Steam新作の3割がAI製——開発者の52%は「悪影響」と回答。データで見る2026年のゲームとAI
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2026年1月のSteam新作リリースの約3割が生成AI使用を開示。一方、開発者の52%は「AIは業界に悪影響」と回答。データと事例で「ゲームとAI」の現在地を整理します
- 2025年のSteam新作の5本に1本、2026年1月は約3割が生成AI使用を開示。前年比約800%増
- GDC 2026調査で開発者の52%が「AIは業界に悪影響」と回答(2024年の18%から3倍に急増)
- Clair Obscur: Expedition 33がAI使用発覚でGOTY賞を剥奪される事件も
目次
数字で見る「AI氾濫」
2026年1月最初の7日間だけで、Steamに230本のゲームがリリースされました。そのうち81本(約35%)が生成AI使用を開示しています。1日だけで42本がリリースされ、そのほぼ半数がAI使用。同一開発者が1日で3本のAIゲームを出した例もあります。
最後の数字が重要です。AI開示ゲーム約1万本のうち、93%は売上150万円にも満たない低品質タイトルです。6.6億ドル(約1,030億円)という推定売上の大部分は、Call of Duty: Black Ops 6やinZOIのような大手タイトルが稼いでおり、AIスパムゲームの大半は市場で埋もれています。
開発者の52%が「悪影響」——2年で3倍に急増
GDC 2026の2,300人超への調査結果は、業界の空気を明確に示しています。
| 年 | 「悪影響」と回答 | 「好影響」と回答 |
|---|---|---|
| 2024年 | 18% | — |
| 2025年 | 30% | 13% |
| 2026年 | 52% | 7% |
2年間で「悪影響」が18%→52%に3倍化。「好影響」は13%→7%に半減。職種別ではビジュアルアーティストの64%、ナラティブ担当の63%が否定的で、自分の仕事がAIに置き換えられる恐怖が直接的に数字に表れています。
象徴的な声があります。「AIは窃盗だ。でも使わないとクビになる」。これが2026年のゲーム開発者の現実です。
経営層と現場の断絶
GDC調査はもうひとつ重要なデータを示しています。AIへの評価が職位で真逆になることです。
企業として導入しているのが52%、個人が使っているのが36%。16ポイントのギャップは、現場が信頼していないツールを組織として強制している構図を示しています。
GDC 2026のパネルでは、Lightspeed Venture Partners(AnthropicとEpic Gamesの両方に出資)のゲーム部門責任者が、業界が生成AIを「悪魔化している」ことに「ショックで悲しい」と発言。投資家と開発者の溝は深まるばかりです。
Clair Obscur: Expedition 33——GOTY剥奪事件
「AIを使ったら何が起きるか」を示す象徴的な事件が2025年末に起きました。
The Game Awardsで9冠を獲得したClair Obscur: Expedition 33が、Indie Game Awards 2025でGOTYを受賞した直後にAI使用が発覚。応募時は「AI不使用」と申告していたにもかかわらず、授賞式当日にプロデューサーがAI使用を認め、GOTY + Debut Gameの2部門が剥奪されました。ディレクターは後に「AIを使ったのは間違いだった」と認めています。
Steamの対応——「何を開示すべきか」の線引き
Valveは2026年1月にAI開示ポリシーを大幅改訂しました。
改訂のポイントは「AI使用の有無」から「AIの使い方」への転換です。開発効率化のためのAIツール(コードヘルパー等)は開示不要。プレイヤーが直接消費するAI生成コンテンツ(アートワーク、音声、テキスト等)のみ開示が必要になりました。
現実的な対応ではありますが、AIコンテンツをフィルタリングする機能は未実装です。Steamには「AI」専用タグがなく、ユーザーがAIゲームを検索結果から除外する方法がありません。ブラウザ拡張「AI Warning for Steam」を使えばストアページで警告表示できますが、Steam本体の機能ではありません。
PCゲーマーが身を守る方法
AI製ゲームの増加は止まりません。購入前にできることを整理します。
まとめ——「AI製」と「AIを使った」は違う
重要な区別があります。Call of DutyやinZOIのような大手タイトルが翻訳やQAにAIを使うことと、全アセットをAIで生成した低品質ゲームを量産することは、まったく別の話です。
問題は後者が前者と同じ「AI開示」タグで括られ、区別がつきにくいことです。Steamのポリシー改訂は「使い方」に焦点を当てる方向に進みましたが、ユーザーがAIスパムを避ける実用的な手段はまだ不十分です。
開発者の52%が「悪影響」と答える現状は、技術の問題ではなく労働と品質の問題です。AIが業界を良くするか悪くするかは、誰がどう使うかで決まる——当たり前の結論ですが、その「当たり前」が守られていないから52%という数字になっています。

