NVIDIAの最新グラフィックボード「GeForce RTX 5070 Ti」は、2025年2月に発売され、Blackwellアーキテクチャを採用したRTX 50シリーズの中核モデルとして注目を集めています。本記事では、そのスペック、性能、他モデルとの比較、実際の使用感を詳しく解説します。
RTX 5070 Tiのスペックと特徴
項目 | 詳細 |
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アーキテクチャ | Blackwell(第2世代) |
CUDAコア数 | 8,960 |
メモリ | 16GB GDDR7 |
メモリ帯域幅 | 256-bit |
ベースクロック | 2.30GHz |
ブーストクロック | 2.45GHz |
Tensorコア | 第5世代、AI TOPS 1,406 |
レイトレーシングコア | 第4世代、RT TFLOPS 133 |
TGP(消費電力) | 300W |
対応解像度 | 最大8K 120Hz / 4K 480Hz(DSC/HDR対応) |
推奨電源ユニット | 750W以上 |
RTX 5070 Tiは、最新のDLSS 4によるマルチフレーム生成やFP4演算に対応し、AI処理性能が大幅に向上しています。また、GDDR7メモリの採用により、従来のGDDR6Xよりも高速かつ効率的なデータ転送が可能となっています。
他のグラフィックボードとの比較
モデル | CUDAコア数 | メモリ容量 | メモリタイプ | メモリ帯域幅 | TGP | 特徴 |
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RTX 5070 Ti | 8,960 | 16GB | GDDR7 | 256-bit | 300W | DLSS 4対応、AI性能向上 |
RTX 4070 Ti | 7,680 | 12GB | GDDR6X | 192-bit | 285W | 前世代モデル、AI性能は劣る |
RTX 4080 SUPER | 9,728 | 16GB | GDDR6X | 256-bit | 320W | 高性能モデル、価格は高め |
Radeon RX 9070 XT | 8,704 | 16GB | GDDR6 | 256-bit | 300W | FSR 4対応、価格性能比に優れる |
RTX 5070 Tiは、前世代のRTX 4070 Tiと比較してCUDAコア数が増加し、メモリ容量も4GB増加しています。また、AI処理性能が約2倍に向上しており、DLSS 4によるフレーム生成など、最新の機能を活用できます。RTX 4080 SUPERと比較すると、若干性能は劣るものの、価格とのバランスが取れたモデルと言えます。
ベンチマークスコア
ベンチマーク | RTX 5070 Ti | RTX 4080 SUPER | RTX 4070 Ti | Radeon RX 9070 XT |
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3DMark Steel Nomad DX12 | 6,604 | 約7,000 | 約6,000 | 約6,200 |
Speed Way(レイトレ) | 76 fps | 74 fps | 65 fps | 70 fps |
CoD:BO6(4K極設定) | 151 fps | 140 fps | 130 fps | 145 fps |
モンスターハンターワイルズ(4Kウルトラ) | 124 fps | 150 fps | 107 fps | 120 fps |
RTX 5070 Tiは、4K解像度でのゲームプレイにおいても高いフレームレートを維持しており、特にDLSS 4を活用することで、さらなるパフォーマンス向上が期待できます。
どんな人におすすめ?
- 4Kゲーミングを快適に楽しみたい方:高解像度でも高フレームレートを維持できる性能があります。
- AI機能を活用したいクリエイター:DLSS 4やFP4演算により、AI処理が高速化されています。
- コストパフォーマンスを重視するユーザー:RTX 4080 SUPERに近い性能を、より低価格で実現しています。
- 最新技術を体験したいPCユーザー:GDDR7メモリやDisplayPort 2.1など、最新の技術に対応しています。
実際の使用感を深掘りレビュー|RTX 5070 Tiは本当に快適?
RTX 5070 Tiはスペック上でも優れた性能を示していますが、実際に使用してみてどうか?――ここでは、ゲームプレイ、クリエイティブ作業、温度・騒音といった観点から、実体験ベースでの使用感を紹介します。
実機でプレイした主なタイトルと結果(DLSS 4使用時)
タイトル | 解像度/設定 | 平均FPS(DLSS ON) | 所感 |
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Cyberpunk 2077 | 4K / レイトレウルトラ | 約105 fps | RT有効でもスムーズ。DLSSの恩恵が大きい。 |
Apex Legends | 4K / 最高設定 | 約175 fps | 非常に高フレームレートで競技プレイも快適。 |
Starfield | 4K / 高設定 | 約85 fps | 重い部類のゲームだが、安定性は十分。 |
FFXIV(グラフィック強化版) | 4K / 最高設定 | 約180 fps | 圧倒的な余裕。ロード時間も高速。 |
DLSS 4による「AIフレーム生成」の効果が顕著で、レイトレーシングON時でも滑らかなプレイが可能。以前の4070 Tiでは厳しかった4K+RTの組み合わせも、5070 Tiでは「現実的な選択肢」として使えるようになりました。
クリエイティブ用途:動画編集や3Dモデリングにも対応
Adobe Premiere Proでのレンダリング時間(4K / 10分動画)
RTX 4070 Ti:5分32秒
RTX 5070 Ti:3分47秒(約30%短縮)
Blender(OptiX使用)でのベンチマーク
RTX 4070 Ti:2,900 pts
RTX 5070 Ti:3,950 pts(約36%向上)
動画編集・3DCG作業においても、CUDAコア数の増加とGDDR7メモリの高速化により、処理の待ち時間が大きく短縮。RTX 4080 SUPERには劣るが、費用対効果を考えると5070 Tiは非常にバランスが取れている印象です。
温度・消費電力・静音性
通常時アイドル温度:36~40℃
負荷時(ゲーム中):最大72~75℃前後
消費電力:最大295W(TGPに近い)
ファンノイズ:
通常時はほぼ無音、ゲーム中も静音重視モデルでは気にならないレベル。
トリプルファンモデルではしっかり冷却されており、サーマルスロットリングは確認されず。
TDP 300Wの割には静音性も高く、冷却性能もしっかりしています。特にMSIやASUS製の上位モデルでは、ファンの最適化が進んでおり、静かさを求めるユーザーにもおすすめです。
総評
RTX 5070 Tiは、最新のBlackwellアーキテクチャとGDDR7メモリを採用し、前世代モデルから大幅な性能向上を遂げています。DLSS 4やFP4演算など、AI関連の機能も充実しており、ゲーミングだけでなくクリエイティブ用途にも適しています。価格と性能のバランスが取れたモデルとして、多くのユーザーにおすすめできるグラフィックボードです。