブサービスは継続すると明言しています。

しかし、これは孤立した出来事ではありません。EAは2023年から繰り返しレイオフを行っています。

時期対象規模
2023年3月全社(6%削減)775人
2024年2月全社(5%削減)、Star Wars FPS中止670人
2025年1月BioWare等100人以上
2025年5月Respawn他、Titanfall新作中止300〜400人
2026年2月Full Circle(skate.開発)非公開
2026年3月Battlefield Studios全体非公開

2023〜2026年の累計で約1,900人がEAを去っています。

25億ドルの自社株買い、1,900人の解雇

ここからがこの問題の核心です。

2025年の自社株買い
25億ドル
前年13億ドルから倍増。5年間で50億ドルの買い枠を承認済み
2023〜2026年の解雇者数
約1,900人
DICE、BioWare、Respawn、Criterion、Motive等の開発者

自社株買いに25億ドルを費やしながら、ゲームを作る人間を減らしている。この2つの数字が並ぶこと自体が、現在のゲーム業界の構造を物語っています。

EAだけの問題ではありません。ゲーム業界全体で2022〜2025年の4年間に約45,000人が解雇されました。GDC 2026の調査では、米国のゲーム業界労働者の3人に1人が過去2年間にレイオフを経験しています。

なぜ「好調」でも人を切るのか

売れているのになぜ——この疑問に対する答えは、残念ながらシンプルです。

1
株主価値が最優先現代の上場ゲーム企業は「良いゲームを作る会社」ではなく「資産価値を上げる会社」として評価されます。開発コストを削減すれば利益率が上がり、株価が上がる。解雇はコスト削減の最も直接的な手段です。
2
コロナバブルの調整が続いている2020年のゲーム需要急増で各社が大量採用しました。パンデミック後に需要が正常化し、「適正規模」への縮小が今も続いています。BF6の成功は業績を支えていますが、「適正規模」への調整とは別のロジックで動いています。
3
プロジェクト完了後の「自然削減」BF6の開発は完了し、現在はライブサービスのフェーズに移行しています。大人数で開発するフェーズが終われば、少人数の運用チームに切り替えるのはゲーム業界の常態です。ただし、それを「レイオフ」と呼ばざるを得ない雇用形態に問題があります。
4
EA買収を控えたコスト最適化EAはPIF(サウジ主権基金)・Silver Lake・Affinity Partnersによる約550億ドルの買収が合意済みで、2026年6月にクローズ予定。非公開化に向けてコスト構造を「綺麗に」する動機が働いている可能性があります。

BF6自体にも影がある

売上は好調でしたが、BF6が完全な「大成功」かというと、いくつかの翳りも見えます。

Steamの評価は発売当初の「好評」から「賛否両論」に下落。全体68%肯定、直近53%肯定という数字は、2,000万本売れたタイトルとしてはかなり厳しい水準です。主な不満は以下の通り。

  • $70のフルプライスタイトルなのに、バトルパスのポップアップ広告が侵入的
  • バトルパス$10 + 「BF Pro」$25の二重課金構造
  • 週間チャレンジがバトルロイヤルモード「REDSEC」プレイ必須(REDSECはSteamで「Mostly Negative」)
  • マップサイズが小さいという批判

同時接続数も発売時の747,440人から2026年3月には約4〜5万人帯と、約65%減少しています。ライブサービスタイトルとして長期的に維持できるかは、今後のSeason 3以降の内容次第です。

PCゲーマーにとっての意味

BF6のSteam売上はプラットフォーム全体の56.7%を占めており、PCが最大のプレイヤーベースです。レイオフの影響がコンテンツ更新のペースや品質に響くかどうかは、PCゲーマーにとって直接的な問題になります。

Season 2は予定通り進行中で、Phase 3「Hunter/Prey」は2026年4月12日に配信予定です。EAは「Battlefieldへの投資を継続する」と明言していますが、内部では「目標が不合理で達成不可能に近い」との声も報じられており、長期的なサポート品質には不透明さが残ります。

まとめ——「売れても切られる」時代

Battlefield 6は間違いなく商業的成功です。BF2042の失敗から立ち直り、シリーズ過去最高を記録しました。しかし、その成功がゲームを作った人たちの雇用を守ることはありませんでした。

25億ドルの自社株買いと1,900人の解雇が並行する。年間売上1位のタイトルを生んだスタジオから人が去る。この構造は、EAだけでなくゲーム業界全体に共通する問題です。

PCゲーマーとしてできることは限られますが、少なくとも「ゲームを買えば開発者が報われる」という素朴な信頼が、もはや通用しない時代にいることは認識しておくべきでしょう。

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ゲーミングスタイル管理人

自作PC愛好家・ゲーム歴15年超

ゲーミングPC歴は15年以上。毎年パーツを更新しながら最新トレンドを追いかけています。初心者にもわかりやすく、上級者も満足できる情報発信を心がけています。